保護⑥
闘いは激化に次ぐ激化。ただひたすら激化していた。
朱璃が木刀を振れば白刃が躱し、
返す刀を朱璃が受け止める。
すると白刃の能力により飛び道具が来るので躱して距離をとる。
白刃願は思考により、
朱璃纏は本能により
互いの一手を潰し、自分の一手を通しに行く。
この繰り返しである。
そんな中、
朱璃纏は高揚していた。
「(どんどん強くなる!打ち合いの度に!)」
目の前にいる白刃願の成長に。
時間とともに攻撃への回避のタイミングが近づき間一髪は増える。
最初は回避のみだった行動に反撃は加えられるようになる。
この才能にただただ高揚していた。
白刃願は思考していた。
「(状況を整理しろ)」
「15-20m程度なら1歩で詰めてくる身体能力。
かつ間違いでなければその身体能力は時間経過により上がっていっている。
たぶんさっきあいつが受けた攻撃は次は躱される。
時間経過で身体能力が上がる能力か?いやそれなら上がり幅、必要な時間のどちらかがおかしい。日常生活で困るはず。他に推測できる要素としたら...テンションか?まあいい。今はこいつが時間経過とともに身体能力が上がることだけわかっていればいい。
こいつの利き腕は右で利き足はおそらく左。
動きに規則性はないが、連続で同じ攻撃を仕掛ける時にだけ一瞬体が硬直してる。」
「生半可な攻撃だとかわされるか落とされる。
そろそろ武器に出来そうなものもなくなってきてる。
そもそも俺の周りにもう触れそうなものもない。
次の一発を確実に当てなければ後々しんどい。」
ブツブツとつぶやきだした白刃を見て朱璃は満面の笑みを見せた。
「最高だ願!!もっと、もっとやろう!!いくぞ!!」
この宣言に対し、
「こいよ」
白刃願は不敵な笑みで返した。
「おりゃっ!」
その1歩目は本日の2人の立ち会いで間違いなく最速であった。かつ直線の移動ではなく、体勢を低くし、自分の体で木刀を隠すことで白刃願から太刀筋を読めなくする。斜め下からの急襲。一切の疲労を感じさせない現状最高の一撃。
対する白刃願は体は完全に脱力しており、どの攻撃にも対応可能と思わせるほどであった。その姿勢は朱璃と同じように体勢の低い半身となっているが意図は異なる。攻撃の軌道をできる限り分かりやすくすることであった。慣れていない「人間」との戦い。ただそれを感じさせないほどの集中。
「「ここォ!!!」」
木刀同士がぶつかり激しい音が鳴る。
「(今だ。)」
白刃願の狙いは"朱璃纏の持っている木刀"であった。
右手で纏の持つ木刀を掴む。
だがここで左手の違和感に気づく。
ないのだ。攻撃を受けた木刀が。
そして気づく。それを目の前の相手に奪われていることに。
ただもうそれを気にしている余裕などなかった。
「『吹っ飛べ』」
「は〜いしゅうりょ〜」
最後の応酬を止めたのは小学生のような体躯の桃髪の女性。
彼女は両手に収めた木刀を放り投げながら誰かに話しかける。
「ね〜。言ったでしょ美鈴ちゃ〜ん。」
「バカだって。」
と、その少女は心底嬉しそうな顔で笑った。




