入隊③
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総隊長面接を終え2人は金陵のいるという会議室へと足を運びながら白刃は隣の幼馴染へと質問を投げる。
「そういえばはじめちゃんは結と火簾さんについていってただろ。どうだったんだ。」
「楽しかったよ〜。私が隊服規定のままでいいって言った途端嬉しそうにどういじるか考えてたけど。熾織さんは私と白刃くんの隊服依頼してくるってどこかいっちゃった。」
やはり隊服は改造される運命にあるのかと白刃はため息をつきながら次の質問へと移る。
「なんか話したりしたのか?」
「うーん。家族のことかな。白刃くんもだけどやっぱりもう色々知られてそうだよねぇ。」
家族といった単語に少し嫌そうな顔をした黒花を見て彼は何も言えなくなる。
「別に平気だよ。白刃くん。心配してくれたの?」
一転、うれしそうな表情に変わった黒花がそう問いかけてくる。
「心配して損した。」
「ひどーい。あ、第二会議室ってここだっけ。」
「そうだな。失礼し....」
手を扉にかけたところで聞こえてきたのは、
「御足労いただき大変申し訳ございません。お母様。」
「いえいえ、うちの愚息がご迷惑をおかけしたようで、あのバカより結ちゃんは大丈夫なのでしょうか?」
「よし、結。バレる前に1度逃げよう。」
「もう遅いと思うよ。」
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「あら願。あなた生きてたのね」
抵抗むなしく幼馴染に連行され白刃は母と対面する。
よく言えば放任主義であり、
父に結婚の話を聞いたときも「あれはまさしく捕食だった。」といわせるような性格。
父と自分への扱いをいくらか悪くし、妹と幼馴染への扱いに還元するような育成方針。
そんな母から聞こえたのは生きているのが不思議かのような言葉であった。
「なんでここにいるんだよ。母さん。」
「金陵さんから連絡を受け取ったのよ。」
「すまない。白刃君。先に君に話を通しておくべきだったのだが...」
申し訳なさそうな金陵が白刃に告げる。
「あ、いやまぁ。はじめちゃんとの面接..というか雑談も長引いていたので...」
「そんなことより願。あなた結ちゃんにケガさせてないでしょうね。」
「させてねーよ。」
「それならいいのよ。結ちゃんも平気?」
「ありがとうございます夢さん。平気ですよ~~」
「本当?よかった。」
「お母様、このままお時間いただけるようなら白刃君の今後についてもお話しいただければと...」
「ああ、申し訳ございません金陵さん。そうですね、よろしくお願いいたします。」
白刃の真意である、「母親が何故ここにいるのか。」については誰からも答えを得ることも無いまま話は変わっていた。
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「...なるほど。そんな事情があったのですね。」
「申し訳ございません。本来ならば保護者への連絡と承認が先なのですが...」
「いえ、基本的に本人の意思を優先させる意向ですから。結ちゃんだけはちょっと心配だけど....」
「何言ってるんですか夢さん。私はもうやるって決めてますよ。」
白刃夢はそんな黒花を見つめため息を一つ。そして
「願」
「なんだよ」
「あなた結ちゃんにケガさせたらその首が飛ぶと思いなさい」
「はいはい。仰せのままに。」
「まったく... 金陵さん。お手数おかけしますが対応の方、よろしくお願いします。」
「承知致しました。それでは白刃様のご自宅からこちらに引越しされるということで進めさせて頂きますね。」
「は?」
正隊員の親族は本部保護を優先的に受けられます。




