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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
3章 小夜音×花恋
27/44

1話

すぐに私なんて……私がいるから……と、考える面倒な奴。それを一番分かってるのは自分だ。そんな私を救ってくれたのが、るるとリオン。彼女たちに出会うまで、私は本当にひとりぼっちだった。

嫌われる原因なんて知らない。嫌われるような何かをしたつもりはない。大方、トロいだとか、暗いだとかそんな理由だと思う。実際のところは分からないのだけど。


「小夜音。何があった」

「えっ!」

「今日、すごく変よ。小夜らしくない」


私って、そんなに表情に出るのかな。無表情でいたつもりなんだけど。

放課後。生徒会長がお呼びだということで、私は役員でもある2人に連れられて生徒会室に行った。行事の手伝いをしてもらいたいとのこと。役員だけでは人手が足りなくて、2人が頼みやすいだろうということで私が選ばれたらしい。


「言え」

「あー。えーっと……」

幼馴染とも言えるるるたちに隠し事なんて無理があったのかもしれない。

私は一通りのことを話すことにした。部活の方が気になるけど、ちゃんと活動してるはずだし心配は要らないでしょう。

「実は……」


今日は少し良いことがあった。その元の原因は実は結構前の出来事にあった。半年くらい前かな。

彼女が、出来たのだった。それも同じ学校ではない。ここからは遠いところ。遠距離恋愛って言うんだよね。こういうの。

出会ったのはネット。私は文芸部の部長をつとめているわけだけど、部活だけでは物足りず、ネットでも書いた小説を公開している。そのサイトで私は彼女と出会った。

伊吹花恋(いぶきかれん)。それが彼女の名前。自分の名前が気に入っているらしく、サイトでも「カレン」という名前で活動してる。同い年だったこともあって連絡を取り合うまでの仲になったのは知り合ってすぐのことだった。チャットアプリで話していた。例えば、サイトで有名な作品の話だったり、学校のことだったり、テレビの話だったり。他愛ない話題でもすごく楽しくて、盛り上がれることが嬉しかった。

学校はと言えば、私にとって相変わらずつまらない、嫌いな場所だった。でも、彼女のことを考えてると時間はあっという間に過ぎた。小中、そして花恋と出会うそれまでは憂鬱で、早く家に帰りたいとばかり考えてた永遠みたいな時間。でも今は違った。いつの間にか、授業が終わっていたどころか家に着いていた。自分がどうやって帰って来たのかさっぱり憶えていない。気付けばもう花恋とたくさん話が出来る、後は寝るだけの状態になっている。そのくらいにまで、頭の中は彼女のことでいっぱいだった。



ここまで話したところで、いつの間にか食堂に辿り着いていた。長くなると察してここまで来たんだろう。食堂は、放課後になると良い休憩の場として利用出来るカフェにもなる。生徒は少ないようで、昼食時にはほとんどの席が埋まるこの場所が今は4、5人程しかいない。談笑している生徒が2人いる以外は、それぞれお茶を楽しんだり勉強をしていたりと、1人での利用のようだ。かく言う私も、この場所を訪れる。もちろん1人で。閉まるのは18時なので、部活の後でも最低1時間は利用が可能である。読書をするのがほとんどだ。静かでお茶も飲めるからとても落ち着く。長話をするのにも最適な場所と言える。

「そんなの楽しそうに話してる小夜音、久しぶりの見た気がする」

「私もそう思うわ。もっと話聞かせて?」

「もちろん!」



何をしてるんだろう、今日はどんな事を話そう、もしも会えたらどんなことをしたいかな、そんなことを考えるだけで私は幸せでいっぱいになる。



声が聞きたくなる。


……もっと、知りたい。



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