調整開始
「ね、ねぇ白刃くん」
不安を隠せなくなっている声色で黒花結は白刃の手を取る。
「落ち着け、どうしたらいいか今考えている。」
と彼が思考を巡らせていると教室の面々も意識を取り戻したようでそれぞれ思うことをそのまま発している。
「何今の?」
「わかんない。誰かのイタズラ?」
「授業サボれる?」
そんな中、閉じ込められていることを把握させる一言。
「ドアがあかねえ!誰かが抑えてんのか!?」
クラスのサッカー部が教室の引き戸をを力ずくで引っ張っているがビクともしない。
『二次調整が開始されました。』
引き戸に触れていたクラスメイトを肉片に変えながら世界はそう告げた。
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「は?」
戸は開いている。
その先の廊下もこれまでと何ら変わらない風景。
白刃願にとってはその「不変」が異常に気味悪く見えた。
ただ、
「おい!吉田!!」
「ふざけんなよ!なんでドアに触れただけで!?」
クラスメイトの死。
「ここにいたら私たちもこうなるんじゃ、、」
次は自分がそうなるかもしれないという恐怖。
「え、、、?いやだ私死にたくない!」
分からない正解。
人がパニックを起こすには十分過ぎた。
1人を皮切りに洪水のように廊下へとクラスメイトたちが駆け出していく。
そんな中彼は震える黒花の手を握り続けていた。
その手の甲に朝はなかった紋様に気付かぬまま
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落ち着きを取り戻すまでどれくらいかかっただろう。
「結、そろそろ俺達も出よう。少なくとも今学校にいるのは危ないと思う。」
まだ元気はないようで頷くだけだった。
そんな彼女の手を握り続けながら彼はひたすら現状の整理を行っていた。
・電子機器は現状軒並み使い物にならない
・どうやら俺は『第6周期のプレイヤー』になった。つまり過去5回同様のことがあった。
・外から悲鳴や衝撃音は一切聞こえてきていない。
・俺には何かしら『能力』とやらがある。恐らく手の甲についてる変なマークもきっと能力由来
・現状この4点と死ぬ可能性がある。
脳内で現状から洗い出せる情報を洗い出し
「(結を守りつつとりあえず学校から出る。ほかは1度全部無視だ。)」
これ以上考えても無駄、と彼は結論を出し黒花結に声をかける。
「行くぞ、結」
血色の悪い細い手を再度握り直し、彼は廊下へ1歩踏み出した。
『プレイヤーの新規参加を確認』
『基準値の達成を確認 能力使用が解放されました。』
『同種族との接続を確認 個体値に反映』
彼は歩きながら黒花に確認を取る
「結、今の聞こえたか?」
「.....うん。 能力使用が開放されたって」
「よく分からんが直ぐに死ぬことは無いらしい。守りながら進む気ではいるがいざとなったら1人で逃げろよ」
「ううん。大丈夫。白刃くんと一緒にいる。足手まといにはならないから。さっきまでごめんね」
「(お、、)そうか、そりゃ助かる。頼むな」
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「白刃君は能力なんだったの?」
「ん?ああ、『指先の願』って名前だった。どんな能力かこれっぽっちもわからん」
「私もわかんないな〜。『枯れた紫丁香花』って名前なんだけど全然違うね」
「結にピッタリじゃん。苗字に花ついてるし。目も紫じゃん。」
「え〜。適当言うなもぉ〜。そういえば今どこ向かってるの?」
「ん~中庭」
この学校の中庭はある程度広く、障害物もあるしいざとなればそのまま正門まで走っていける。
さらに直接正門に向かうより早く着く。
「うちの教室は3階にあるから一階まで行かないといけないけど、そこさえ抜ければあとは何とか--」
「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎」
彼らを襲ったのは強烈な死の気配。
黒花結を抱えて近くの教室に飛び込みながら彼が振り返ると先程までたっていた廊下の壁は抉れていて、
死を纏ったようなオーラを放つ化け物がいた。
登場人物紹介②
黒花結
性別:女
髪色:紫がかった黒
趣味:勉強,運動
特技:暗記,カラオケ
家族構成:母
能力名:枯れた紫丁香花
好きなもの:食事 白刃願
嫌いなもの:母親
通信簿による黒花結の評価
学業:非常に優秀
部活動:所属無(生徒会会計)
担当教員より:
非常に優秀です。
課題・予習共に欠かしたことはなく、ほか生徒が積極性を見せない内容でも引き受けております。
本人は白刃君と仲がいいようでよく一緒にいるのを見かけます。




