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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
26/42

合流

再度斬撃が咲羅から放たれた。。

その斬撃は、朱璃・黒花両方へと贈られる。


「さすがに届かないでしょう?」


朱璃と黒花はこれまで、付かず離れず互いのフォローがすぐにできる距離感で戦っていた。ただ今強制的に相互の距離を取らされ黒花と自分両方は選べない状況となっている。


「(迷うな。)」

「大進壊!!!」


朱璃が放ったのは全身のバネを直進にのみ利用する突き技。自分へのダメージを無視し、黒花を襲う斬撃を全て止めて見せた。


ただとめた本人には


「あらあら、まるで英雄(ヒーロー)ですわね。」


「朱璃君!」


凍り、裂かれ、戦闘続行不可能と通常なら判断されるような傷がついていた。


黒花は動揺し朱璃へと駆け寄る。


「もう十全な動きはできないでしょう。」


鎌を振り回し遊びながら咲羅がそう問いかける。


「仕事としては充分ですかね。期待はずれと報告....」

「しーちゃん」


空気を割く音と共に鞭のようにしなった蔓が咲羅の腕に傷を入れる。


「....あら?勝負はここからと言った具合でしょうか?」


傷をぼんやり眺めながら咲羅はそう続ける。


「あなたの攻撃と私のせいで、朱璃君に傷が入った。もし死んでたら?もう動けなくなったら?」


「結ちゃん....?」


凍った傷口を押えながら朱璃がそう問いかけた黒花の目は怒りに振るえていた。


「私はそうなったら何も許せなくなる。朱璃君は白刃くんの友達なの。仲間なの。白刃くんが傷ついてしまう。とっても大切なの。なんで白刃くんを傷つけるのかな?」


「あらあら。怒らせてしまったみたいですね。」


「仕事ってなぁに?私と朱璃君を抑えておくこと?戦力としての把握もあるのかな。誰に伝えるの?もしかしてその指輪の番の相手?」


少し不機嫌になった咲羅は睨めつけるような眼差しで黒花を見る。


「答える必要がありますでしょうか?そして私の夫を番呼ばわりはやめていただけます?」


「あはは。ちゃんと怒るんだ。もっと教えて。ちゃんと踏み躙るから。」


「凍刈」

「しーちゃん」


先程までされるが儘となっていた斬撃を黒花は蔓の鞭で叩き落とした。


錫杖のような形の魁具土命を振り回し器用に蔓を生み出し、組み合わせ、絞り、ギリギリまで細くする。


「別の技出したら?」


明確な挑発。

先程まで自分の動きに着いてこれていなかった少女が自分の技を見切った事。

自分の夫への侮辱。

咲羅は敢えてそれに乗り応戦する。


悴刃割(かじわり)


空気を凍てつかせながら斬撃が地面に獣の爪痕のような不規則を描き黒花へと襲い掛かる。


しかし、


「しーちゃん。(つるばみ)


大量に作成された鞭がさらに結集。これまたギリギリまで引き絞られ斬撃を一掃する。


凍って砕けた蔓はそのままにすぐさま蔓が成長し、また引き絞られる。


「(面倒な....)」


「貴女はその人に何を大事にされてるのかな。可愛らしい顔?心?綺麗な身体?」


咲羅は背筋を伝う悪寒を振り切るように鎌を振るい攻撃を繰り出そうとする。


その時であった。


遠くから声が急速に近づいてくる。


「『吹っ飛べ』」

「やるねぇ!!」


線路に乗り捨てられて古くなった電車と共に。


電車が1両ずつ鎌で両断されてゆく。

ただのその電車から大量の火の玉が現れた。


「壱陽燕!!」


白刃・火簾と紫沫の戦いは北口から少しずつ場所を移しホームまでたどり着いていた。


「あの技は..熾織の...!!」


「あら、こちらに来たのですね。」


紫沫が咲羅の隣まで下がり会話を続ける。


「いや〜。この2人楽しくって。どう?そっちは」

「何呑気にお喋りしてんだ?」


ただその会話は白刃の小太刀二本による急襲にて中断することとなる。


「うぁっぶ!!」

ギリギリで紫沫がこれを躱した横から咲羅が迎撃する。


「凍刈」

「しーちゃん。」


ただその刃は白刃に届く前に叩き落とされる。


「そっちもこっちも揃ったみたいだね。」

紫沫はそう笑い構え直す。


「熾織。そこのバカの傷口溶かしてやれ。」


「あいさ。」


「纏。まだ動けるか。よくやってくれた。」


「え〜。見てたの?」


傷口を火簾に差し出しながら朱璃は恥ずかしそうに笑う。


「傷見りゃわかる。」


「なるほどね。」


「結。カバー頼む。一旦おれとこいつで前衛。二人はフォローだ。」


「任せて。」


その様子を見て紫沫が楽しみを奪われた子供のように喚き出す。


「えーーーー!纏くんボロボロじゃん!?当たりは願くんだけ!?」


「紫沫さん。同じことを私も思っておりました。」


咲羅も同調し、二人で纏を笑う形となる。

その笑いを断ったのは白刃であった。


「何言ってんだ。てめえら最初から俺たちとぶつかるのが怖かったからわざわざ亡獣使って分断と消耗させたんだろ。」


「「は?」」


「はは。図星じゃねえか。あとなんだその指輪。結婚でもしてんのか?新婚旅行は終わったのか?」


「どういうこと願くん」


紫沫が怪訝そうな表情で問いかける。


「まだならいい行先を知ってるもんでな。地獄までの直行便案内してやるよ。」


黒花が続き


「そうだね。八番目なんかがおすすめかな。」


「言ってくれるねぇ。」


白刃は返答を意ともせずしゃがんだままの相棒に向かい発破をかける


「おい立てバカ。とっとと終わらせるぞ。」


朱璃は色々な感情を一言にまとめ、続く。


「......おう。気合い入ったわ。」

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