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ファンタジック・アイロニー[現在停滞中]  作者: なぎコミュニティー
第二幕
59/129

聖獣




「タマが白虎?」


 トウラは、タマを撫でながらタマをじっと観る。タマは、嬉しそうに喉を鳴らしている。


「本当よ、私が見た古い文献にあったのよ。羽の生えた猫なんて絶対に間違いないわ!」


 シェロは自信を持って話す。


「まぁ、元々こいつはスゲー強かったからな。白虎と言われれば、そーなんだろうな。やっぱりタマはスゲーんだな」


 トウラとタマは嬉しそうに戯れあっている。

 シオンはそんなトウラとタマを見て。


「本当にトウラはすごいね」


 シュートは、羨ましそうに。


「トウラ、お前よく手懐けたな」

「俺も良くわからないんだが、タマがいると安心なんだ」

「それは、タマちゃんも一緒のようね。これだけ懐いているなんて、白虎を捕まえるのは、ほぼ不可能だと思ってたわ」


 シェロは、拍子抜けしたようにトウラとタマをみる。


「トウラ、これからはタマと一緒での修行もするからな!」


 ノアは、ピシャリと言う。


「おう!」

「ニャー!」

「「「「 えっ 」」」」

「タマ、お前分かるのか!」


 トウラが言うとタマはトウラの足に身体を擦りつける。


「みなさん、おかえりなさい。夕飯の支度が出来ましたよ。あら、シェロさんもおかえりなさい」


 シスターの声にトウラの腹がなる。みんなが笑いながら、お腹がすいていることを思い出す。


「シスター、夕飯ありがとう。腹が減っちまって、体がつい反応してしまったぜ」

「ニャー」

「おっ、タマも腹が減ってるって言ってるぜ」

「トウラとタマ、いいコンビだな――あっ、俺の腹も鳴ってる。もう、こんな時間か」

「まずは食事にしましょう!」


 シスターはくすりと笑いながら言うと、みんなを食堂の中へ促した。

 最後に入ったシスターがドアを閉めた頃、そのドアの前でシオンがアザミにシェロを紹介していた。


「アザミちゃん、よろしくね」

「うん、シェロ、よろしく」



 やがて、みんなが席に着くと司教が祈りはじめる。司教の祈りが終わるとみながいっせいに食べはじめる。シオンだけが祈りの形のままシェロに向かうと。


「シェロ、無事に帰ってきて本当に良かった」

「当たり前でしょ。でもちょっと時間かかっちゃった。私が調べられたのは、白虎、青龍、朱雀、玄武、八咫烏まで、他のフェンリル、ユニコーン、グリフォン、ペガサス、セイレーン、フェニックスなどについては、大体のことしか調べきれなかったの。ただ早く知らせたくて戻って来たわ」


 ノアは頷き、シェロに訊ねる。


「それで、聖獣は何処に居るんだ」

「白虎、青龍、朱雀、玄武は、遺跡を守ってるってことだわ。八咫烏は、世の変わり目に現れるとの言い伝えがあるのよ。ただ場所はわからないわ」

「それじゃぁ、もう一度遺跡に行かなきゃならんな」

「遺跡に行ったの?」


 ノアが言うと、シェロはすかさず口を挟んだ。


「あー、行ったから、白虎もアザミもフリージアもいる」


 ここで遺跡のことを知らないシェロにノア、トウラ、シオンが話す。シェロは感心した様子で終始頷いた。


「あんた達、よく無事に戻ってこれたわね。ここ数十年は遺跡から戻ったものはいないと聞いたわ」

「僕は、アザミが居なかったら戻ってこれなかった」

「ボクは、シオンの欠けているものを探すために外に出た。シオンがいなきゃ探せないよ」

「もしかして、アザミちゃん、遺跡を出したり消したりできるの?」

「教えないよ」


 と言ったアザミに、ノアが問い詰める。


「なんで」

「今はまだ時が来てないから」

「いつ時は来るんだ?」

「わからないよ」

「何故わからないんだ?」

「わからないものは、わからないよ。でも、その時は近づいているよ」

「何故近づいているのがわかる?」

「ボクがココにいるからだよ」

「何故アザミが此処にいると近づいているんだ?」

「ボクがあそこから出たからだよ」

「アザミは、ずっと遺跡に居たのか?」

「うん、そうだよ!」


 その瞬間、アザミの身体に赤い魔法陣が現れアザミの顔が苦悶の表情に変わる。そのまま、アザミはイスから崩れおち、テーブルの下に倒れこんだ。魔法陣はすぐに消えたがアザミは動かない。


「アザミ!」

「アザミ、大丈夫か?」

「アザミちゃん!」


 すぐに駆け付けたシオン、トウラ、シェロがアザミに声をかける。アザミに反応はない。ノアは、回復の呪文を唱えるが、アザミには効いてないようだ。トウラがアザミを抱きかかえ、アザミをベッドに運んだ。


 シオン、シェロ、ノア、シュート、トウラがベッドに横になるアザミを見守るっていると。


「………教えないよ!」

「アザミっ!」

「アザミ、気がついたか!」

「アザミちゃん、大丈夫?」


 アザミは静かに目を開け、みんなを見た。


「久しぶりになっちゃった。でも、もう大丈夫だよ」

「本当に大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫だよ!」

「アザミちゃん、無理しちゃダメよ」

「うん、無理しない」


 ノアがアザミ、それからみんなを見て提案する。


「明日の行先だが、一度みんなで東の大森林の奥の泉に行く」

「ノア、智の泉ね。私も一度そこには行った方がいいと思っていたわ」

「なんでそんな所に行くんだよ」

「トウラ、その泉についてね、古い文献にこうあるの。“その泉に集いし者、新たな力を得、世を変えん”って。今までのシオンのこと、ノアのこと、オウルニムスに会ったこと、今日のトウラとタマちゃんのことを考えると、私はやっぱり智の泉に一度みんなで行くべきだと思う。でも、泉が大森林のどこにあるかは文献にも載ってないの。ノアは知ってるの?」

「いや、知らん。ただ俺の勘が明日は泉に行くべきだと告げている」


 なるほどな、とトウラは立ち上がると、大きく頷いた。


「よし! そういうことなら、明日行ってみっか」

「道中、危険だからトウラとシオンの修行にもなるしな」

「おう」

「はい」

「明日は、朝5時に食堂に集合な」


 ノアの一言でそれぞれが自分の部屋に戻り、明日の準備をする。シオンはとても眠くなり、シスターの用意した布団で深い眠りにつく。




こちらは K35 さんが執筆を担当しました。

https://kakuyomu.jp/users/K53 ただいま『タケルの書』という和風ファンタジーの連載を開始しています。これを機に是非ご覧下さい……!

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