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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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出撃


「本部内通達!東京都八王子駅に第二級幼界発生!距離40!二番隊出動要請有!」


とある日。長閑な午後だった。三・五番隊の帰還を控え、午前の訓練・座学を終え顔合わせ前に白刃達が昼食を取り始めていたタイミングに警報が鳴り響く。


「お前ら!出撃だ!急げ!私は状況を抑え次第四番隊の手配と情報統制を行う!」


「「「「了解!」」」」


白刃達は迅速に対応し、出撃のため本部管制室へと向かう。


「おう、お前らか。」


「調さん!天竺牡丹でます!お願い!」


朱璃が管制室に駆け込むやいなや四番隊隊長綺堂に合図を送る。


「わかってる。固まってろ。『求道送(ぐどうそう)』」


『求道送』とは、二点にある『魁』を結び、1点とする

『竜胆』内に共有されている『共打(ともうち)』と呼ばれる技術であり、能力である。

『追尋円』もこの『共打』に含まれる。

この『求道送』を扱えることが四・五番隊に配属される条件となる。


「飛ばすぞ、気張っていけ」


刹那。四人は既に戦場に居た。


----


四人は幼界の中心。駅構内にて状況をさらう。


「数が多い!熾織!」


既に『追尋円』を使用している火簾の思考が3人に共有される。


「北口に5!南口に3!南口に向かうまでの通路に生存者!その近くに亡獣!」


「南口にいけ纏!スピード勝負だ!数が多い方は俺が受け持つ!」


「私も南口に行くね。人が多いし」


「結、気をつけろよ!」


北口に白刃・火簾

南口に朱璃・黒花

が別れ現場へと急行する。


なお朱璃は白刃から南口に向かえと指示を受けた時点で走り出しており、黒花がそれを追う形となる。


「熾織はどうする。」

「自由に動いていいよ〜。合わせるから。」

「わかった。任せる。」


「にしても人が多いな。」


「昼なのと避難が遅れてる地域だからね。ホームに亡獣が湧かなくて良かったよ。非公式だとこういう時に避難指示しても聞いてくれない人が多いのが困るよね〜。」


「こりゃ第二級幼界とは言ってるがほぼ第一級幼界と同じと考えてよさそうだな。」


走りながら2人は現状の把握を続ける。


「だから美鈴さんも即突入じゃなくて私たちだけ先遣隊で送ったんだろうね〜。場合によっては一番隊案件だから。」


「なるほどな。」


「出来るだけ早く終わらせたいね。どうしたって被害者も増えちゃうから。あ、願君。そこ右に曲がって30m先。」


「了解。『貫け』」


左手の裾から暗器代わりの刃物を取り出し奇襲を仕掛ける。


----


黒花結が被害者のいる駅構内南口と改札の間ににたどり着くのと亡獣を朱璃が排除したのはちょうど同じタイミングだった。


「もう終わったの?朱璃くん」


「うん!怨牛だったからやりやすかった!」


「良かった。一般人はどう?」


「申し訳ない。5人くらい間に合わなかった。」


「そっか....じゃあここからは減らないようにしないとね。」


と2人が残りの亡獣をどう倒すか話し合い始めていると


「あの....」


不安そうな表情の女性が2人に割って入る。


「私たち助かるんでしょうか?」


その顔を見て黒花が応える。


「はい、危ないので1箇所に固まっていて頂きたいです。現在こちらに近づいてはいませんが亡獣..先程の化け物がまだ残っておりますので私たちはそちらの排除に向かいます。ここに防護壁も作ってから行きますのでご安心ください。」


「安心しろじゃねえだろ!!!」


黒花の言葉に異を唱えたのは別の男性。よく見ると腕に怪我をしている。


「何だ急に!そもそもお前ら間に合ってねえじゃねえか!ヒーロー気取りやがって!もう何人か死んだんだぞ!」


その罵倒にて生存者からいくらか非難の声が上がり出す。

黒花が浴びた罵倒に怯み、回答を出せずにいると


「それはごめんおっさん。間に合わなかったのは俺のせいだ。」

「もっと速く走れなきゃダメだった。もっと早くここに来れなきゃダメだった。ごめん。せめてあんたらは守るよ。」


その場の誰よりも通る声で、朱璃はまっすぐと伝えた。


非難の声をあげていたものは何も言えなくなってしまっていた。


「行こう。結ちゃん。」


「....うん。」


2人は駆け出す。守るために。


---


物陰に隠れながら会話をする男女が一組。


「なんかでかいのがいるな。」


「ね〜。せっかくあと一体なのに。」


白刃・火簾ペアは問題なく湧いた亡獣を討伐しその数をラスト一体まで減らしていた。ただ問題が一つ。


「なんなんだ?あの蛇。共有された過去出現亡獣リストにはなかったぞ。」


「う〜ん私も見た事ないなぁあんなの。」


北口の入口を埋め尽くす程の幅と電車6両以上はあろうその体長。


「急に生存者が居なくなったのはあいつの影響だろうな。あんだけでかいと俺の能力だと溜めが必要だな。」


「それじゃ〜私がメイン?ライターのオイルもうあんま無いけど。」


火簾はそう能力に使用する道具をプラプラと振りながら笑う。


「ここに来るまで温存しとけばよかったかな?」


「それだとあの4体の牛やらネズミやら時間かかってただろ。魁具土命使うぞ。」


「許可降りてないけど。大丈夫?本部と連絡なんか取れてないし。」


「隊員両名見たことの無い化け物。少なくともこっちサイドはあと一体。ガス欠のデメリットよりメリットが勝ってる。」


「確かにそうかも。」


「だろ。とっとと片付けてこっちの生存者保護が優先だ。今本部もドタドタでさっきから連絡しても出ないから許可取る前に行くぞ」


「美鈴さんごめんね〜。」


2人は魁具土神を手にし続ける。


「『示して見せろ』」

「『風吹けど笑え』」


竜胆に残された記録


第三級幼界:幼界生成時に50以下の生命を取り込んだ幼界。亡獣の数は1-3


第二級幼界:幼界生成時に50以上500以下の生命を取り込んだ幼界。亡獣の数は5-7


第一級幼界:幼界生成時に500以上の生命を取り込んだ幼界。亡獣の数は10-測定不能

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