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強欲と英雄  作者: とろろ
第三章 転変動乱
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夜戦③



冥号府堂とは

鬼飼の背中に見えている鬼を一時的に完全顕現させる為の祝詞である。


いつの間に出血していたのか。にぎりこんだ魁具土命には鬼飼の血が伝っていた。


背中の鬼が消え、鬼飼の影からその姿を現す。


赤黒く、隆起した肉体。

頭には通常の顕現時よりも捻れ、鋭さを増した角が2本。


「行くぜェ」


拳を突き合わせ、気合を入れた鬼飼は突如浮遊した門の残骸の上へと飛び乗る。


「『吹っ飛べ』」

「おらァ!!」


白刃の能力を利用した超速移動による攻撃。


それは箕島が構え、能力を発動するよりも速く、本人に届いていた。


「うぐっ...!!」

黒縄(こくじょう)!!」


まるで振られた縄のようにしなった足が箕島の首へと向かう。


「っ..!! 空蝉(うつせみ)

その蹴りはまとった魁の圧のみで地面をえぐっており、土煙が舞っていた。

その土煙に箕島は身を隠す。ただ、

その瞬間を白刃は見過ごさなかった。


箕島が鬼飼の前から瞬間的に、さながら背後の空間が削り取れたかのように移動したその瞬間を。


「次ィ」


箕島の目の前には先ほどの黒縄と全く同じ動きを行う鬼。


虚独(こどく)!!」


ただそれも能力によりすり抜ける。


「成程」

「なんかわかッたのかァ」

「もう1回似たような隙があれば多分行けますね」


嫌そうな表情で鬼飼は続ける

「今のだッて不意打ちが成功したみてェなもんだろォが」


「ゴホッ.. よくわかっているじゃないですか」

「お前が言うのかよ」


「少しギアを上げましょう。」


箕島は手に持った魁具土命で自らの手を切りつける。

掌からは血が滴り落ち

無表情でその血を見つめ、

息を吐く。


虚仮威(こけおどし)


-----


同刻 訓練場


「2人には真打について説明しておこう。」


宇道からのアラートを受け、本部は慌ただしく動いていた。


火簾熾織が狙われていること。

敵は現状単独であるが増援の危険性があること


以上2点より本部の下した決断は以下である。


・火簾熾織及びその護衛を訓練場へと隔離

・非戦闘員の保護及び隠匿を綺堂調を筆頭とし四・五番隊での結界にて担当

・門前の侵入者に対しては少数の対応者を送る

・他全戦闘員は魁具土命の一時的使用を全面的に許可。対敵即戦闘とする


護衛は、

二番隊隊長 金陵美鈴

二番隊部隊「天竺牡丹」隊員 朱璃纏


対応者は、

二番隊部隊「天竺牡丹」隊員 白刃願

三番隊副隊長 鬼飼立黄


現在訓練場には金陵の結界が張られており、

誰かが侵入すれば即臨戦態勢となれるようにしている。


その上で金陵は『真打』について2人に説明を始めていた。


「大前提、真打については説明できない範囲の方が広い。」


「だからこそ説明できる範囲は教えておくってことですか美鈴さん。」


「ああ、お前ら4人は突貫ではあるが条件自体はちゃんと満たせたからな。あとは真打生成だけだ。」


「俺と願はあの部屋で何もしてないよ。美鈴ちゃん」


「だがあの部屋に入っただろう。あの部屋に入って能力使用中の夢喰の前で喰われなかったならそういうことなんだ。」


「「へぇ〜」」


「説明を戻すぞ。真打とは影打を踏台とした能力と魁具土命の融合。及び真化だ。」


「ほう。」


「生成開始条件は

・一定以上の魁量を有していること

・本人の中に、譲れないものがあること

・影打及び魁の操作が十分習熟していること

・真打の存在を把握すること

の4つだ。」


「前聞いたやつね。」


「ああ。お前ら4人は真打の依代として魁具土命と能力を結びつけるのを待つ段階だ。」


「どうすればいいの?」


「自分の能力名と共に祝詞をあげるんだ。」


「魁具土命の使用と似てますね。」


「ああ、そうだな。

ここからはリスクについて話しておく。リターンについては多種多様すぎて説明するのも無駄だ。」


「ほほう。」


「まず、魁の燃費が非常に悪い。真打解放の際に魁量はそれまでの5倍以上にはなるが、それを差し引いてもなおだ。」


「ははぁ。」


「緊張感のない....もう1つのリスクとして、可能性の話だが。自我の喪失及び暴走だ。」


「「え」」


「欲求を満たすための手段のみが、目的を大きく超過して暴れ出すんだよ」


「だからお前らにはまず部分的に真打の力を引き出す為の技術を伝えておく。『綯初(よりぞめ)』と言う。」


「なんなの?それ」


「特殊な祝詞と自らの血液によって、真打の力を部分的に身体と魁具土命両方を担保として発現させ使えるようにするんだ。うちの組織での代表的な例は鬼飼隊員の冥号府堂だな。」


----


「うらァ!!」

朔世(さくよ)


一瞬、鬼飼の動きが止まる。


「うおッ!?」


刹那、弾かれるように箕島の振りかぶった脚へと移動していく。


一世(ひとよ)

「衆合衆合(しゅごう)!!」


鬼飼と鬼が成り代わり、鬼が箕島の攻撃を受け止めていた。しかし、


()()...?」

訝しげに鬼の負傷を見る白刃。


「チッ...まだ手札はありましたか。」


「ブル先輩。あの鬼の組成は。」

「元は俺の血と魁だァ。」

「じゃあひび割れはおかしいすね。」

「あとすり抜ける 距離空けるだけじゃねェ。止める まで追加されたぞォ。タネはわかッたのか」


息を吐き、白刃は応える。


「だいたい。」


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