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浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!  作者: gacchi(がっち)


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50.美里の相談

二週間ぶりにカインさんと美里の部屋に入ると、

ソファに座っている美里の姿が目に入った。


白っぽい銀髪が腰まで伸びていた。

今までのストレートの髪とは違い、ふわふわでキラキラしている。

つやつやなのか、陰影が動くたびに光の流れのように見える。


こちらを向いた美里は緑色に変化した目を不安そうに瞬かせた。

つんとした鼻や小さめのくちびるは美里のままだけど、

全体的な印象が華やかに変わっていて、妖精かと思ってしまう。


「うあぁ…妖精さん?もしくは天使?」


「悠里、ふざけてんの?」


「いや、控えめに言って可愛すぎ?」


「天使って、それ悠里のほうでしょう?」


「え、それこそ、ふざけてんの?」


この前のように向かい側にキリルと座ると、カインさんがお茶を運んできてくれた。

お茶を各自の前に置くと、美里の隣へと座り手を握る。

お茶を一口飲むと蜂蜜が入っているようで甘かったけれど、

やっぱりキリルが淹れてくれるお茶とは違うように感じた。



「さて、おかえり、美里。

 さすがに自分がこれだけ変化したら信じるしかないでしょう?」


「…うん。神の住処に行ってから話そうって言った意味がわかったわ。

 悠里のその髪と目、こういうことだったんだね。」


「そう。これも説明したところで信じなかったでしょ?」


「そりゃあ…信じないよね。」


「だよね。」


はぁぁぁと長いため息をついた美里に、

ようやくカインさんの説明が本当だと信じられたのかなと感じた。


「で、なんでそんなに不機嫌そうなの?」


「…いや、不機嫌ってわけじゃないけど…。

 ちょっと聞いてもいい?キリルさんの前だけど…。」


「ん?キリルがいても聞いていいよ?」


特にキリルに隠したいことなんて無いし、

聖女に関することであれば一緒に聞いてもらったほうがいい。

私だってまだひと月ちょっとなわけで、この世界について詳しくはないし。


「…悠里とキリルさん、一緒に寝てるって本当?」


「え……質問ってそれ?」


「だって!カインが当たり前のように一緒に寝ようとするから!

 それだけは信じられなくて!」


「あ…そういうことか。

 美里の魔力が安定するのに時間がかかったのは一緒に寝てないから?」


「え?そうなの?」


そのことは説明されていないのか、美里がカインさんへと確認する。

カインさんは困ったような顔でだってね、と美里が目が覚めてからのことを話してくれた。


「ミサトが目が覚めて、ようやく状況がわかった後、

 ここが異世界だとは理解しても自分が聖女だとは受け止められなかったみたいで。

 一人になりたいって言われたんだけど、離れるわけにもいかないだろう?

 一応は一緒に寝ないか聞いたんだけど、真っ赤な顔して無理!って叫ばれて。

 それ以上何も言えなくなってしまって。」


「だって…急に一緒に寝ようって言われても。

 ねぇ、ジェシカさんに聞いたけど、悠里は一緒に寝てるって。本当?」


「ミサト、多分、それは俺から説明したほうがわかりやすいと思う。」


「キリル?」


「あの時、ミサトと違って、ユウリは死にかけてたんだ。

 リツとイチカがついてきたせいで、ユウリの力をぎりぎりまで奪われていて。

 俺がずっと手をつないでいなければ一歩も歩けないような状況だった。」


「死にかけてた?律と一花のせいで!?」


「あーうん、そういえばそうだった。

 だからだね。キリルと離れて寝なきゃいけないって思ったら、怖くて仕方なかった。

 あれはキリルの手が命綱みたいな状況だったんだ。

 さすがにトイレは仕方ないから一人で行くけど、

 お風呂は離れるのが嫌で浄化魔術をかけてもらってたくらい。

 魔力が満ちるまで数分離れるのがやっとだったんじゃないかな。」


「…そういうことだったんだ。それなら納得する。」


「でもね、魔力が安定するから一緒に寝たほうがいいみたいだよ?

 少しずつ慣れたら、手をつないで寝てもいいんじゃないかな。」


「ううぅ。慣れたら…考えてみる。」


不安そうな顔して美里の相談を聞いていたカインさんがほっとした顔になった。

美里の魔力がなかなか安定しないことを心配していたのかもしれない。


「でも、これで魔力は大丈夫になったんだよね?」


「うん。」


「じゃあ、明日からは一緒に修行?」


「同じことはできないけど、近くで一緒にすることになると思う。」


「ふふ。それは楽しみ。」


停滞している修行だけど、美里も一緒にやるのなら楽しそう。

カインさんが美里に修行を説明しているのを聞きながら、

明日からもう一度頑張ってみようと思った。






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