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浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!  作者: gacchi(がっち)


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64.訓練場

次の日、目を覚ましたらキリルの腕の中で、キリルの服をつかんだままだった。


きっと私が服をつかんでしまったからキリルも動けなかったんだと思う。

二人ともパジャマじゃなくて、私は聖女の修行服のまま。

キリルも騎士服のままで、つかんだところがしわになってしまっていた。


「…ごめん、しわになっちゃった。」


「大丈夫、こんなのはすぐ直るよ。ちゃんと眠れた?」


「うん。」


「今日の朝はゆっくりして、パンケーキ焼こうか?」


「うん。」


今の時間はわからないけれど、いつもより遅く起きた気がする。

きっと私が自然に目を覚ますまで待っていてくれたんだろう。


ふっくらと分厚く焼いたパンケーキに大きく切ったバターを片側に乗せて、

もう片側にはホイップした生クリームを乗せる。

バターの側にはその上からメイプルシロップをたっぷりとかけた。

大き目に切り分けようとしたら、溶けたバターとシロップが中にしみこんでいく。

フォークで刺してかぶりつくとじゅわっと甘さがひろがった。


「…おいしい。バターとシロップのバランスが最高。」


「うん、うまいね。シンプルなのもいいな。」


「次は薄焼きで重ねたのに、カスタードたっぷりで苺を乗せたのがいいなぁ。」


「あぁ、それもうまそう。じゃあ、次はそうしよう。」


甘いパンケーキをお腹いっぱいに食べて、食後のミルクティを飲みながら、

今日これからの予定について話し合う。

昨日の予定では今日は剣に神力をながしてみようと言ってたはずだ。


「どうする?今日は休んでもいいよ?」


「ううん。ダメでも、休みたくない。

 本当にダメになるまでは頑張りたい。今はまだ大丈夫だから。」


焦っているし、追い詰められているままだけど、今休んでも心は休まらないと思った。

一度逃げてしまったら、もう一度向き合うのは難しくなる。

どうせなら心が折れるまでやってみてから逃げたい。


「わかった。場所はどうする?

 ミサトたちとは違う場所に行く?」


もし美里がうまくいってたら、よけいにつらくなるかもしれない。

だけど、美里がやっているのを見て、何かヒントをもらえるかもしれない。

迷ったけど、自分を追い込むほうを選ぶ。

…知らなかったけれど、私はMっ気あるんだろうか?


「今日は美里のところに行く。

 美里がうまくいっているのなら、見て何かわかるかもしれない。

 …もしつらくなったら移動するかもしれないけど、いい?」


「わかった。無理はしないで。

 何かあったらすぐに移動するよ?」


「うん。」


準備をして連れて行かれた場所は、神官隊員の訓練場だった。

いつもの騎士服ではなく、動きやすそうな服を着た隊員たちが訓練場を走っている。

学校の校庭よりも広い場所に隊員二十人くらいはいるだろうか。


普通の地面に見えるけど、雑草一つ生えていない。

隊員たちが踏み固めているのだとしたらものすごい大変だと思うけれど、

きっと何かしら魔術とかで整備しているんだろう。


「ここは隊員たちが訓練する場所。

 交代で訓練するから、全員はいないけど。

 今は準備運動で走っているところだね。」


「走ってるのは準備運動なんだ。訓練って?」


「実際に神剣を使って魔獣を倒すのは隊員たちだから。

 剣術の訓練をするんだよ。

 この訓練場に武器庫もあるから、神力を流し込むのもここでしているんだ。

 あ、ミサトたちも来たね。」


見たら、ちょうど美里とカインさんが訓練場に入ってくるところだった。

二人も朝はゆっくりしていたようだ。


美里に向かって手を振ると、私に気が付いた美里も手を振り返して走ってくる。

その後ろからカインさんが慌てたように美里についてくるのを見て、

美里って意外と小悪魔なんじゃないかと思う。

完全にカインさんが振り回されている気がする。



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