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浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!  作者: gacchi(がっち)


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21.寄生する魂

「…あの男はユウリの恋人だったのか。」


低い声で確認してくるキリルがなんとなく怖くて、

思わず言い訳のように慌てて言葉を重ねる。

ちゃんと否定しておかないといけないような気がして。


「うん、恋人っていっても形だけね。

 つきあってって言われて、いいよってOKはしたんだけど、友人だった時と何も変わらなかった。

 律に会う時は必ず一花も一緒にいたから。」


「あぁ、そういえばそうか。

 ユウリが戻ってきたってことは清い関係だったってことか。

 さっき説明したと思うけど、ユウリが清い魂と身体じゃなかったら戻ってきていない。

 この世界に戻ってきたということは、心身共に交じり合っていないということになるんだが…。

 それって、恋人って言えるのか?」


うん、私もそう思う。

どうしてつきあってほしいと律は言ったんだろう。

どうして二人はつきあったほうがいいよと一花は言ったんだろう。

変わらずに三人一緒にいるのなら、友達じゃダメだったんだろうか。


「そうだよね…恋人とは言えないようなものだった。

 私もそう思うけど、つきあい始める時にそれでいいって律が言うから、

 それならいいかって断り切れなかったの。

 気持ちがあるかって言われると…。幼馴染として好きくらいの気持ちだったと思う。


 律と恋人になった後も、三人一緒の変わらない生活を送っていた。

 三人で大学に行って、お昼食べて、帰る時も一緒で。

 どこかに遊びに行くときも三人一緒だったし…。

 でも、ここに来る少し前、律と一花が浮気しているのを見てしまって。」


「…え?」


今でもあの時のことを思い出すと気持ち悪い。

ねっとりと汚いものをぶつけられたような、そんな気持ち悪さが残る。


「…律と一花が隠れてそういうことをしている場面を見てしまって…。

 気持ち悪くて、その場から走って逃げたの。

 律と一花も私に見られたのは気がついてたし。

 三日ほど連絡せずに離れてたら、二人に大学で待ち伏せされていて。

 もう二人とは一緒に居られないって思って、もう二度と会わないって言ったら、

 二人ともそんなことは許さない、ずっと三人でいるんだって。」


「…ありえないだろ。」


「そうだよね!?

 私もありえないって、二人から逃げようとしたのに捕まって。

 両腕を捕まえられて気持ち悪くて仕方なくて…。

 誰でもいいから助けてほしいって思ったら、転移してたの。

 …あれ。もしかして転移したのは私のせいだった?」


この世界に戻ってくる魂が私だけだったとしたら、

もしかしたらあの二人を巻き込んでしまった?

あまりのことに血の気が引く音が聞こえた。



「待って、落ち着いて。そうじゃないよ。

 それがきっかけではあると思うけれど、

 あの二人の魂についても説明しないといけないかな。」


「あの二人の魂?」


「うん、あの二人の魂は欠けているし汚れている。

 おそらく前世で何かしら罪を犯した者たちなんだと思う。

 そういう魂には力は宿らない。どんよりしたまま人生を送ることになる。

 想像はできる?」


魂が欠けているから力が宿らないというのは何となく?

どんよりとしたまま人生を送るっていうのは辛そうだな…。


「何となくでしか想像できないけど、

 どんよりとしたまま人生を送るのは辛そうだよね?」


「すごい疲れ切って、何してもうまくいかない、

 そんな感じで人生を送る…大変だろうな。

 だからこそ、前世の罪を償うことになるんだろうけど。」


「あぁ、そういう罰なんだ。」


「それで、ユウリのように清らかな魂には力が宿っている。

 向こうの世界では魔力を感じられないだろうけど、

 それでもその力っていうのは甘美なものらしい。

 特に欠けた魂の持ち主にとってはこの上なく欲しい存在になる。

 あの二人の魂はユウリの持つ力に魅せられたんだろう。

 ユウリのそばにいることで、その力に寄生することで落ち着いていたんだ。」


「力に寄生する?」




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