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ファンタジック・アイロニー[現在停滞中]  作者: なぎコミュニティー
第一幕・一部
10/129

記憶と災害



「飲食店を3件も連続で行くなんて初めてだよ」


 シオンは苦笑いの表情を浮かべていた。

 店の内装は先ほどの酒場とは違い、壁紙やテーブルのデザインも含めてすべてデザイナーが担当したかのようなセンスのある空間であった。


 そうして4人はテーブル席に腰を掛ける。


「俺もトウラも転生者だ。君がどれだけこの状況に困惑しているか分かる。今日は俺がみんなの分を奢るから、ぜひゆっくり話を聞いてほしい」


 その言葉に、シオンは頷いた。


「あの……話を割るようで申し訳ないんだけど、ハンバーグ頼んでいいかしら? 酒場ではあなたの快進撃に見とれてて、食べるの忘れちゃったの」


 シェロはぐうーっと鳴ったお腹を恥ずかしそうに抑えながらシュートに頼んだ。


「あっ。僕もハンバーグ食べたいな、そういえばもう夕方だし」


 と、シオン。


「みんな腹は減るな……俺も何か食いたいと思っていたところなんだ。シュート、奢ってくれるな」


 シュートは顔をしかめた。特にトウラが頼んだとき。が、ウンウンと頷いた。


「じゃあ、店員さん。ハンバーグ4つお願いします。それとこの店、お会計は宝石でも大丈夫ですかね」


「ほっ、宝石ですか? 構いませんけど紙幣の方が安く済みますよ」


「悪いな。生憎、これしか持ち合わせがないんだよ」


 そういうと、シュートはポッケから革製の袋を取り出した。そこには、手のひらに輝く見事な宝石が散りばめられていた。


「俺は、悪い子なんだ。さっきの蛮族から隙をみて奪った」


 シュートは意地悪そうな表情を浮かべる。


「ええっ、それ大丈夫なの?」


 シオンは驚きの声をあげた。


「まあ、相手はあの野郎だからな。どっかから奪ったんだろうが、持ち主がわからない限りこれは俺の戦利品さ。それに、一番高そうな宝石はあの獣耳族の嬢ちゃんのポッケに突っ込んどいたから。お互い様ってわけよ」


 その言葉を聞いて3人は苦笑いを浮かべていた。

 数分後、テーブルには見事なハンバーグが4つ並べられていた。


「いただきまぁーす!」


 シュートはハンバーグをガツガツ食べ始めた。

 それから4人は話し合いの事を忘れて、見事に目の前の食事を平らげた。


「食ったなぁあ。旨かった。だが残念な事に、これからシオン君にとっても大切な話をしなければならない」


 その言葉を聞き、シオンの表情が強張った。


「ハッハッ。まあそんなに緊張しないでくれ」


そういってから、シュートは話を始めた。


 「まず、君が元いた世界は恐らく地球だろう、実を言うと俺たちもそうなんだ。俺たちも出身は地球だ。だが、君よりも少し前にこのヒューマニーに転生した。いわゆる先輩というヤツだな」


 シュートはそういうと、水をごくごくと飲みほした。


「ここでは神や、その神が連れてきた転生者が嫌われている事は君も知っている事だろう。俺はムカつく奴をぶっ飛ばしてきただけなのに、気が付けば1000万アイロの賞金首……まあそれはいいとして、だ。君が転生する理由となったのは、……恐らく、地球で起こった同時多発的な大地震(崩落の日)だろう。そこまでは覚えているかい?」


「うん、あれがただの地震だったのか、わからないけどそれが原因で死んで、この世界に来た事だけは覚えている」


「おう、そこまで覚えていれば話が早いじゃないか。だが、君は確実に何か大切な記憶を失っているはずだ」


「……僕の……大切な記憶?」


 頭が痛い? あれ痛くない? 記憶、僕のここに来る前の、地震、熱い、神…………代償?


「そうだ、例えば成すべきこと、大切な人とか」


 そんなのあったっけ・・・・・?


 「為すべき事、そんなのあった? あれだよ! そう、名前あって、大切な……人? そもそもそんな人なんていた? ……いやわかんない? 知らないなんで?! ある記憶? 思い出せない…………そんなの無いよ!」


 ガクガクと震えるシオンの体、その目の焦点は定まらず、それどころか段々と光を帯はじめた。


「落ち着くんだ! シオン君。思い出せないのは仕方がない、それが転生者に課せられた宿命なんだ。思い出そうとすればするほど君は辛くなる。来るべき時が来たら必ずすべてが分かる。俺たちは君の記憶には一切触れない、その代わり、この世界の仕組みや出来事を教えて君の記憶の橋渡しをするに過ぎないのだからね」


 小刻みに揺れるシオンの体を撫でながらゆっくりと言う。その優しい手つきに安心したのかシオンは一息つき、言った。


「……教えてください、その話」


「ああ、催促されなくても言うつもりだ。崩落の日を起こしたのは神だ」


「……神?」



この物語の執筆者は 星野リゲル さんです。

http://mypage.syosetu.com/mypage/novellist/userid/419081/ 小説家になろうにて、異世界や現代を舞台とした多数の作品を発表しています。これを機に是非ご覧くださいませ……!

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