瞳と訓練②
死ぬ。
綺堂調の足を目の前に白刃の脳みそはそれだけを伝えてきた。
「『弾け』!!」
訓練開始の前に拾い上げていた木刀が足に吸い込まれるように動く。
「ッ!!」
「おお。やるな。」
何とか蹴りの弾道を顔から逸らし躱す。
「ほらまだ終わらんぞ。」
蹴りを弾き役目を終えた木刀を寸分狂わず白刃の眉間と蹴飛ばしながら再度綺堂は迫ってくる。
「クッソ。『吹きとばせ』!」
地面に掌を当て、空中へと飛び出す。
「そりゃミスだな。飛ぶべきじゃなかった。」
「はぁ!?」
吹き飛んだ自分とほぼ変わらないスピードで綺堂は迫ってきており、足を掴まれていた。
「そら頑張れ。死ぬぞ。」
そのまま地面へと叩きつける勢いで掴まれた足を振り下ろされる。
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「美鈴ちゃん相手でも容赦しないよ〜。」
「全く。いつになったらお前は金陵隊長と呼ぶんだ。」
「さぁね。『その道を往け』」
「(最後に見た時よりかなり魁具土命が馴染んでるな。ここ最近の任務が理由か。)」
そう考え事をしている金陵に対し、朱璃は既に踏み込んでいた。
「天断裂」
轟音と共に板を踏み抜き刀を躊躇なく振り抜く。
ただしその手に残った感触は違和感だった。
まるで同程度の硬さを持つ金属に威力を完全に吸収されたような。
「なぁ纏。そんなものか?」
そう煽る金陵の右手には木刀が握られていた。
刹那。朱璃纏の肌を刺したのは殺気。
何がなにかも分からず全力で後退し自らの急所を守る。
「『遣えずとも抗え』」
左手に錆びて朽ちた刀が生まれる。金陵美鈴の魁具土命であった。
「伽藍堂」
左手の刀が溶け出し、溶けた金属が這うように朱璃へと襲い掛かる。
「大双壊!!」
範囲攻撃を無理やり凌いだ朱璃はそのまま前へと進む。
「おお。やるじゃないか。正解だ。ただ---」
「大円か-「二手遅い」」
頭を掴まれた朱璃はそのまま訓練場の床へと叩きつけられる。
偶然か。白刃・朱璃が地面にたたきつけられたのは同タイミングであり、2人が起き上がったのも同様であった。
「「痛ってぇな。」」
そして、反撃も。
「潰す。」
「ぶっ倒す。」
「「短気め。」」
「『爆ぜろ』」
「天断裂」
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日本某所。
綺麗に束ねられた桃色の髪を揺らし、タバコをふかしながら柊はつぶやく。
「こっれは不味いなぁ。」
そこはかつて、柊一が共に戦った英雄の墓があった場所。
「柊様。これは、、、」
「そうだね。封印が壊されてる。」
「(これは結と熾織にも強くなってもらわなきゃかなぁ。)」
竜胆とは別の伝で自らについて来ている政府の役人にそう静かに返し、考え事をしながら無惨に壊された墓を見つめる。
その墓石には
「英雄 獅童 陣 ここに眠る」
と古ぼけ、掠れ、ただ堂々と威を放つかのようにかかれており、
「2世代も前の英雄がなんの用かなぁ。陣」
柊の疑問に答えるものはその場には一人もいなかった。
もうひとつの墓に目をやり、柊はその場を後にした。
その墓にはこれまた掠れた文字で
「強欲 ◾︎◾︎ ◾︎ ここに---」
とかかれている。
「竜胆に戻る。ある程度は情報も集まったから政府に連絡しておいて。なるたけ早く避難の進んでいない地域は優先して対処して。」
「は、分かりました。」
役人が消えたその場所で1人。改めて呟いた。
「やってくれたなぁ。曜」
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「ただいま〜。結と熾織呼んでもらっていい?」
竜胆に戻った柊は受付にて連絡を依頼する。
「一さん。お疲れ様でした。2週間と言ってましたが早かったですね。まだ1週間もたってないですよ。」
受付の女性は軽く対応しながら連絡を2人に入れる。
「思ったより簡単に終わっちゃったんだよね。さてあの問題児2人はどうなってるかな〜。」
「黒花・火簾両隊員とも任務から帰還して今は食堂との事です。5分ほどお待ちを、」
「あ、じゃあ私が行く〜。そう伝えておいて」
「承知致しました。」
食堂に向かいながら各隊長にのみ連絡を行う。
『今後の方針決定。仔細の連絡と詳細の確認のため各隊長は明日総隊長室に来ること。』
連絡を終え、顔を上げるとそこにはなぜ呼ばれたのかわかっていなそうな少女2人が立っていた。
「あ、柊総隊長。要件というのは?」
「久しぶり〜結。ちょっと厄介なことになってね。2人ともだいぶ突貫になるけど強くなってもらうよ。」
2人の手を掴み移動を開始する。
「え、何するんですか一さん。」
「今は詳しく言えないんだけどこの前戦った連中が攻めてくるタイミングとどれくらい強いかがわかったから。このままだと面倒なことになるんだよね。」
「なるほど〜でも訓練場今纏と願君が使ってますよ〜。ここ一週間くらいボロボロです。」
「2人もそこに混ざるんだよ。」
「「ええ〜?」」
「2人の相手は私がするから〜頑張ってね。」
言葉を交わしながらずんずんと柊は2人を引っ張っていき、訓練場の前へとたどり着く。
柊が訓練場の扉を開くと
「うおぁ!!!」「ぶぁ!!」
轟音と共に朱璃が、遅れて白刃が吹き飛んできた。
2人をボールをキャッチするかのように片手ずつで受け止め柊は笑う。
「美鈴〜調〜やってるね〜。」
「総隊長。お疲れ様です。早かったですね。」
「後ろの2人は?」
「新規参加者だよ〜。」
床に下ろされた白刃に黒花は駆け寄っていた。
「白刃くん大丈夫!?」
「いってぇ、、、。あれ、結じゃねえか。どうした。あのクソジジイ吹き飛ばさなきゃなんでまた後でな。」
応対はするが心ここに在らずのような白刃の首根っこを右手で掴み柊が確認する。ちなみに左手には朱璃が同様に掴まれていた。
「後でじゃないよ〜願。聞くけど何本取れた?」
「、、、、、3ですよ、、」
不貞腐れたように白刃は答える。
ほほぉ。と意外そうな表情を浮かべ綺堂のほうを向くと綺堂は笑っていた。
「本当ですよ。いやはや成長が早い。枷なら既に両足まで外してます。」
「やるじゃん願〜。纏も?」
「俺は4!あと1本!」
白刃が不貞腐れていた理由を知った柊は笑って朱璃へ「偉いね」と賞賛の言葉を送る。
「それじゃ。ちょっと休憩がてら話をしようか。」




