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浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!  作者: gacchi(がっち)


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13.婚約の解消(キリル)

「まぁ、今日ここに来た理由はそれではなく、

 神官隊長に指名されたから、リリアナ嬢との婚約を解消に来たんだ。」


「…そんな。」


「どちらにしても婚約は解消することになっていただろうけど、

 俺が神官隊長に指名されたせいだということにすれば、

 リリアナ嬢は次の婚約もすぐにできるだろう。

 タイミングが良くて助かったんじゃないか?」


そうじゃなかったら、リリアナ嬢の不貞が原因で解消になっていた。

婚約の解消は理由まで明記して陛下に提出しなければいけない。

そうなれば、次の婚約は難しかったに違いない。



「…神官隊長は一年の任期ですよね?

 私…待ちます。」


「はぁ?」


「キリル様以外と結婚する気はありません!

 だから一年くらいは待てます。

 一年待ったとしても、まだ十七歳ですもの。待てますわ。」


もう、そういう問題じゃないんだが。

リリアナ嬢は本当に何も考えていなかったんだと気が付く。

先ほど俺が言った理由を無かったことにしないでくれ。


「…俺はリリアナ嬢と結婚する気なんてないよ。

 生まれてくる子が俺の子じゃなかったなんてありそうだから。」


「そんなことはありません!

 私はキリル様だけをお慕いして…。」


「俺を慕っていたとしても、他の令息に平気で肌をさらすんだろう?

 心と身体は別だとか言い出すんじゃないだろうな。」


「…っ!」


「そんな令嬢を妻にしたら、何が起きるかわからない。

 それに…あの現場を見てしまった以上、

 気持ち悪くてリリアナ嬢にさわる気にもならない。

 絶対に結婚する気になんてならない。」


「だって、…だってあれは、あぁすればキリル様が嫉妬してくださって、

 二人の仲も深まるはずだって…リイサが言うから…。」


「ありえないな。

 そんなくだらない理由で簡単に他の男に許すような…吐き気がする。」


「そ、そんな…。」


ボロボロと泣いて、化粧が崩れてみっともない顔になっているのに、

こっちに近づいてこようとしている。

それを護衛に指示を出して、俺に近づかせないようにした。

神官隊長になるのに、こんなところで汚れるわけにはいかない。


少しふれられたくらいで汚れるわけじゃないが、

神官隊長になるのだから、万全を期しておきたい。

護衛に押さえられたリリアナ嬢と距離を取ってから話しかけた。


「宰相には夜会のことも全部話すことにするよ。

 おそらく神官隊長になったという理由ですんなり解消してくれるだろう。

 もし、揉めるようなら…醜聞になって困るのはリリアナ嬢だけだ。

 俺はこれから神官宮へとあがる。

 もう二度と話すこともないだろう。さようなら。」


「ぁぁあ…。」


もう話は終わったとばかりに背を向けてその場を離れる。

後ろからすさまじい泣き声が聞こえていたが、もう俺には関係ないことだった。


その後、王宮にいる宰相に面会を申し込んだ。

突然の婚約解消に戸惑ってはいたが、夜会での出来事を告げると顔色を変えた。

どうやら、そのあたりのことは知らなかったようだ。

誰かが報告を宰相にあげないように止めていたのかもしれない。


リリアナ嬢の今までの行動を伝えると、深々と頭を下げられた。

格下の侯爵家からの婚約の申し入れであったのに、

こんな風に娘が婚約解消する原因を作ったのだ。

本来ならば慰謝料を請求してもおかしくなかったが、それはしなかった。

宰相と揉めたいわけではないし、婚約を解消してくれればそれでよかった。


予想通り宰相からはすんなりと婚約解消の署名をもらうことができ、

そのまま提出し受理された。

四年続いたこの婚約は、こうしてあっけなく解消された。


父上と母上に俺が神官隊長になったことと、婚約を解消したこと、

できるかぎり聖女が訪れるまで待つつもりだと伝えると、やはり微妙な顔をされた。


それはそうだろう。

いつ訪れるかわからない聖女のために清い身であり続けることになる。

それに運よく聖女が訪れたとしても、危険な場所に赴いて瘴気を清めなければいけない。

大変な役目を負わされたと思っていても仕方なかった。


だけど、それでも俺は聖女に会いたかった。

聖女を迎えるのは、俺の運命だとさえ思っていた。



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