次戦②
先程とは異なる発声。
中庭の地面から生えてくるは大量の根。
それが2を1と1にしようとしていた。
「白刃くん!」
黒い蔓が白刃願の腕に絡みつきその身体を引きつける。
間一髪で分断は避けられたが別の目的は達成されてしまっていた。
「逃げ場なくなっちゃった.....」
化け物の目的は分断のみではなくこの2人を逃さぬための檻の作成も含まれていた。
「やられたなぁ。殺すしかなくなっちまった。」
「(最悪結だけでも逃がせるようにしておきたかったな。)」
心做しか、その向日葵はニタニタと笑っているようにも見える。
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
「クソが、はえーんだよ」
黒花による蔓で何とかしのぎ体勢を立て直す。
「ねえ、白刃くん」
「どうした。」
「多分だけどこいつ。私狙ってる」
「は?」
「今の攻撃合わせて3回。全部私に攻撃が寄ってると思う。今思うと分断の時も私が内側だったし。だから--」
「却下だ。」
黒花結を必要以上に危険に晒すこと。
これは白刃にはとても容認できない内容だった。
だが白刃は知っている。この幼馴染の意志の硬さを。
「このままじゃジリ貧だもん。お願い。ちゃんとあいつを殺してね。」
「おい!」
制止虚しく彼女は駆け出していた。
中庭にある何を模して作られたのか分からないオブジェ。低木やベンチなどの障害物を壁や足場にし化け物へと黒花結は接近していく。
「(なんだろう。体が上手く動く。そんなに怖くない。今ならこの蔓ももっと上手く使える気がする。)」
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
向日葵の口元からこれまでよりも多い蔓が吐き出され彼女を追いかける。
1つ捌き、1つはすんでで躱す、また1つを叩き落とす。
「邪魔!」
そして最後の1つを完全に捌き切る。
実際のところ、現状彼女は120%の動きができている。
付かず離れず。
敵の攻撃を一手に引き受け現状目立った損傷もなし。
手札を把握して囮としての役割を完璧に果たしている。
意識が研ぎ澄まされ、呼応するかのように黒い蔓の操作精度も上がる。
苛立つかのように弾かれた化け物の蔓は暴れており、完全に意識は彼女に向いている。
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
「◾︎◾︎◾︎◾︎」
先程よりも数をました植物の蔓が黒花へと襲いかかる。
「まだっ...まだァ!」
彼女は黒い蔓を完璧に操作してその攻撃を間一髪で凌いでいた。
そしてその隙を逃すこと。
「『尖れ』」
彼もそれがどれだけ愚かなことかわかっていた。
「『貫け』」
中庭にある、先程の化け物の攻撃で壊れたオブジェの残骸を彼は変形し、現状最大火力となる一撃を繰り出していた。
「◾︎◾︎---」
「遅い!」
轟音とともに化け物は中央部に大きく穴をあけられ、地面に倒れる。
「終わった、、、、、」
自分ではない他人が命の危機に晒されている実感。
大技による消耗とその手応え。
恐らく最初に戦ったウシ型よりも強敵の相手と対峙した精神的疲労。
最後の敵の攻撃が始まっていたことに彼が気づけないことは仕方の無いことだった。
「白刃くん!!!!!」
幼馴染の声が聞こえた時には、
地面から飛び出た尖った蔓が白刃願の身体を貫いていた。




