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イントロダクション

腹の奥に響くバスドラム。うねるベースの重低音。流れるようなメロディーを奏でるギターの旋律。

そして、聴く者の全てを魅了してしまいそうなヴォーカルの声音。


その声は満員のゼップナゴヤに満遍なく響き、観客をまるでファンタジーの世界へと誘う。

彼女――アヤネは、時に激しく、時に繊細にギターを弾き、誰しもが聴き惚れる歌声で1500人の観客を沸かせる。


その1500人の中に、一人の少年がいた。

少年の名は紫藤時哉(しどうときや)。高校一年生。


とある偶然の出会いから、今一番人気のロックバンド『THEAM』のライブを観に来ていた。

今日ここゼップナゴヤに来て、THEAMの――アヤネのギターと歌声を聞いて、彼の世界はまるっと変わった。今まで音楽やバンドに興味のなかった彼の世界が、革命を起こしたのだ。


音楽とは、バンドとは、ロックとは、こんなにも心が躍り、胸が弾み、身体が熱くなるものだったのか、と。


周りの観客達はリズムに合わせて身体を跳ねさせ、切ないメロディーには瞳を潤ませて、彼女らの、THEAMの奏でる音の海ではしゃぐ。まるで喜怒哀楽の全てがこのホールの中に満ちているようで、思わず時哉も身体を躍らせる。


ステージの上ではアヤネがとても楽しそうにギターを掻き鳴らし、叫び、唄う。スポットライトを浴びて汗を浮かべながら、それでもその表情はとても清々しい。


いつしか時哉は、彼女にあこがれを抱き始めた。

――彼女のようにスポットを浴びたい。誰かの心を躍らせられるようになりたい――


ライブの最後、アヤネがギターを持ち上げて観客達に「ありがとー!」と笑顔で叫ぶ。観客達はそれに応え、各々が銘々に彼女らに賛辞を贈った。


その瞬間、時哉は決意した。


――ギターを、始めよう――

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