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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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戦闘開始


火簾熾織の魁具土命は小ぶりな燭台であった。

燭台には少し長めの蠟燭がついており、不吉に火が笑う。


「んじゃ、いきますか」

「おう」


物陰から白刃が飛び出し散乱した駅内の瓦礫や木製の看板の破片の中で鎮座する蛇の前にその姿をさらす。


「『貫け』」

「■■■■■■」


攻撃は同時であった。

白刃のは小太刀とともに大量に結んだ木片を飛ばす。

蛇の大きく開けた口の中には人間の顔。

その顔の叫びとともに電撃が放たれる。

白刃はそれを回避し自分の攻撃が当たったことを確認しすぐさま退がる。


既にその口元には次の言葉が。

「『弾けろ』」「『燃えろ』」


途端蛇の周りでは木片が弾け、ともに弾けた別の木片が燃え始める。

その炎は、糸で結ばれたかのようにつながっており、終端は火簾の持つ燭台であった。


灰円(すすまど)


火簾の持つ燭台が燃え上がり、炎が勢いを上げながら蛇を締め付けだす。


『勝手な死神』

火簾熾織の使用する能力、その内容は「火を操る」

デメリットは火を0から生み出すことはできないこと。

火種が尽きると能力による操作も終了すること。

メリットは火力と汎用性の高さであり、サポート・メインアタッカー両方が行えること。


また彼女の魁具土命は弱いながらも蝋燭に炎がともるため魁具土命使用後は別個の炎を必要としなくなる。

非常に強力な能力である。


燃え、叫びながらその蛇は

「■■■」


次の攻撃を開始していた。


---


「纏君。さっきはありがと」


「大丈夫だよ〜さっきのは結ちゃんが正しいと思うし俺は。」


黒花による黒い蔓での防護壁を敷き終えた2人は亡獣の排除を終え、生存者の保護と残った2人との合流のため南口から改札へと戻っていた。


「それでも助かったよ。ほんとにヒーローみたいなこと言ってたもんね。」


「夢だからね〜。」


「そうなの?」


「そうだよ。そっか。結ちゃんには話してなかったもんな。俺親が居ないんだよ。」


「え?」


「死んだとかじゃなくて、急に俺置いてでてったの。」


唐突に始まった身の上話。それを受け止めきるのに黒花は黙り込んでしまう。


「ああ!ごめん。そんな顔させたかった訳じゃないんだけど。まぁでも重いよな。」


「....それとヒーローに、なんの関係があるの?」


「誰かを助け続けていたらいつか会えるかもしれないじゃん。名前が知られたら届くかもしれないし。」


「そっか..強いんだね。」


「まだまだ強くなるけどな。」


互いの中で、強さの定義に食い違いが起きていることを黒花は察しつつ言葉をかける。


「じゃ、頑張らないとだね。」


「もちろん!願にもそう言われたし」


「え?」


「お前にしちゃ最適解引いてるって」


「白刃くんっぽいね。」


「だよな。」


と二人が白刃について話しながら防護壁に戻り目にしたのは一人の女子高生だった。


スカートが非常に短いセーラー服

耳と首には過剰なほどの装飾品

そして左手薬指に見える指輪。


どうにも2人には異質な存在に見えた。


「失礼しております。私、東雲咲羅(しののめさくら)と申します。お二人のお名前は黒花結さん。そして朱璃纏さんでお間違いないでしょうか?」


「だったら?」


名前を知られていることで警戒度をあげ、厳しい眼差しでその少女を黒花と朱璃は睨みつける。


「そんなに警戒なさらないで下さい。勧誘ですよ。ウチに入りませんか?幼界発生から非常に早い行動。せっかく用意したあの子達もすぐ消されてしまいました。」


「生憎もう勧誘済みなのよ。」

「そうだな。つーかあんたがアイツら出したわけ?」


「あらあら、嫌われてしまったようですね。それでは。」


短いスカートの両端を摘み東雲は一礼 そして


「仕事と行きましょうか。」


殺気と共に『魁』を放ち、能力を発動していた。


「しーちゃん!」


黒花が手を地面につき、そう叫ぶと黒い蔓が身体から溢れ、壁を形成。一般人と自分たちを隔離する。


「あらあら、優しいのですね。」


特別邪魔することもなく目の前の少女はただ笑い続ける。




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