尋
人の消えた駅を出てすぐにあるベンチ。
辺りには血が飛び散り脚が少し先に落ちていた。
「『弾け』」
「ぐふっ」
「もう1回聞くぞ。お前達の組織名。目的。構成人数。主要なメンバーの能力。なんで今回俺たちを襲った?全部いえ」
「何回目?諦め悪いなぁ」
「そろそろ諦めて殺しそうだ。」
「じゃあはやくころ「『弾け』」ぅっ!!」
少年に対し、500円玉ほどのサイズの瓦礫が飛ばされ額の中心へと衝突し、弾ける。ただその体はベンチに完全に固定されていて衝撃が逃げることも無い。
聞く
煽る
瓦礫が飛ぶ
聞く
黙る
瓦礫が飛ぶ
聞く
嗤う
瓦礫が飛ぶ
この繰り返しを既に2人は48回繰り返していた。
ベンチの前には瓦礫から椅子が作られていてつまらなそうな表情の白刃が左手で瓦礫を触りながら質問を繰り返す。
「そろそろ変えるか。ここからは質問への回答以外は指の関節を捩じ切る。」
「答えないんだけどねーそんなことしても。待ってよ願君。どうせなら僕の質問に答えてよ。それなら答えてくれる度に僕も質問答えるから。」
「うーーん。3回やるよ。」
「優しいねぇ〜。それじゃ1つ目。拷問が趣味なの?」
「いや、初めてだ。最悪の気分だな。至らぬ点でもあったならまた教えてくれ」
「あ、そ。」
「俺の質問だ。お前たちの目的は?」
「ごめんね。知らないんだ。知らされてないし興味もない。」
「そうか。」
「次はこっちね。どうして戦ってんの?」
「必要だからだな。俺の目的のために」
「目的かぁ。いいなぁ。」
「次の質問だ。なんで俺達を襲った?」
「神奈川のちっちゃい幼界あったじゃん?泣蜘蛛が出てきたヤツ。アレ見て楽しそうだなぁって。」
「....」
「んじゃ最後の質問。この状況で拷問したのはあの子達に見られたくなかったから?」
「さぁな。」
「あ〜逃げた。」
「こっちも最後の質問だ。お前の能力は『過去の再現』で間違いないか?」
「...ぴんぽーん。つまんないの。全部バレてたのか。」
少し目を見開いたあと溜息をつきながら紫沫は答える。
「いや、ほぼ予想だった。コピーでも通りそうな状況だったからな」
「なるほどね〜。なんでコピーじゃないって踏んだの?」
「今拘束を俺の能力使って解かねえからだな。」
「あちゃ〜なるほどね。よく見てるねぇ。」
「あと泣蜘蛛の幼界の話。あれ後からその能力使って見たってところか?」
「そうだよ〜。便利でしょ」
まるで友人との雑談かのように2人は話し続ける。その会話は少しづつ終わりへと近づいていた。
「んじゃ。確認したいことは6割ほど取れた。これ以上は拷問も意味ないだろうし時間もねえな。言い残すことは?」
「また逢おうね。」
「もう会わねえんだよ。」
「ううん。また遭うよ。」
意味深な言葉と共に純粋な瞳で紫沫が答える。
その言葉と共に、
二人の間に穴が空く。
「これは泣蜘蛛の時の..?」
「こんにちは。白刃願君。」
杖をついた老人。
穴の中心で礼儀正しくそう話しかけてくる。
瞳には敵意も害意も宿してはいなかった。
ただ白刃にはその事実が気味悪く感じ、大きく後ろに下がる。
「あ、柳さん来たから帰るね。願」
「チッ。そういうことか。あと下の名前で呼び捨てにするな。」
「次は勝つよ〜!真打互いに覚醒させておこうね」
真打という知らない単語につい眉を潜め、白刃が聞き返そうとすると
「こら紫沫喋りすぎだよ。」
老人が困ったように笑いながら止めた。
「もう陣も咲羅も回収したからね。撤退だ。」
「はーい。」
「あ、そうだ白刃君。」
柳と呼ばれた老人はそう振り返りながら微笑む。
「一によろしくね。」
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「ハァ...ハァ...2人とも無事?」
「何とか...」
「なんなの〜...あのおじさん」
刀を支えに何とか座りこまないようにしている朱璃が2人の安否確認をとる。
「とにかく....願と合流しねえと。もしかしたらあの爺さんがおっさんと女の子連れて願の方に行ったかもしんねぇ。」
「そうだね。早く向かわないと」
「ちょいまち〜2人とも。多分撤退だと思うよ。幼界も収束し出してる。」
八王子駅構内に満ちていた『魁』が薄まっていくのを感じながら火簾が2人を抑える。
「合流する前に美鈴さんに報告だけしとこう。多分願君もこっち来るよ。」
「む、たしかに」
朱璃は納得がいったようで耳につけている通信機器から本部へと連絡を開始する。
「--了解した。2番隊天竺牡丹は4番隊に後処理を引き継いで撤退してくれ。」
「撤退だって。願迎えに行こうか。」
その後白刃と合流し4人は本部へと帰還。
そのまま会議室で報告となった。
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「失礼します。」
「入ってくれ。」
金陵の落ち着いた声が4人を室内へと通す。
「今回の幼界制圧ご苦労だった。早速で済まないが報告を頼む。」
「ちょっと待てよ。その前にこいつらの規定違反をどうするつもりだ?」
金陵の司会を遮った声の方をむくと
赤毛を逆立たせた髪型の男が恨めしそうにこちらを見ていることを確認し、白刃願はため息をついた。




