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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
3章 小夜音×花恋
30/44

4話

わりと等身大。


結構盛ってるけど。

「でもさ。チャットだけで話してるんだろ? 信用出来るのか? 小夜音ならなおさら警戒しそうだけどな」

流石るる。その通り。私は人をあまり信用出来ない。仲良くしてくれる人がいても演技してるのが分かったりとか、冷やかされているような雰囲気を感じたりする。結局この人は私を嫌ってるんじゃないかと思ってしまえば、距離を置いて私はまた1人になる。そんなの花恋は例外だと、言い切ることは出来ない。

「信用は、あまりしてない。最近のことだけど。付き合い始めた頃はそれで舞い上がってて考えたりしなかったし……」

信用出来る要素なんて冷静になって考えてみれば、どこにもない。


小説って、書き手の性格がどこかに表れるらしい。キャラクターの性格が似てたり、感じ方が同じだったり……。私もそれは時々実感する。だから、花恋の文章とか内容とか、登場するキャラクターとか、そういうのをみて。この人は、良い人なんだろうなって思った。彼女は私みたいにその時の勢いで思いついたら書いて、いつの間にかいくつも連載して更新するペースも遅かったり早かったりする……なんて事はない。作品は連載が1つ。時々短編を投稿しているものの、ペースは週に一度。それが崩れるとすれば学校で行事やテストが迫っている時くらい。そのペースが乱れたことは、私が知ってる限りで1度もない。

つまりそういう性格なんだ、って。

「その状態で半年もよく保ったよな」

そうなのかな。

「なんか、よくよく考えると私、あの人のこと全然知らないのよね」

「いつも話してるのにか?」

「うん。なんとなくね。遠い……気が、するんだよね。物理的な意味じゃなくて」

説明が難しいんだけど。

「疑いながら話してるの? もしかして浮気してるんじゃないかとか、遊んでるだけじゃ…って」

「うん」

浮気かぁ。もしそんなことしてたら、いくら花恋でも許せないなー。ははは。ぐしゃぐしゃポイだよね。ふふ。

「……小夜音。ドス黒いオーラが漂ってるぞ」

「え? 気のせいじゃない?」

「……そうか」

遊んでるっていうのももちろん考えた。私みたいな奴好きになる人なんて、そもそもいるわけないよね。友達だって数えるくらいしかいないのに、こんなことってあるのかな。

「そんなに不安になるなるなら聞けばいいじゃないか。って、信用してないのに付き合ってるのかよ」

ごもっともで……。

「うーん……だってなんか聞くの恥ずかしいし。付き合ってるのは好きだからだし」

うん。自分でもよく分かんない。

「ふーん……」

納得のいかなさそうな顔で曖昧な返事。まあ、るるってはっきりしない事嫌いだもんね。私がこんな風にうじうじしてたら、そりゃあそんな反応になるよね。

「好きだとなんだかんだで許せちゃうわよね。不満があるからって文句も言えないというか、言わないし」

許す……っていうのは違うかもしれないけど、そうなのかな。

「振られるまで、別れたくないんだよね」

こんな事、本人が聞いたら重いって思われるんだろうなぁ。

「心配になってきたぞ。別れた方がいいんじゃないか?」

「えっ。絶対やだ」

そんなの嫌です絶対。

「好きだから別れるって道もあるらしいわ」

「やだ。絶対やだ。会うの」

会うんだもん。いつか。会いたいもん。

「小夜音が駄々こねてる……。まあでも本当に、話くらいはいつでも聞くからな。何かされたらそいつシメてやる」

「私もよ」

「そんな物騒な……」

るるとリオンなら本当にやりかねない。

「小夜は変なところで頑固だから。心配なのよねぇ〜」

心配症だなー。

「危なっかしいんだよなー。雪乃と柚結里は毎日新婚夫婦みたいにイチャついてるから安心して見守れるんだがな」

生徒会の子だっけ。さっき生徒会室に行った時はいなかったみたいだけど。めっちゃ美少女だって有名な。柚結里さんは雪乃さんの彼女でとにかくめちゃめちゃ強いって聞いた。

「あの2人は常に一緒だものね〜。生徒会室じゃずっと抱き合ってる」

はぁ……。ラブラブなんだね。

「あたしたちがいてもお構いなしにキスしてるしな。普段無愛想なくせに柚結里のやつ、雪乃に対しては相当甘やかしてるよな」

へぇー……。

「ご飯は絶対柚結里ちゃんが食べさせてるわよね。雪乃ちゃんがお昼寝する時は膝枕で、愛おしそうに寝顔を眺めながら頭を撫でてる」

……。

「起こすのにキス」

「眠り姫みたいよね」

「それから当然のように告白」

「雪乃ちゃんは毎回真っ赤になりながら『私も』って答えてる」

「あとは……」

「…ぐすっ」

「あらあら。やり過ぎたかしら」

「どうした小夜音!?」

「るるがやったんじゃないの〜」

「え!」

リオンが私を抱きしめて言った。自覚があって止めなかったリオンが1番意地悪だと思う。

「……分かってるもん」


私と花恋が友達みたいだってことくらい知ってるもん! どうせ私たち恋人になんて見えないの。それでも、遠くても近付ける手段がまだあることも分かってるの。けど私には難しいの。


「……好きだからいいの」


呆れたのかるるがため息をつくのが聞こえる。

「そんなに好きなら振られても別れられないんじゃないか?」

「ううん。邪魔になるのは嫌だもん」

邪魔になるくらいならさっさと離れます。

「きっとるるも……好きな人が、出来たら分かるわよ」

「そうなのか?」

「ええ。ほら、そろそろ時間だし帰りましょう。ね?」

……教室に戻らなきゃ。

いつの間にこんなに話しこんじゃったんだね。アップルティー、冷めちゃってる。話しながらチビチビ飲んでたからまだ半分以上残ってる。ちょっと品が無いけど、一気飲みする。リオンのおかげですっかり涙はひいた。


今日はどんな話しようかな。部活にも行ってないから、この2人のことと雪乃ちゃんたちの話でも……面白く、ないか。

話題、何かあるかな。


つまりですね。

ひたすら不安なだけなんです。

あといっぱい話したいんです。

それだけです。


もう嘘ばっかついてるからはっきりは言わないことにするけど、一応これで完結の予定。次から最初の2人にバトンタッチ。の、つもりです。はい。

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