2話 生徒会編(2)
「じゃあ、今日の流れを説明するぞ! まずはここで、みんなに怪談話を自由に披露してもらう。それから移動だ。その間バス内のテレビでホラー映画を流す。そして目的地で肝試しだ。それが終わったらこの学校へ戻ってきて、就寝。以上だ!」
なんで私まで参加しなくちゃなの?
会長さんの案、最初は肝試しだけだったのにこんなにボリュームアップしてるし……ゔー。
「帰りたいよぅ!」
「そーだそーだ! 遅くまで起きてるとお肌に悪いんだぞ!」
るる先輩と抗議です。やるのはいいけどせめて参加したくなかったよ。
ちなみに参加者の数は30人程度。大抵の人は里帰りとか受験勉強とか、何かしらの用事で来れないよね。
そしてバスの中にいます。いつもと違って、静寂な校内。暗くて、校舎の纏う雰囲気がどうも怪しい感じで、もう既にすごく怖いです。
もちろん私は柚結里にくっついています。お膝の上からお送りするのです。
家から持参したタオルケットにくるまっています。はい。
ちなみにるる先輩はリオン先輩と一緒です。ここにいるのはおそらくホラーが好きな人ばかりのはず。うぅ、怪談話も怖いんだろうなぁ……。
「雪乃ちゃん、これ良かったら食べて?」
?? うーんと、見覚えが無い……。3年生の先輩ですが、生徒会メンバー以外に知ってる人いたっけ?
「雪乃、受け取っておきなさい。食べてれば少しは怖さも和らぐんじゃない?」
「あ、じゃあいただきます…」
「先輩ずるい!私も!」
「実は私も、柚結里さんに…」
「るる先輩いつもお世話になってます!」
あれあれ。プレゼント会?
私たちだけじゃなくて会長たちにも、次々と贈り物が。お膝の上にどんどん溜まっていきます。これだけの人数で、しかもみんながみんな? な、何故……。
しばらくして落ち着くと、
「さて、今度こそ始めるぞ!」
プレゼントを嬉しそうに抱えながら、会長さんが言います。最初は会長さんからみたいです。
「おいお前何耳ふさいでんだ」
「怖いからだよ!」
「人の話はちゃんと聞かんか!」
そ、それは辛いよ……、るる先輩、頑張れ。さすがに声には出せないけど!
そして一番最初に開けたプレゼントには、クッキーが入っていました。はわぁ、バターの香りがすごい美味しそう……。星とかお花とかクッキーマンとか、いろんな形があります!
サクサクほろほろ〜♪
私は聞きたくないですので。るる先輩には悪いんですけど現実逃避です。
「ほらー雪乃だって聞いてないじゃないか!」
「雪乃は結柚里の管轄だから俺は何も言わん。お前は妹だからな」
「理不尽だぁ!」
ホッ。じゃ、これ食べたら私は寝よーっと。
DVDまでならともかく、肝試しなんてしたら絶対寝れなくなっちゃうもん。うー、やだやだ! 肝試しの時も寝てたいよ! でもゆゆは何がなんでも行きたがるだろうし……うぅー。
「雪乃の裏切り者…」
「ふえぇ!?」
先輩酷い! 私だって怖いもんしょうがないんだもん!
「気にしないで寝ていいのよ雪乃」
「ゆゆ、大好き」
これで私は安心して眠れます…
「くそぅ……!」




