冬戯れの夢、空を凛と
冬戯れの夢
寒くなった。
寒い日には、叶わぬことでも、
あなたに会いたくなる。
あなたに会いたくて、
ぼくは、心の中の脇道を
通り抜けようとする。
白い山の見える北の町を目指し、
途中、冬戯れの坂を一人上るとき、
天空に浮かぶ月を見る。
振り向けば、ぼくの影が長くのびて、
それは、青白い真実のように儚い。
あなたに会いたい。
ぼくは、また、歩み始める。
夢に会いたい。
ぼくは、また、歩み始める。
空を凛と
感じるままを書こうと、
そう思っていたときの空には、
雲一つなかった。
詩人のように
香しい言葉は知らず、
ただ、凛と記したいぼくは、
空を見て自分を思う。
冷たさが空を覆う。
寂しさが人を覆う。
ぼくは何に覆われているのか。
体の痛さが和らいで、
また歩み始めるけれど、
ぼくはとてつもない業に
覆われてゆく気がする。