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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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鬼と逃避行

「オラァ!!」


目の前の鬼のような男は拳を振りかぶり白刃へと突撃する。その背中からは一つ目の化け物。

頭には2本の角が生えていてまさに鬼と形容されるべき存在が動き出していた。


「『捕らえろ』」


白刃のポケットから金属片が飛び出し、形を液体のように変えながら鬼飼へと向かう。


「邪魔だァ!」


拘束を始めた金属を後ろの鬼がたたき落とす。


しかし1度命令遂行を始めたその金属片は止まることなく鬼飼を両腕の上から締め上げる。


「邪魔だッつッてんだろ!」


鬼飼の背後にいた化け物の両腕が、鬼飼の腕と混ざる。筋肉が膨張し、纏う魁が爆発的に増加する。

血管は浮き出て、食い込んだ金属をものともせず、破裂せんばかりの勢いで皮膚が張っていた。


「まじで?」


距離を離しながら白刃はある未来を予想し驚嘆する。

その未来は現実のものとなった。


「おらぁ!!」


力任せに拘束を引きちぎり、鬼飼は再度殴りかかってくる。

ただし先ほどと異なるのはその両腕の危険度だろうか。

拘束を引きちぎる際に鬼と混ざった凶悪な腕は未だ戻っていない。


竜胆本部内の廊下を走って迫りくる鬼より何とか逃げる。

右の大振りをかわし、左の突きは届かない距離まで下がる。

その繰り返しを数回行うが鬼飼に満足いったような気配は見られない。


「立黄さんタンマタンマ!!」

「誰が待つかァ!!」


朱璃が何とか攻撃をかわしながら停戦要求を送るが突き返される。


それを受け二人は逃げながら作戦会議もとい押し付け合いを行う。


「よし、纏お前相手してこい。」

「絶対やだよ。願が煽ったんだから願がやりなよ」

「お前俺の入隊前に喧嘩売ってきただろ」

「あれは絶対願が入ると思ってたのとテンション上がってたからだよ」

「なんで今上がってないんだよ」


建物から職員の憩いの場となっている中庭まで逃避行は続く。

道中他の職員にもすれ違ったが誰も止める者はいなかった。


「さすがに美鈴ちゃんに怒られちゃわない?」

「今更だろ。」

「あとはじめちゃんもだよきっと。あの人の説教怖いんだよ~」


朱璃が弱音を吐いたところで作戦会議は中断となる。


「死ねェ!!」

「『吹っ飛べ』!」


中庭に置かれた岩に触れ、飛ばしながら二人は再度後退する。


「うらァ!!」

両手を握り叩き込むようにして岩を破壊する鬼飼に対し白刃は心底嫌そうな表情を見せた。


「うげぇ」


「いつまで逃げてんだてめェら」


苛立ちを一切隠さず鬼飼は二人へと投げかける。


「いや~立黄さん。ツラ貸せって言ってましたけど貸したらどうなります?」

「何度も言わせんな。いいから貸せって言ってんだよ。」

「え~めちゃくちゃじゃないっすか」

「うるせェよ。そもそも規則を破ったやつに対して理由なんざ説明する必要もねェ」


鬼飼の言い分に対し白刃が切り返す。


「じゃあ聞き方変えるがあんたはなんで苛立ってるんだ。俺たちのあの行動はルールの上でお咎めなしになったんだ。

アンタがそんなに規則を重んじてるならそこで終わりだろ。

人を殴る理由に世界を使うなよ。」

「うわ!なんでここまで来て煽るの願!」


「うるせェんだよ。」

手のひらに残った岩の残骸を粉々に握りつぶしながら鬼飼は吐き捨てた。

「人間様のが規則より偉いのかァ?そんな勝手なことして他のやつらが死んだらどうするつもりだ。」


その言葉を受け白刃は少し考え込み、口角を上げ射通すような目を鬼飼に向ける。


「なるほどな。死なせたくないやつがいたのか。あの場にいたかもしれない人間に。」

「あァ!!??誰がそんな--」

「当たりだな。」


鬼飼の返答を待たず、白刃は全力の蹴りを顔に叩きこんでいた。

鬼飼は建物の壁を壊しながら吹き飛んだ。


「カマかけたの?ひっどいやつ」

「そんな気がしただけ。もういいだろ行くぞ」

「ふ~ん。」


からからと笑いながら朱璃は白刃を小突き、その場を離れようとする。


「待てやァ」


ガラガラと音を立てながら瓦礫をどかし、立ち上がる鬼飼に対し、嫌そうな表情を隠そうともせず白刃は告げる。


「もういいだろ。

俺とあんたは考え方も感じ方も違う。

今回のは確かにルールを破った俺が悪かった。

でも誠心誠意謝ってもあんた納得しないだろ。」


「いいやだめだな。お前から本音が見つからねェ。このままじゃ許して置けねェな。」


背中より再度鬼が顕現し白刃を睨みつける。


「ハァ。じゃあ気絶してもらうしかねぇな」

「こい。」


二人が再度その歩みを進めようとしたその時。


「何してるのバカ兄貴!!」


少女の声が中庭に響いていた。

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