表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!  作者: gacchi(がっち)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/139

39.迎える準備

「同時期転移の可能性か…。」


「同時期転移ってなに?カインさんの腕にあるのは何?」


「兄さんの腕にあるのも、神官隊長の印だよ。

 違うのは、普通は左腕に出るんだ。

 右腕に出てくるのは特別な場合だけ。

 もうすでに今期の聖女がこちらに戻ってきているのに、

 さらに聖女が転移してくる可能性があるときに出るものだ。」


「さらに聖女が来るの?」


私以外にもう一人聖女が来る?

あの時代の同世代の子がもう一人来るかもしれない。


「それって、めずらしいこと?」


「過去に一度だけあったんだ。聖女の妹が後から聖女としてきた。

 その時の瘴気は過去にない大規模の発生になったから、

 一人では足りないと神が判断したのだと思われている。」


「…え?じゃあ、またそうなるかもしれないってこと?」


「その可能性もある。」


「そんな…。」


まだどうやって瘴気を消すのかとかわからないけれど、大変そうなのはわかる。

それが大規模になったとしたら、どのくらいひどいことになるのかな。

真剣な顔で話すキリルとカインさんの口調からは、これは本当に異例の事態なんだと感じられた。


「というわけで、俺も神官宮にあがることになる。

 こういう時のために聖女用の部屋は二つ用意してあるし、

 そちらのほうにいるから…。


 それで…ユウリにお願いがあるんだ。

 新しい聖女が来たら説明する時に立ち会ってもらえないだろうか。

 同じ世界から来たユウリがいれば、安心すると思うんだ。」


それは確かに。

私の場合はこの世界に来てしまったことよりも、

律と一花が一緒に来てしまったことのほうがショックで、

助けてくれたキリルをそのまま信頼することができたけれど。


新しい聖女さんはこの世界に来て、たった一人で悲しむかもしれない。

帰れないことを知ったら…普通は落ち込むはず。

信じられなくてパニックになるかもしれない。いや、普通はそうだよね。

私がパニックにならなかったほうがおかしい。


「わかりました。

 役に立てるかはわからないけれど、そばに居て話を聞くことはできると思う。

 この世界に一人よりは、二人のほうが心強いと思うから。」


「良かった。ありがとう。

 右手の印が出たということは、もう来るのは確定のようなものだ。

 数日中には来ると思うんだけど…。」


三人が同時にびくっと反応した。

何が起こったのかわからないけれど、三人が驚いていることに驚いた。

誰かから連絡が来ている?


と思ったら、カインさんが無言で部屋から飛び出して行ってしまった。


「キリル兄様、私は聖女の部屋の用意をしてきます!」


「わかった、頼む!」


ジェシカさんもパタパタと慌ただしく部屋から出て行った。

あっという間に二人がいなくなってしまって…私とキリルだけが残された。


「何?どうしたの?」


「聖女の部屋が光り出した。来るんだ。」


「ええぇ!!」


もうきちゃうの!?聞いたばかりなのに、早くない?心の準備が~!



「大丈夫、とりあえず落ち着いて?

 俺たちがすぐに行くことは無いから。

 ほら、寄生しているのがついているかもしれないから、

 ユウリが聖女の部屋に行くのは安全を確認してから。


 また変なのがいて、暴れていたりすると困るからね。

 まぁそんなことはそうそうないとは思うけど、念のため。


 兄さんから大丈夫だって連絡が来たら向かうよ。

 それまで、お茶飲んで少し気持ちを落ちつかせてから、ね。」


「…うん。」


ぬるくなったミルクティはそれでもおいしかったけれど、

落ち着くのは難しくて…そわそわしながら連絡を待った。

落ち着かない私を心配したのか、キリルが髪や背中をゆっくりと撫でてくれる。

優しい手に少しだけ落ち着いてきた時、キリルが顔をあげた。



「連絡が来た。寄生は無かったみたいだ。行こう。」


「うん。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ