勃発
「戦ってみたかったんだよね。君か纏くんと。」
「戦闘狂のチャラバカは1人いりゃ十分なんだが」
「ひっどいね〜。せっかく逢いに来たのに。見てたよ。堕蛇を倒すなんてすごいじゃない。」
その少年はニタニタ笑い、先程まで蛇がいた場所へと移動しながらそう答える。
「そりゃどーも。んで戦うつもりはないが何するんだ?雑談か?」
会話を続けながら白刃は火簾へと攻撃準備の合図を送る。
「つれないこと言うなぁ。殺そうとしてるくせに。魁具土命も解放したままだし。」
「警戒すんなって方が無理だろ。」
「うんうん。私もそう思う。」
「ありゃ、そっちの女の子にも嫌われちゃったか。」
「うーん」と頭を捻りながら目の前の男は考える。
「あ!ねえ願君。ここにはそこの女の子と合わせて4人で来てるの?」
「だったら?」
「君以外全部殺したら戦ってくれるかな?」
「その前にてめえが死ねよ。」
湧き出る殺意と共に白刃は攻撃を繰り出していた。
「『潰せ』」
もし蛇が火簾との攻撃で排除できなかった場合に備えて残していた看板が膨れ上がり落下する。
「黄環子円」
真正面。まるで結ばれたかのように火簾の手元から黄金色の炎が爆ぜながら少年へと向かい、縛らんとする。
「じゃあ。自己紹介から行こうか?」
満面の笑みを見せながら迫る炎をかき消し、看板から距離をとる。対する二人は返事もせず攻撃を続ける。
「僕の名前は東雲紫沫。能力は秘密だよ。女の子のタイプは足が綺麗な子かな。食べ物だと--」
「『貫け』」
白刃の放つ小太刀が自己紹介を無視して襲うがギリギリでかわす。
「最後まで聞いてよ〜。もうしょうがないなぁ。
食べ物はとんこつラーメンが好きかなぁ。はい!自己紹介終わり!...それじゃ、『幾星霜蹲れ』」
男の掲げた左手が武器を表す。
その手には、大型の赤い鎌が握られていた。
----
「大双壊!!」
「しーちゃん!」
「はははっ!!すごいですねぇ!!」
黒花による蔓を密集させた槍と朱璃による一瞬分身したかと見紛う速度の左右同時攻撃を難なく捌き切りながら少女は笑う。そして
「ちゃんと躱してくださいね?」
その微笑みは妖しさを増し殺気を放つ。
「凍刈」
手元で青く光る鎌を振りかぶり多数の斬撃を放つ。
「またあれだ!結ちゃん!」
空気を凍てつかせながらその斬撃が2人を襲い、後退を余儀なくさせる。
「朱璃君!」
すぐさま朱璃が咲羅へと急襲をかけるための移動路を蔓にて作成し、同じ攻撃をさせぬよう蔓にて妨害する。
「(私が朱璃君の足を引っ張ってる...!!)」
黒花がそう思うのも無理はなかった。
黒花の出す黒い蔓は『魁』で作成されたものとは言え、基本的な性質は実際の植物とあまり変わりはなく、冷気や熱気に弱い。凍れば脆くなってしまう。咲羅の能力を「凍らせながら斬る」ものと仮定した場合どうしても相性的には不利である。
また、黒花の認知していないところでも現状朱璃が120%を出せていないことに理由があった。
---
「うーん。能力ありなら6:4で願 能力なしなら7:3で俺って感じかぁ。」
「お前ずっと能力使ってるみたいなもんだろ。」
「まぁそうなんだけどね。」
白刃・朱璃は訓練場で訓練として
能力使用あり・なしをそれぞれ10本で勝負していた。
それが終わり訓練場で二人は軽食をとっていた。
「あ、でさ願。話変わるんだけど」
「なんだ。」
「結局願って結ちゃん好きなの?」
口に軽食を運ぶ手が止まり白刃は朱璃を見る。
「急だな。」
「前から思ってたよ。そんで!どうなの?」
「大事だよ。」
「ふーん。」
「だからお前に頼みがある。」
「ん?何?」
日頃からぶっきらぼうで愛想の悪い友人の放った言葉に朱璃は驚きながら声を返す。
「天竺牡丹ができて4人で行動が増えるなら、お前と結が動くパターンもあるはずだ。そのとき結が危なかったら守ってやってくれ。」
「結ちゃんなら必要ないでしょ〜充分強いし頭いいじゃん。」
「だからなんだ。あいつは自分の命が軽い。自分の命を平然と勝負の賭け金にする。」
「ふーーん。まぁいいや。任された。」
「危なくなったら代わりに死ね。」
「酷くない?」
笑い混じりの約束がここで交わされていた。
---
「(結ちゃんを守る。こいつを倒す。できるだけ熾織と願と早く合流する。)」
頭の中でやる事が増え、朱璃の脳内は忙しなく動いていた。
『定まらぬ剣先』
以前朱璃のこの能力を白刃は「テンションが上がるほど身体能力が強化される」能力と考えていたが実際は異なる。
正確には
「単純であればあるほど身体能力が強化される」能力であり、現状朱璃はその50パーセント程しか真価を発揮できていない。
「あれ?朱璃纏さん。貴方もう少し強い筈では?」
咲羅の鋭い鎌の一撃を立ちで受け止めながら自ら吹き飛ぶ。
咲羅は距離を取った朱璃に対し笑みは妖しさを増す。
「やっとわかりやすいミスをしましたね。」
そしてそれは、致命的な隙を生むこととなる。
「凍刈」




