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ファンタジック・アイロニー[現在停滞中]  作者: なぎコミュニティー
第二幕・ヒマリside
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スペードキングダムへ




 遂にヒマリたちは、デカフォニック渓谷バレー隠者の森エルミット・フォレストを、無事とはいえないが越える事が出来た。道は平坦へいたんになり、行商人や冒険者などの往来も増えてきた。



「やっと越えたわね。後は、しばら平坦へいたんな道が続くだけね」

「イザベラさんから渡されたリリィさんへのプレゼント、落としてませんよね?」

「うん、もちろん!」


 ヒマリは、イザベラから預かったサファイアのブローチをスカートのポケットから取り出す。青に輝くブローチだが、少し色がくすんで見えるのは気のせいだろうか。



「ちょっとブローチの力を使ってしまったみたいね、ヒマリ」

「どういうことなの?」

「これは、サファイアで作られたブリーチだけど、宝石には魔法がこめられているの。イザベラは何も言ってなかったけど、サファイアは、氷や水の贈り物(ギフト)への耐久性をあげるものよ」


 シフォンは、サファイアのブローチを見つめ、少し反省しているようだ。


「でも、シフォンのせいではないわよ。サファイアのブローチの力を使わなくちゃいけなくなったのは、グレイシアのせいだから」

「でも……」

「そんな事気にしないで! リリィちゃんに伝えれば良いことだから。――ところで、シフォンはスペードキングダム出身なんだよね?」

「そうですけど……」


 ヒマリは、悪戯いたずらをしそうな子供のような表情を浮かべ、シフォンに聞く。


「リリィちゃんって、どんな子?」


 シフォンは、ヒマリの問いかけに困るが、知っていることだけを言うことにした。


「リリィさんは、スペードキングダムでマッチを売って生計を立てている、ヒマリちゃんと年の近い女の子です。髪は淡い茶色で、下の方で三つ編みをしていて、目は琥珀色こはくいろの少女だったと思います。服装は、赤のエプロンドレスだったと思います……」

「マッチ売りの少女って感じだね」


 ここまで情報があればすぐに探せる。ヒマリとハートは、シフォンと共にスペードキングダムの入り口の前の広場に立つ。大きな噴水が目につく。

 そこには、平凡な――ヒマリにとっては馴染みある日常が流れていた。




ここまでは 鈴鹿歌音 さんが担当しました。 https://talkmaker.com/author/clanon213/

『マジカルミュージック』『グリモワル・フォーチュン』等、音楽を題材にしたファンタジー小説を多数連載中! これを機に是非ご覧下さい……!

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☆★本小説をお読みくださりありがとうございます★☆

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あかつきいろラケットコワスター市川雄一郎
かーや・ぱっせ内野あきたけ(旧名:星野リゲル)
金城暁大ミシェロ平沢沙玖羅
葉夜和馬(現:桜川藍己)美島郷志
亀馬つむり横澤青葉ひよっこ犬
紙本臨夢KAZUK53美夜宵蜜糺清瀬啓
鈴鹿歌音number神庭まどか

Special Thanks! ☆ 春乃凪那
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