【これまでのお話】
これは我々が生きる世界とは別の次元世界のお話。
とある部族が住むムラに、神の祈りをもってまつりごとを行う祈祷師・マオとその付き人イチコがいた。
マオは年のころ14という若さながら、神秘のパワーを持ち人々から慕われていた。
一方で、10才となるイチコは、かつて森に捨てられていた拾い子で、遠巻きに見るムラ人もいたが、マオにはとても可愛がられており、イチコもマオのことをとても尊敬していた。
ある日のこと、戦いから帰ったムラの男たちにまじって、見慣れない身なりの少女・トモエがやってくる。マオはトモエについて「ムラを救ってくれる救世主かも知れぬ」とイチコに語るのだった。マオの友達としてしばらくムラに住むことになったトモエ。
しかし、戦によって森にまき散らされた人々の悪しき情念によって悪意の獣・邪獣が出現し、ムラへと襲いかかる。邪獣に魔力をもって立ち向かったのは、なんとトモエであった。トモエの攻撃とマオの悪しきものを清める「浄化の力」によって、邪獣は何とか鎮められた。
数日経って、イチコとトモエはマオがムラの青年・イッキと恋仲にあることを知る。「誰にも話さないで欲しい」とマオは懇願する。しかし、ムラではふたりの関係をすでに疑っており、イッキを亡き者にしようと企む。悲しんだマオは、イチコに自分の後を継げと告げると、イッキとともに森へと旅立っていくのだった。
しかし、マオがいなくなったことを知った首領・イゾウの一派は、マオを取り返そうとふたりを追いかける。やがて追いついたイゾウ一派によって、イッキは殺されてしまう。愛する者を失ったショックによって、これまで祈祷師としてムラ中の悲しみを背負ってきたマオの怒りが爆発。森中の獣たちを野獣に変え、それらはことごとくムラに襲いかかり、ムラは壊滅してしまう。しかし、イゾウの凶刃を受け、マオも還らぬ人となってしまった。息絶える直前に、マオはトモエに自身の「浄化の力」を授ける。トモエはその力をもって、マオ自身から生まれた悪意の化身・邪霊を鎮め、もとの世界へと帰っていった。
イチコはムラの生き残りとともに、新天地を目指して旅に出た。旅の道中、イチコらは青年ヒブリに救われ、彼の住むムラに住まわせてもらうことになる。その代わりに、イチコは巫女としてムラを治める役目を担うことになった。リーダー・ヒブリをはじめ、ムラの人たちともすぐに打ち解けたイチコたち。そんなある日、イチコの前にヒブリの弟・トワリが現れる。ムラから「変わり者」と揶揄されるトワリだったが、イチコは彼の聡明さにひそかに惹かれていくのだった。
それから月日は3年も過ぎて――。
『ユメ見る魔法少女エピソード0~浄化の力編~』
https://ncode.syosetu.com/n1391eo/
短編『かけがえのない人へ……』
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