5話
短いです。
お休みを挟んで月曜日。るるは私のおでかけに付き合わせて、カラオケにも連れ出して。だからあの後土日も泊まっていった。諦めたわけじゃないんだけど。あの時のるるではなくて、ちゃんと起きてる時のるるに言わないとって思う。会長さんに聞くと、あのるるは時々出てくるらしい。二重人格? って言うのかしら。姉である会長さんも何度か見たらしい。あの時のように半分寝てるような時もあるけど、会長さんの前では突然変わることもあるとか。まあ、一応どっちもるるなんだけど。会長さんがせっかくくれたチャンス、無駄にならなくて良かった。あのるるが言ってたこと、あれは本当の彼女の気持ちなのかは分からないけど。少し勇気も出たし。
「リオン、今日も部活の手伝いを頼まれたんだが。生徒会には行くべきか?」
「うーん。この間話があるみたいだったけど今度するって言ってたし……行った方がいいんじゃない?」
「話しておけばいいのに」
「るるも雪乃ちゃんも寝てたからよ」
「あー……そうだった」
「そういえばあの時……会長さんがついでに小夜も連れて来いって言ってたわ」
生野小夜音。私たちとは幼馴染と言っていいくらいの長い付き合いね。最近は生徒会関係もあってあまり話してないんだけど。去年から文芸部の部長になってて、小説家志望だって言ってた。読ませてもらったことないわね。それにしても会長さん、何で小夜まで呼び出すのかしら。
「小夜? 何か雑用でもさせる気なのか?」
「さあね? とにかく伝えておかないと」
と、彼女の席の方を見る。気持ち悪いくらいニヤニヤとした顔を浮かべた小夜がいる。
「……さ、小夜?」
「ふえっ? あ、リオンにるる、久しぶりねっ!」
「お前何があったんだよ」
「べ、別に?? へへっ、何も、無いよ?」
変だわ。何か良いことあったって顔してるわ。
「会長さんが小夜を呼んでたの。放課後一緒に来てね」
「はーい! 了解した! じゃあ部員の子に遅れるって言っておかないとね!」
「そ、そうね。まあ、あの、よろしく……」
勢い良く教室を出て行く小夜を見送ってから、るるのポカンとした顔に向き合う。多分、私も同じような顔をしてると思う。
「あーっと……小夜音って、あんな奴だったか?」
「いいえ……よっぽど良いことがあったんでしょうね」
「放課後絶対問いただしてやる」
戻ってきた小夜は、スキップをして鼻歌を歌い、顔もニヤニヤを浮かべたまま。
「「おかえり」」
「たっだいまー!!」
すごく。すっっごく、彼女らしくない。
「……あいつ。頭、大丈夫なのか?」
「さあ……」




