援軍の契約
ヒマリ達4人は、クロムに援軍を無事に取り付ける事に成功した。
「ハハハハ! まさかこの私がハイ・アンド・ローで負ける日が来るとは! 流石、女王ハート様ですね。今までの障害を運で乗り越えてきたこそ極致で4を引き当てることができたのでしょう」
クロムはそう言うとヒマリに一瞬目線を向けたが手元にあるベルをチリーンと鳴らし従者を呼んだ。
「それで、援軍はいつダイヤモンドシティに送ってくださるの?」
クロムは、入ってきた従者から紙を貰うと何かを書き出しそれをハート達が見やすいように差し出す。
「不測の事態ですので今すぐにとは言えません。ですが、明日の早朝にでも軍を派遣し事の鎮圧に全力を尽くしましょう」
彼が書いていたのは願書を承諾する内容と誰と誰が望み承諾したか。とか日付けが書かれていた。
「ありがとうクロム。援軍をこんなにも早く出してくれるなんて感謝してるわ」
ハートは俗に言う契約書2枚に『ハート・アイランド』 と記入しクロムとハートが1枚ずつ紙を手に取った。
一段落着いたところでヒマリはふと思ってたことを聞くことにした。
「あの、クロム様? さん?」
「クロムで構いませんよ」
彼は少し微笑んだ。
「ヒマリさんがお聞きに成りたいのは王のことですか?」
「う~ん………王様のことも気になるけど道中に見た国の人達の事が気になるの」
「ヒマリ? それはここまで連れてきてくれた人が説明したでしょう!」
「だって、富国の為にって言って、子供や老人までってやりすぎだと思う! それに辛そうに働いて! まるで国の奴隷だよ!!」
「それは言い過ぎよ! それに、仕方ないのよ。こうしないと国が維持できないのよ」
『仕方ない』で終わらすハートにヒマリは、何故別の方法を考えないのか? とやるせない気持ちになる。せめて自分くらいやそれよりも小さい子供達は、働くよりも学ぶ方がこれからの為になると思うのに……。
「クロムさん!」
「どうしました?」
そういえばそうだ。この世界に来てからというもの、ヒマリにとっては当たり前だったあの場所をどの国でも見ていない。
「子供達は『学校』に通わせるべきです!」
「『がっこう』 ですか?」
「『がっこう』 ってなに?」
「『がっこう』?」
「が、『がっこう』?」
「………?」
初めての言葉を聞くように、その場の全員がおうむ返しの様に片言で言葉を繰り返した。
「あれ?『学校』ってこの世界には存在してないの?」
「この世界ですか」
全員が固まる中、クロムから鋭い憎悪がヒマリに注がれる。
「ヒマリさんはあの魔法がある世界から来た人ってことですか?」
「ち、違うよ! 私がもといた世界は科学が主流で魔法とか贈り物が無いところから来たんです!」
ヒマリは恐怖のあまり自分の事をクロムに話してしまった。クロムは少しの間考えると。
「………つまり、異世界からこちらに来られたヒマリさんは学校とやらに通った事があると言うことですか」
ハートはため息を一つ。
「この事はここだけの話で、他の方達にはご内密に」
「カルマ、貴方もこの事は誰にも告げないで」
「……シフォン様が仰るならその通りに」
「今すぐに……とは言いがたいですが、それは革命になるかも知れませんね」
とエルムは呟くとベルをチリーンチリーンと2回鳴らした。
「今日はもうお疲れでしょうから皆さんが使うお部屋に彼女が案内します」
彼がが彼女と言ったのは、クロムがいる部屋まで案内をしてくれたメイドだった。
「あっ! さっき案内してくれた人」
「この方たちを客室にお連れしなさい」
「はい。畏まりました」
メイドはエルムに一礼。
「皆様、こちらでございます」
彼女はハート・ヒマリ・リリィ・シフォン・カルマ の5人を連れ客室へ向かったのだった。
こちらは 宵蜜糺 さんが執筆です!
http://mypage.syosetu.com/770770/ 小説家になろうにユーザー登録しているものの、現在、文章改訂中の為、掲載作品はなしです。今後の活躍にご期待ください。