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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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報告

特に何も起こらない回です。

最近電鋸を振り回す男が失恋する映画を見に行きすぎていて時間の確保ができてないですね

報告を始めようとした矢先に隊務規定違反についての糾弾が行われ、空気が静まり返る。


「んで、どーなんだよ。なんで指示もでてねえのに魁具土命使ったんだ。」


金陵はその糾弾の犯人に対し、少し眉を細めながら声をかける。


鬼飼(おにかい)隊員。そちらについての審議は事前に済ませた。王善(おうぜん)隊長からも共有を受けているはずだ。」


「俺は納得いってないもんでね。んで、どうなんだよ。答えろよ。」


「どうすんの願くん。多分私たちだよどっちかって言うと」


火簾がバツの悪そうな顔で白刃へと耳打ちする。


「金陵隊長から発言の許可が降りてないもんでな」


対する白刃は堂々としたものであった。


「コソコソ喋ってんの聞こえてんぞ!そもそも!お前ら魁具土命を不用意に使うとどんな影響があるのか知ってんのか!?」


「金陵隊長。発言しても?」


頭を抱えながら金陵はその白刃への質問に回答する。


「ハァ...。構わん。」


「知ってますよ。幼界の暴発。言ってしまえばスタンピードですね。話を聞く限り、幼界内の『魁量』の許容量に対して空間に『魁』が少ないほど発生確率が高いと言われている内容ですね。」


「ああそうだ。スタンピードが発生すると本来幼界のみでしか存在できないはずの亡獣共が短時間とはいえ外で暴れ出す。その時にお前は責任取れんのかって話してんだよ!」


「責任を取れるか にのみ言及するなら無理でしたね。ただあの状況だともう魁が空間には満ちてましたし、また次会ったとして、その時も本部に連絡が取れない状況なら僕使いますよ。」


「ハイハイそこまで〜。願も立黄(たつき)もこれ以上この件に関する言及は禁止とします。」


「ハイ。」

「でも柊さん!」


「立黄〜。禁止って言ったよ。確かに気持ちは分からんでもないけど今回はイレギュラーケースすぎたからね〜。危険性を考慮した上で中の被害者を優先したと判断し今回は不問とします。謹慎や魁具土命使用禁止の出撃はメリットないし。」


柊が目線をそのまま金陵に移し、司会進行を促す。


「それではそのまま白刃隊員。あとは..黒花隊員。今回二手に分かれて対応したと聞く。それぞれ報告を頼む。」


「はい。俺と火簾で北口。黒花、朱璃で南口を担当しました。

北口には5体いましたね。北口側には生存者はいなかったです。亡獣のうち一体は堕蛇ってやつです。他の亡獣は排除した後だったんですが最後の一体がそいつだったんで魁具土命を解放しました。南口の状況が分からないってのもあって。


亡獣処理後、能力を扱える人間に会敵。戦闘に入り南口のメンバーと流れで合流しました。相手も魁具土命使用してましたね。」


「堕蛇が、、?」


それまで口を開くことがなかった綺堂が不可解そうに声を漏らす。


「綺堂隊長ご存知で?」


「いやすまない。1度報告を済ませてくれ。」


話を振った金陵に対し手を振りながら報告の続きを求める。


「南口については私から報告します。」


黒花が1歩前に出て報告を始め、周囲もそれに集中する。


「南口向かう途中の改札に生存者多数。以降の戦闘における被害はゼロです。こちらも北口と同様亡獣排除後人間と会敵。戦闘に移行。その後敵に増援。すぐに撤退しました。」


報告を終え、柊からの質疑に入る。


「ほ〜〜。ねぇ纏と熾織はどう思った?」


「めっちゃ強かった。特に増援の方。」

「そうですね〜。あとは男がキモかったです。両方。」


「お前ら.....」


簡潔ではあるがあまりにも主観的過ぎる報告に対し、金陵が呆れる。


「ふんふん。願と結は?」


「もう会いたくないですね。」

「私もです。特に女の方。」


「お前ら...........」


「ほお〜。んで願、何かしら情報はとってきたの?」


「おそらくですが今回戦った男女の能力。敵組織の目的がどこまで共有されてるか。位ですかね。」


「うんうん。じゃあそれを一旦基準に方針決めようか。まずは幼界への侵入だよね〜。穴から出てきたって聞いたけど。今回補佐に入った4番隊は感知してないんだよね。」


柊が綺堂に目をやりながら行った問いかけに申し訳なさそうに綺堂は答える。


「そう部下から聞いております。」


「こっちにバレたくなかったのか。面倒だな〜。」


----


方針決定の会議は粛々と行われ、各自の今後の動きについても決定し、会議は終了となる。


綺堂が書類をまとめながら退室とともに白刃へと確認を取る


「それでは失礼します。あ、白刃 このあと時間あるなら穴と堕蛇についてもう少し詳細に聞きたい。」


「構いませんよ」

「え〜調さん俺も穴見たんだけど!」


「お前は魁の探知苦手だろ。訓練してろ。」


そう軽口を叩く朱璃に対し軽口が返ってくる。


「あ〜調と願〜。後美鈴と纏。4人は残って。」


そう書類に目を通し、タバコの煙を吹きながらながら柊一に指示され4人は残ることとなる。


「どうされましたかな。」


「あんまり人が多いところでは話したくなくてね〜。」


「結と熾織は?」


「あの二人は早々出てっちゃったからね。ここの話の共有は美鈴に任せるよ〜。」


「承知致しました。それで柊総隊長。お話というのは?」


金陵が少し不思議そうにそう問いかける。


「今回の1件と....泣蜘蛛の際もそうかな。やり方が昔の知り合いに被る。願と纏は違和感なかった?あと調は幼界の観点から。」


「ああ、ありましたよ。あの場での報告は少し憚られるものだったので言わなかったですけど。」


「お、なになに?」


「柳と呼ばれた老人が『一によろしく』と撤退の際に」


「柳だと?本当にそう名乗ったのか?白刃」


綺堂・金陵の顔色が変わり、そう確認を取ってくる。


「いえ、そう今回戦った男が話していました。」


タバコの火を揉み消し、

柊が初めて見せる嫌そうな表情で


「生きてたのか...曜。」


と零す。

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