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5話 手品が得意?

 翌日は晴天だった。


 学校が休みということもあり、夕食の時にこの街は初めて来たというリムを案内するように言われ、朝から外出の準備をして玄関を出た。


 良太の家から市内の街中まではバスで行くことになる。


 片道一時間かからない程度バスに揺られ、駅へと向かう。中途半端に都会なこの街の駅前には、展望台がある高層ビルがあり、そこを中心にデパートを見て周るつもりなのだ。


 昨日とは違いリムも露出の多い服では無く、良太の母に借りた薄青色のワンピースを身に纏っている。元々綺麗な紫の髪の色、整った顔だち、その上角まで頭に乗せている為、バスに乗っている最中も降りた後も、周囲の視線が集まっていた。


「目立ってるなあ……」


「目立っているとダメなのか?」


「いや、せめてその角が無ければ……」


 今のご時世、髪の色は多種多様。瞳の色もカラコンで片付けられるが、角だけはコスプレにしても目立ちすぎているのだ。 


 リムは二次元から出てきたような美少女。


 ただでさえ視線を集めやすいのに、さらにその存在感を上げているようなもの。だが、家を出る時に良太がいくら言っても、角を外すことを聞き入れてはくれず、今に至る。


 どうにかできないものかと頭を捻っていると。


「わかった……これでどうだ?」


「……っ?!」


 手品か何かなのだろうか。


 目を離したつもりは無い。良太はリムを見ていたはずなのに、彼女が声を発した時には角が無くなっていた。


「どう、やったんだ?」


「認識をずらして見えないようにしてみた」


「……まともに教えてくれるつもりはないわけね。まあ、いいか」


 角のなくなったリムは、髪と目の色が目立つだけの美少女へと変貌を遂げる。角を取り外した瞬間がわからなかった良太は確認するが、返ってきた答えは結局よくわからない。


 手品の種を教えてはくれないが、髪は染めただけ、目はカラーコンタクト、これで少しは視線を集めなくなれば良いのだがと、良太は息を漏らす。


 街を歩いているとやはり目立ってはいるが、先ほどよりは幾分ましになったような気がした。


「良太っ! あれはなんだ?」


「ああ、あれは街頭テレビだな」


「じゃあ、あれは?」


「カニだな」


「カニは聞いたことがある。美味いのだろ。食べたい」


 繁華街の通りにある物を次々と指差して聞いてくるリムは、見る物全てが初めてだと言わんばかりに、キョロキョロと周囲を見回している。通りの店の上部に設置してある蟹のオブジェを見て、目を輝かせながらピョンピョンと飛び跳ねていた。


「いや、お金が足りない。今日は母さんに言われた通りリムの服を買いに来たんだから、余計なお金は持ってないよ」


「しょぼん」


「口でしょぼんって言う奴初めて見たわっ!」


「じゃあじゃあ、美味しい物食べたいっ! お腹減った」


 どこで知った言葉なのか顔を下げて落ち込む表現を口にする美少女のお腹からは、カニに触発されたのか、昨日会った時と同じように可愛らしい音が鳴った。



蟹が食べたいです。

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