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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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瞳と訓練

第34話


「(どうしてこうなったんだろ)」


火簾は食堂に移動し、目の前で顔を赤らめながら先程生まれた想い人についての魅力を矢継ぎ早に飛ばしてくる少女を眺めながら考える。


「それでですね。黒花さんの素晴らしいところはですね----声が非常に優しく、その上で芯が籠ってまして。それだけではなく---あとあの表情ですかね。額縁に入れて飾りたいというか。まさしく天使の降臨といいますか。いや〜聖書だと悪魔より天使の方が殺した人数が多いとも言いますがほんとですね。あの美しさ死人が出ますよ。」


「流佳ちゃんストップ。」


「あ、はひ!すみません!」


暴走していたのを止められたことに気づいた流佳は噛み気味に謝罪してくる。


「その好きは恋愛?友愛?信仰?」

「ラブが10です。」


「私も惚れっぽい方だけど流佳ちゃんはもっとだね。」


「いや、信仰も入ってるかも知れません。」

「はへぇ?」


「まだ顔しか見てませんが彼女は私の理想像みたいな方です。」


「うんうんかわいいよね〜」


「(諦めやがったなアイツ。)」


食堂で鍋を振りながら筒抜けになる声に感想を心の中で呟く料理長。


「すみません。豚骨ひとつ。チャーハンセットで。」

「あいよぉ。結ちゃん。今日はどうする?」

「大盛りでお願いします。」


「そうなんですよ。熾織さん。それでもっと素晴らしいのが---「何の話してるの?」って黒花さぁぁぁぁぁぁん!!??」


「焦りすぎ。顔すごいことになってるよ流佳ちゃん。どうしたの?結ちゃん」


「お腹すいちゃって。それで?」


「流佳ちゃんの恋バナ〜。」


「好きだねぇ〜。」


「ち、、ちょ熾織さん!」


「私の事好きなの?ありがとうね。」


黒花は少し壁のある声色で微笑む。

それに気づけるほど流佳は大人ではなかった。


「ひぇ!すみません!お会いしたばかりなのに、、」


「ううん。嬉しいよ。気にしないで」


火簾はその壁に気づいたのだろう。

少し考え込むような表情をしてから流佳に尋ねる。


「流佳ちゃんは結ちゃんのどこが1番好き?」


「え!?いやその、、いいでしょうか?」


「うん大丈夫だよ。」


相変わらずニコニコしながら黒花は応対する。


「『目』、、、ですかね、いや、ホントなら!もう少し内面に沿った話が出来たんです!まだ初めましてなので、、」


一人でなにかに言い訳しながらしどろもどろに流佳は黒花の目について言及した。


「......どこが?」


少し真剣そうな表情になり黒花は問いかけ直す。


「な、なんて言うんでしょう。綺麗な黒なんですが。その中に少し紫があって。まん丸で、髪の色ともお似合いですし、、他には、」


「ふふ。もう大丈夫だよ、ありがとう。仲良くしようね。流佳ちゃん」


「ひゃい!!!す、すみません!私仕事があるので!!」


「あらら行っちゃった」


「ね、熾織ちゃん。なんであんなこと聞いたの?」


『黒花結のどこが好きなのか。』この質問の意図を問われた火簾は笑いながら返す。


「うーん。このままだったら可哀想だったからかなぁ。2人とも」


「そっか。ありがとね。」


「うんうん。流佳ちゃんのこと気に入ったみたいでよかった。」


「結ちゃーん!ラーメンできたよ!」


「はーい。」


昼食を受け取りに行く黒花を尻目に火簾は1人つぶやく。


「目が綺麗だって最初に言ったのが願君って言ってたからなぁ。同じだったのが良かったのかな〜」


-----


「おうお前ら。遅かったな。」


訓練場の中心で綺堂は笑いながら2人に投げかける


「鬼ごっこしてまして。」


「ああ、立黄とじゃれてたんだろ。暇しない奴らだ。」


「え、知ってるの?調さん。」


綺堂のその横で木刀を手に緩めの素振りをしながら金陵が笑いながら伝える。


「報告に上がってきてるからな。この問題児共。」


「いや〜美鈴ちゃん聞いてよ。今回は願だよ悪いの。」


「ええ?そうか?」


「いやまあいい。鬼飼隊員というか、3番隊のあの2人とはお前らは相性が悪いと思ってるからな。怪我がなくて何よりだ。」


「ブル先輩ともうひとりは?」


「王善隊長だ。にしても纏。お前立黄のことそんな呼び方してんのか」


面白そうに綺堂が問返す。


「俺だけじゃなくて願もなんだなそれが。仲良くなったもん。」


「仲良くはねぇだろ。今からでも流佳ちゃんだっけ?あの子引き抜こうぜ。」


「うちの隊員を引き抜こうとするんじゃない。

まあいい。話は置いておいて真打についてだ。」


「「はい」」


「今日から2週間、お前らには毎日俺か金陵のどちらかと戦ってもらう。交互にだ。」


「ほう。」


「ルールは、お前らが5本取るまで終わらない。これだけだ。」


「きつくね?」


「なんだ白刃。珍しく弱気か?」


「厳しくはありますよね。5本って。」


「2週間で仕上げるしかないからな。前も言ったがお前らはまだ魁そのものの操作も、影打の扱いもまだまだだ。実践に近い形で叩き込むしかない。」


「授業すると思ってた。」


「授業だったとしてもお前聞かないだろ纏。今綺堂隊長の仰った通り、魁の操作についてはここで叩き込む。もう1つの課題であるお前らがどうしたいか。『真に望むもの』の形は各自で作れ。まぁお前らはそっちは大丈夫な気もするが。」


「わかりました。」

「りょーかい!」


「よし、それじゃ開始だ。『ただただ飢えろ』」


白刃の眼前に綺堂の足が迫っていた。


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