保護④
轟音とともに踏み込まれた足。
その勢い儘に襲い掛かってくる朱瑠纏に対して、白刃願はすでに思考を終えていた。
自身も落ちてくる木刀を掴み、地面に叩きつけ
「『伸びろ』」
木刀が伸びる反動を利用し訓練場の壁まで回避、新しい木刀を両手に取った。
「おっ!すげえ!」
木刀を横に振りながら朱璃はさらにうれしそうに笑う。
そんな彼を見て白刃は
「(身体能力化け物過ぎるだろ。)」
頬から汗を流していた。
目線を先ほどまでその化け物がいた中央部に送る。床板が衝撃に耐えられず壊れていた。
彼らの距離は最初15mほど離れており、今は白刃のいた位置に立っている。
さらには---
「(あの距離を一歩で縮めてきやがった。)」
朱璃纏に対し認識を急遽書き換える。
「まだまだ行くぜ!」
「クソが...そうかよ!」
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黒花結は二人を保護してくれたという金陵美鈴の部下だという火簾熾織と建物に併設されているテラスにて談笑をしていた。
「へぇ~~!結ちゃんと願君は幼馴染なのね!」
「はい~。保育園の時から仲いいんですよ。」
「いいなぁあんなかっこいい幼馴染。ほしかった~~。ところでさ!
結ちゃんってスタイルいいしかわいいよねぇ」
話がコロコロ変わるなぁと目の前の快活な女性を見て黒花結は笑みを浮かべる。
「本当ですか?ありがとうございます。」
「うんうん羨ましいわあ」
「照れちゃいますね」
褒められた少女は目の前にいる火簾の胸部が巨大であることから目をそらし応答する。
「おーい熾織。金陵さんから連絡だぞ。第二会議室に来いってさ。」
「はーい!!ごめんね結ちゃん!またはなそ!」
「いや、その子も連れて行ってくれ。」
「え?なんで?」
「総隊長からの呼び出しだ。」
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「うーん。もっとガツガツやりたいんだよなぁ。」
訓練場はすでに大きく様相を変えていた。
あちらこちらに穴が開き、膨れ上がった巻藁や大きく形を変えた木刀などが散乱している。それでも彼は満足気ではない。
「ふざけんな。こっちはやりたくねえってのに襲ってきやがって」
「あ!じゃああのかわいい子にも観戦してもらう?」
「可愛い?結のことか?」
「そうそう!彼女なんでしょ?やる気出ない?」
「彼女じゃないしやる気も出ん。」
「え~~。めっちゃ可愛いじゃんあの子もったいない。」
ころころ変わる話にため息をつきながら返答する。
「もったいないもあるか。向こうの気持ちによるだろ。」
返事を受けた男の表情は「こいつ信じられねえ。」とでも言いたげであった。
「なんだよ。」
「願、お前、いや、ちょ、....いや、待て。」
急に考え事を始める纏を横目に今が好機とみて訓練所から白刃が出ようとしていると
「なぁ願!もし今から俺が一本とったらさ」
「あの子に先にさ、手出してもいい?」
「『貫け』!!」
「きたきたきたァ!」
射出され、叩き落された木刀が再開の合図であった。




