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強欲と英雄  作者: とろろ
第二章 奇々怪界
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異変①


---


「はぁ。まさかこんなことになるとは。」


袖と裾口が少し広めに、

上着の丈が少し長めそれでいて履物の丈が少し短めに作られている学ランのような隊服に身を包み、幼界にて亡獣を殺しながら白刃願はため息をついた。その足にはブーツの様な革靴が履かれている。



「なーに悲しそうな声出してんの願?飯食ってねえの?」


「そんなんじゃねえよ残念頭。」


「ひどくねー?」


白刃は今、朱璃と共に第三級幼界の制圧を終えたところであった。


「朱璃・白刃両名 第三級幼界『神奈川県横浜港』にて生存者の保護・亡獣排除完了。これより帰還します。」


報告を終え白刃願は朱璃纏と共に界から出ようとする。


「なー願。結局何に悩んでたの?」

「この状況だよ。」


話は3ヶ月前。白刃願と朱璃纏が初邂逅を果たした日に遡る。


---


「ここに住むってどういうことだよ母さん。」


「そのまんまの意味よ。ここの庇護下に置いてもらう。私たちのことは守らなくていいって言っても貴方どうせ守るでしょう。なら近くの方が都合がいいわ。」


「それはそうだけど...」


「もう決まったことよ。進さんと揺にも連絡は付けてあるから貴方はとっととこの世界の知識をつけなさい。」


トントン拍子で話が進む。白刃願の母、白刃夢は無駄を嫌い、自分の存在が誰かの足枷になることを更に嫌う女性であった。


「そうだな。白刃君と黒花さんには今後の話も合わせてしておきたい。そういえば黒花さん。」


「はい、なんでしょう。」


「親御さんに連絡が取れなかったのだが...」


「ああ、必要ありません。きっと出ませんよ。」


「そうか。一応こちらで住所は調べてあるから、後で隊員を説明に送るよ。」


「お手数おかけしてすみません。よろしくお願いします。」


黒花結の柔らかい表情が少し強ばったのを見て、金陵はすぐさま話を移す。


「よし、それじゃ二人に改めて現状と私たちについて説明しようか。本当なら入隊前にするものなのだが....」


と、この世界についての説明が始まった。


「まず、先日も話した内容になるが

今日本では、『調整』が行われている。


正確には『第二次調整』だな。君たちのような能力者を発現させる儀式だ。

日本人を一度に大量に能力者になれるかどうかの篩にかけるのが目的と考えられている。

次に、私たちのような『第二次調整』前から能力を扱うことができ、亡獣と戦っている者は『第一次調整』.... 今回よりもかなりの小規模で幼界が、発生することが以前よりあった。その幼界にて目覚めた能力者だ。基本的にうちの本部構成員の能力者のうち君たち以外はこの『第一次調整』による能力覚醒を果たしていると考えてくれていい。

またうちの組織についてだが、日本非公式の対亡獣排除組合『竜胆』という組織だ。

一から五番隊に分けられていて

二・三番隊が戦闘

四・五番隊が補助の役割を担っている。」


「あの~~...」


「ん?どうかしただろうか?黒花さん」


「一番隊の役割は何なんでしょうか?」


「ああ、殲滅だ。第二級幼界以上かつ、幼界内に生存者がいないことを条件にのみ出撃する。」


「なるほど。私たちはどこに配属されるのですか?」


「うち、二番隊だ。そしてこのタイミングで一つ、二人に改めて謝罪させていただきたい。」


「「?」」


「君たちが巻き込まれた第二級幼界は私の判断で突入優先度が下げられていた。君たちの友人が死んだのは私のせいだ。」


黒花は笑いながら答えた。


「別に構いませんよ。私たちは生きてますし。」


白刃がそれに続く


「それより気になるところが、優先順位が下げられた理由と、幼界が生成される目的や理由ですかね」


「あ...君たちは本当にはっきりしているのだな。」


と少し困ったように金陵が笑い、続ける。


「よし、話を続けよう。

まずは白刃君の質問に答える形にしようと思う。

突入の優先順位が下げられたのはあの第二級幼界の『魁量』..あ~能力に使用されるエネルギーだと思ってくれ。これが他の第二級幼界と比較しても異常に多かったためだ。一番隊の出撃が視野になっていたこともあり優先度が下がった。


幼界が生成される目的と理由に関しては現状わかっていないことの方が多い。現状私たちの仕事は、幼界の制圧と原因の調査。あとは被害者の保護になる。」


「なるほど、ありがとうございます。」


「私たち二番隊の仕事は先ほども言ったが戦闘、要は幼界の制圧だ。」

「基本任務は2~3人。第一級幼界にのみ、全戦闘員で当たる。」


「ということで、実際に出てもらって慣れるのが早いだろう。2日後には隊服が完成する。基本的に朱璃・白刃 火簾・黒花 の組み合わせで任務に出てもらう。私は参加可能なタイミングで参加する。」


「待ってください金陵さん。こっちの理由は?」


「問題児を固めておくためだ。」


---

と思い返してみたが、やはり朱璃とペアを組むことになった説明が実質されていないことに気付き、白刃願は落胆する。


まぁ仕方ない、と切り替え第三級幼界から出ようとしていると、


「願」

「ん?」


「何か来る。」


何もない空間から、現れたのは手であった。空中でもがくように人間の手が動いていて、港に置かれたコンテナを掴む。


「本部。現在、第三級幼界『神奈川県横浜港』の任務を終えたが、亡獣の出現を確認。幼界内に残存生存者なし。朱璃・白刃にて対処を進める。」


「あ、願。報告中に全部出てきちゃった。」

「そうか、さっさと終わらせよう。」

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