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悪夢

作者: ディエゴ




  とても暑く、体中から吹き出るように汗をかき、彼は目を覚ました。



 部屋の電気が消えているのだと思ったのだろう。


彼は体を起こそうとした。



 しかし、彼は体を動かす空間的な余裕がほとんどないことに気がつき、驚愕した。



 彼はその空間を目一杯に使い、何とか自分のおかれている状況を理解しようと努めた。




 その時、彼は自分のすぐ近く、前方の更に上の方から複数の男の声がすることに気がついた。



 彼は男たちに、気づいてくれと言わんばかりに、助けてくれと叫んだ。


 彼は自分のおかれた状況が普通ではない、むしろ危機的な状況であることに気がついたようだった。



 「あと二分で火葬の時間だ」


 「そろそろ運んでおこう」



 火葬…?


 誰が何でどうなって何の理由で何が目的で僕はここで目を覚ました?


どうして近くにいる男たちは僕に気づいてくれない?


僕は今、棺の中にいるのか?




 男たちが彼の入っている棺を火葬場へ運ぶ。



 彼はパニックに陥った。



彼の入っている棺を男たちが運んでいくその最中にも、彼は猛り狂い声を張り上げた。



 しかし、どんなに暴れても男たちは何の反応も示さず、どんなに暴れてもそれは開かなかった。




 彼の入っている棺は火葬場へ押し込まれ、男たちは行ってしまった。




 彼は泣き叫んだ。

「うわぁぁぁ!!!」

「待ってくれぇぇぇ!!!!」




 彼の入った棺に、火が回っていく。



 「うわぁぁぁぁ!!!!」

 棺の中は今までより格段に暑くなり、彼は焦りのあまり狂ったように声をあげた。



 しかし、状況は驚くべき早さで悪化していった。



 たちまち棺は焔に包まれた。




  意識が薄れていく。









 ― ひどい汗を体中にかき、彼は目を覚ました。



 夢を見ていた。



 彼はとりあえず額の汗を拭おうとした。



 しかし、そこで彼は、その手はおろか、ほとんど体を動かす空間的な余裕もないことに気がついた。



 彼は愕然とした。




 彼は黒い棺の中で、力の限り叫び続けた。





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