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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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報告②

第31話


「一ちゃん。曜って誰なの?」


朱璃の無垢な疑問がその場に放たれる。


「昔の知り合いだよ〜。性格悪くて優しいやつ。」


「矛盾してない?」


「願みたいなやつだよ。」


「なるほど。」

「誠に遺憾だな。」


金陵が再度溜息をつき、綺堂が柳について説明をする。


「今回の調整が第6周期なのは覚えてるな。」


「「はい」」


「柳さんは第5周期の際総隊長と共に調整鎮圧に当たっていた。そんでもって俺に共打を仕込んだ恩人だ。」


「へぇ、じゃあ元竜胆なんですね。」


「正確には前身組織だ。むしろその人のせいで竜胆は産まれた。」


「やらかしたってことすか?」


朱璃の直接的な質問に金陵は苦笑いしながら答える。


「私は直接会ったことは無いが竜胆発足時にそう伝えられたな。第一級を含む幼界を計362発生させて日本をぐちゃぐちゃにしたんだ。」


「そもそも第五周期っていつあったんですか。」


「30年前だよ〜。あの時は政府公認の組織だったしそういう能力者が居たからその記憶と記録は一部除いて無かったことにしたの。」


つまらなそうにそう言う柊の表情を伺いながら白刃は続ける。


「んで、どう対策するんですか?」


朱璃が不思議そうな顔をしながら白刃へと聞き返す。


「対策?」


「一ちゃんの言う古い知り合いはその柳ってやつのことだろ。んで今ちょっかい出されてる。対策がいるだろ。」


「たしかに!なるほどね〜。一ちゃんどうするの?」


「まずは穴の解明だよね。私とつるんでた頃は使えなかった筈だから。あと願。他に気になったことは?」


「あ〜じゃあ本質からはぶれる気がするんですけど。」


「いいよ〜」


「真打ってなんです?」


煙草を口に運ぶのをやめ、柊は悩みながら声を絞り出す。


「うーーーん。それ、ここ以外で誰かに話した?」


「いや、初めてですね。」


「んじゃ口外禁止を厳命します。念の為結と熾織もね。」


「もし破ったら?」


「今回の魁具土命無断使用を理由に2ヶ月減給だよ。」


「うげぇ。わかりました。」


「纏もだよ。喋ったら説教。」


「うげえ。わかりました。」


「真似すんなよ。」

「たまたまだって〜」


軽口を叩き合う2人に対し笑いながら柊が続ける。


「まだ真打を教えるには早い気もするんだけど知ってしまったらもう教えるしかないんだよね~」


「まだ早いってどういうことですか?」


「そのままの意味だよ。教えてもデメリットの方が大きいの。基本うちでは隊長が達していると判断したら教えるんだけど、、」


「お前たちにはまだ早いんだがな、、」


「え~美鈴ちゃんひどい。結ちゃんと熾織は?」


「火簾はそろそろ行けるだろうな。黒花さんはお前たちと一緒だ。」


「予想する限りだと『魁』への慣れというか、、扱いの巧さがかかわってくる感じです?」


綺堂が手元の書類に簡易的な図を描きながら説明を始める。


「要は真打は魁の器なんだ。

今白刃が魁への慣れがいると言ったな。

それもあるがもうひとつは影打の習熟度。

後は本人が本当にどうしたいかがはっきりしてるかどうかだ。


そこ2つが足りてないと器は歪で未熟になる。そこに水を際限なく注いでみろ。暴れるし大して入らん。最悪壊れる。」


「なるほど〜調さんの説明分かりやすいね。」


「それと教えるしかないのはどう関わってくるんですか?」


「知ってしまったら選択肢になる。選択肢になればその瞬間から真打は作られ始めるんだ。」


「うげ、じゃあ俺ら強くなれないってこと?」


「いやそんなことは無い。真打に完成はないんだ。能力がガラッと変わる例もあったくらいだからな。これから急ピッチでお前らを鍛える。火簾・黒花には言わずに今日から特殊訓練だ。」


「「は〜い」」


「自分の方で方針を決めてしまいましたが問題ないでしょうか?柊総隊長。」


「うんうん問題ないよ。訓練には調と美鈴が出てあげて。多分響とこの2人相性悪いから。」


「「承知致しました。」」


「んじゃ。私は曜について情報探りながら方針決めるから。2週間くらいは調と美鈴で全体指揮とこの2人の特訓お願いね。」


----


「いや〜大変なことになったな。願」


「あの二人への口外禁止がしんどいな。お前いつかポロッといいそうだ。」

「人の知能指数低く見積もりすぎでしょ。このまま訓練だろ〜?すぐ行こうぜ。」


「準備がいるって言ってたけどなんなんだろうな?」


「しらな---」


下駄を鳴らしながら放つ朱璃の適当な返事は最後まで白刃に届かず


「おいてめぇら待て。」

「ん?」


そこには先程の会議で白刃の魁具土命独断使用への裁定に異議を唱えた男 鬼飼立黄が立っていた。

顔から既にブチ切れ寸前なのを感じとり白刃は「面倒な。」と思いつつ対応する。


「ツラ貸せ。」

「やだよ。」

「あぁ!?」


「有難いことに魁具土命使用についてはお咎めなしかつ言及不要になったもんでね。話すことはねえよ。」


「っざけんな!そもそも納得いってねえって言ってんだろうが!あと敬語使え!」


「うわぁーダメだよ願。立黄先輩厳しいから。怒ったら止まんないよ。」


「文句があるなら隊長から伝えられた時点で理由とともに突き返すべきだ。少なくともこいつの目からそんな理論は見えん。」

「すっげえ言うじゃん。」


朱璃が視線を鬼飼に戻すとまさに鬼のような表情となっており今にも手が出そうな様子であった。


「いいからとっととツラ貸せやてめぇら。」

「えぇ!俺まで?」


その鬼飼の背後からは形容しがたい何かが顕現しており一触即発の空気となる。


「はぁ。せめて訓練遅れますまでは伝えておきたかったな。」


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