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ファンタジック・アイロニー[現在停滞中]  作者: なぎコミュニティー
第二幕
60/129

謎の敵



「……シオン……ヒマリ、鏡の近くで遊んじゃダメよ」

「「 はーい!! 」」


 古い大きな家の中で、小さい頃のシオンとヒマリが遊んでいる。ヒマリがどんどん先に進んでいく。


「ヒマリ、そっち、ダメ」

「おにぃちゃん、なにか、きこえるよ!」

「…………ォーィ。…………コッチダョ。…………オーイ」

「ホントだ。きこえる。だれだろう」

「おにぃちゃん、あっちだよ!」


 そこには、大きなふすまがある。襖には島や葡萄、鴉、不思議な鳥、怪獣等が描かれている。シオンとヒマリが見ていると、音もなくスゥーッと襖が開いた。ヒマリは誘われるように入って行く。奥に何かがある。


(ここは、爺ちゃんの家だ。昔、よく遊んだなぁ。――あぁ。これは夢か。……ヒマリ、元気かなぁ)


「あれっ、ヒマリ、どこにいった?」


 気が付けばヒマリは、シオンの前から姿を消していた。心配になって辺りを探してみると。


「あっ、かがみだ!」


 シオンが見た先。そこには古い鏡が3つ並んでいた。その中のひとつが、鈍く光っている。シオンが覗き込んでみると、光は強烈に輝き出した!




 …………………………。


「…………ぉにぃちゃん、…………ぉにいちゃん」


 ヒマリの声がする、と気ついたシオンが目を開けると、さっきまでなかった、実に多彩な骨董品に辺りを埋め尽くされていた。


「ヒマリ。ここは?」

「おじいちゃんちのかがみのへやよ!」


 見回してみると、手入れの行き届いた置物や壺、分厚い青銅の皿に、ずしりと腰を据える鉄箱。それに加え背後には、さっきまで見ていた鏡もあった。その鏡は鈍い光を放ったままふたりを映している。そしてふたりの間には、佇む鴉が映り込んでいた。


 そう。この空間には、鏡と相見えるように鴉の剥製が置かれていた。濡れたような羽、艶めくくちばし、つぶらな瞳はまるで生きているようだ――。


「ヨー、シオン、ヒマリ、ゲンキカ?」

「ひぇっ!?」


 動かないものだと思っていた鴉が突然喋りだした。驚くシオンの横で、ヒマリは爛々と目を光らせていた。


「うん、げんきだよ。からすさんは、なにしてるの?」

「オイラハ、ヤクソクノトキヲ、マッテル。……フタリヲ、ヨンダ」

「さっきのこえは、からすさんね」

「ウン、ソウ」


 ヒマリがまるで友達のように話しかけているので、シオンも鴉に話しかけてみた。


「からすさん。なんでぼくたち、よんだの?」

「ソレハ、ミライノタメ」

「よくわかんないや。ここはからすさんだけなの?」

「ココハ、オイラダケ。トナリニ、ホウオウ、トツテツイル」

「ほうおう、とうてつ?」

「コンド、ツレテッテヤル!」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「……シオン、シオン、シ・オ・ン!」

「ウーン」

「みんな待ってるよ」


 シオンは目を覚ますとアザミとフリージアがシオンを見つめていた。


「フリージア! 目が覚めたんだね。あっ僕はシオン。よろしくね」

「うん、お兄ちゃんがここに連れきてくれたのね。ありがとう」

「シオン、みんな待ってる」

「うん、すぐ行く」



 アザミ、フリージアが食堂に入り、シオンが遅れて入る。


「シオン、遅いぞ。もう7時過ぎてるぞ」

「トウラ、みんなごめんなさい。おはようございます」

「シオン、すぐに食べて行くぞ」


 シオンは、目の前にあるパンを食べる。シオン以外はみんなとっくに食事をすませている。ノアがみんなに向かい話しだす。


「これから、大森林の泉に向かう。フリージアは、ほとんど何も覚えてないから、置いていこうと思ったが、本人の希望と俺の勘で連れて行くことにした。ただ、泉の場所がわかってないことは変わらない。それじゃ司教、行ってくる」

「みなさん、お気をつけて」



 司教、シスターに見送られて、一同は出発する。シオンは口をモゴモゴしながら、みんなについていく。雲ひとつない、いい天気で風は爽やかに東から吹き、金木犀に似た香りを運んでくる。フリージアは、シオンに話しかけながら、一番後ろを2人で歩いている。


「お兄ちゃん、ありがとう。わたし、ずーっと夢を見てたみたいなの。その夢はほとんど覚えてないんだけど、ひとつだけハッキリ覚えてるのがあるの。わたしが化け物に捕まったとき、お兄ちゃんが助けてくれたの」

「そんな夢を見たんだ。でも、それって本当に僕だったの」

「うん、あれは絶対に間違いないよ。本当に怖い化け物で、はじめは綺麗な女の人だったんだけど、急に変わって化け物になったの。その時にお兄ちゃんが助けてくれたんだよ」

「へー、すごい夢だね。夢でも助けてあげれてよかったよ。そういえば、僕もさっき夢を見ていたような気がする」


 シオンは夢を思い出そうとしても思い出せない。シオンは転生してから、今までの事をフリージアに話しながら歩く、気がつけば、シオン、フリージアは、みんなからかなり遅れていた。先頭をノア、次にトウラとタマ、シュート、シェロにアザミ。それからかなり遅れてシオンとフリージアが東に向かって歩いていた。ノア達は、もうすぐ、大森林に入りそうに見えた。



「フリージア、少し急ごうか。みんなあんなに先に行ってる」

「うん、早く追いつこうよ」


 シオン、フリージアがスピードを上げた時、空が急に暗くなり、ゴォーッと強い風が吹く。突然、シオンとフリージアの前に人影が現れる。


「あら、シオンくん、お久しぶり。可愛い子を連れてるねぇ。お嬢ちゃん、こっちへおいで」

「お前はジュリエット!! なんでこんなところにいるんだ!!」


 ジュリエットは、フリージアの目の前に行き、フリージアの顔を覗き込む。ジュリエットは、扇子をヒラヒラとさせ、震えるフリージアの首に手をかけて笑いだす。


「オホホホホホ、こんなに可愛いのにもうすぐ死ぬなんて、本当に可哀想ねぇ。……ねぇ、シオン? こんなに可愛い子を助けられないなんてどんな気分だい?」

「やめろ、ジュリエット!!」


 シオンは、勢いよくジュリエットに向かっていく! 右手に魔素を集めては剣を形作る。そうして突き出した剣が、ジュリエットに届くと思う瞬間、それはヒラリと避けられてしまった。

 ジュリエットは、パチンと閉じた扇子でシオンを打ち払った! 吹き飛ばされたシオンは岩へ体を打ちつける!


「お兄ちゃん!!!」


 動かなくなったシオンを見た、フリージアの叫びが、先へ進んだノア達を振り向かせた。皆が戻り始めるものの、ふたりとジュリエットとの距離は、彼方。どんなに急いでも間に合いそうにない。


「呆気ないわねぇシオン。お嬢ちゃんも、本当に可哀想に。あんな奴と一緒に居た為に、短い一生を終わらせるなんて」

「お兄ちゃんは、アンタをやっつけるんだから。絶対に間違いないわ」

「あんな所で倒れて動けない奴が私をやっつける? ……小娘、すぐにアイツと一緒のところに送ってやるっ!」


 笑うジュリエットの口が裂け、化け物になっていく。フリージアの首を化け物の手が締め上げていく。


「シ・オ・ン……!」


 その時だった。フリージアの体がオレンジ色に光り出し、その光は集まり丸くなり、シオンに向かって飛んでいく。光がシオンを包み込む。シオンは、ゆらりと起き上がり、なにやらブツブツ言っている。


Old God Fr(古の神、)om with in(我が内) me Get out(より出で) and destro(て敵を)y the enem(滅せん。)y. He called(その名は) Tautetsu(饕餮)


 シオンの体がエメラルドグリーンに輝いた瞬間、シオンは消えた。


「グッ!!」


 ジュリエットが吹き飛ぶ。光から解かれたフリージアは、シオンの腕の中で気を失っていた。



「今のガキの動き――何かがおかしい」

「シオンー! 大丈夫かー!?」


 シオンが元の位置に戻った頃、ノアとトウラが到着した。

 ノアがシオンの肩を掴もうとした瞬間、シオンはフリージアを抱えたまま倒れこむ! とっさに動いたノアがふたりを支え、そっと横に寝かせた。


 一方、ジュリエットは、飛ばされた所から、ふらつきながらも立ち上がろうとしていた。ノアとトウラは、ジュリエットに視線を変え、攻撃態勢に入る。



「シオン、フリージア、大丈夫か!」


 後からやって来たシュートがふたりに話しかけるが反応はない。その後に来たシェロはすぐにふたりを揺り動かす。すると先にフリージアの意識が戻り、横にいるシオンにすがりついた。


「お兄ちゃん、起きて!」


 叫ぶフリージアに我に返ったシオンは飛び起き、辺りをみる。ノアとトウラが構える先に、不敵な笑みを浮かべたジュリエットがいた。


「ォホホホホホ、このぐらいはやると思っていたわ。でも、アンタラはここで死になさい。先生、お願いしますよ」


 ジュリエットの後ろから、先生と呼ばれた者が現れる。髪は剃り上げ、袈裟を纏った老人が立っている。


「お主たち、哀れじゃのう」


 ノア、トウラが詠唱文を唱えると、先生と呼ばれた老人がノアに向かい口を動かす。


「唵」


 ノアが消える。みんなが唖然として一瞬動きが止まる。


「この野郎!」


 トウラがタマを肩に乗せ、老人に向かって攻撃をする刹那、また、老人は、一言唱える。


「唵」


 トウラとタマが消える。


「トッ、トウラ!」


 シュートの攻撃、老人の足元から蔦が老人目掛けて絡みつくと見えた所で老人は消え、シュートの後ろに現れる。


「唵」

「シュート!」


 シュートが消えた。シェロが銃を構え引き金に手を掛ける。老人は一言。


「唵」

「シェロ!」


 シェロが消える。シオンが老人に向かう。アザミは反対側から、老人に向かい2人で挟み撃ちにする。シオン、アザミが同時に攻撃をする。老人は素早くフリージアの前に至る。


「唵」

「あっ、フリージア!」


 フリージアが消える。そして老人は、アザミの背後に回る。


「アザミ、危ない!」

「唵」


 アザミが消える。ジュリエットの笑い声が聞こえる。


「シオン、あー情けないわね。誰一人助けることができないなんて」

「ウォォォォオ! みんなを返せえええっ!!!」


 シオンの様子があきらかに変化する。シオンは老人に向け詠唱文を唱える。再びシオンの身体がエメラルドグリーンに輝き、シオンが消える。


「ウッ!」


 シオンが老人を吹き飛ばす。しかし、老人が吹き飛ばされながら、シオンに向かい一言。


「唵」


 シオンが消える。


「オホホホホホ! 流石、改信先生。アイツらをこんなに簡単にやっつけるなんて、それでアイツらはどこに行ったの?」

「アイツらは、今頃、地獄の門の前に並んでいるだろう」

「じゃあ、死んだってことで間違いないわね」

「ああ、そうだな」

「それじゃ、あの教会も潰していくか」


 ジュリエット、改信先生と呼ばれる老人は、司教達のいる教会に向かう。教会がもう少しで見える場所に来た時、ジュリエットは見えない壁に跳ね返され、それ以上、進むことはできない。


「何故、行けない。先生、これは?」

「アイツらの中で、もしもの時のことを考えて出る時に仕掛けて行ったみたいだな。今は、諦めるしかない」

「チッ、ノアの野郎だなこんなことをする奴は」

「ワシは、準備をすることがあるでの。ここで失礼する。また、何かあれば連絡を入れてくれ」

「あぁ、そうするよ」


 ジュリエットは、その場から消えた。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「………………シオン、シオン、シ・オ・ン!」

「ウーン」

「みんな待ってるよ」

「えっ!」


 ノア、トウラ、シュート、シェロ、アザミ、フリージアがシオンを見つめている。


「さっきのは、夢だったんだ。みんないる、良かった」

「いいえ、夢じゃないわ」


 シェロが言うとノアがその後を説明する。


「俺たちは、あのジジイにここに閉じ込められたことになる。どうやってここから出るか考えなくてはならん」

「えっ、そうなの」


 シオンはまわりを見るとなんだかとても懐かしく感じられる。


「シオン殿、お久しぶりにございます」


 後ろから声が聞こえる。みんなが一斉に振り返る。するとそこには、みんながやられた敵がいる。ジュリエットから先生と呼ばれていた老人が微笑みながら立っている。トウラ、シュートが攻撃態勢に入る。



 いったい、この老人は何者なのか?




こちらは K35 さんが執筆を担当しました。

https://kakuyomu.jp/users/K53 ただいま『タケルの書』という和風ファンタジーの連載を開始しています。これを機に是非ご覧下さい……!

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