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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
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2話

午後の最初の授業は英語です。担任の先生でもある津重田先生がふわふわとした表情で説明をしてる。でも、今の私には何も頭に入って来ないの…。だって、お昼休みに……。



「こっちよ」

案内されて来たのは陽も当たっててグラウンドも見える明るい場所。すごく綺麗なのに、人は誰もいなくて来る気配もない。校舎と繋がるドアから出ると階段が少しあって、私たちはそこに座ってお昼を食べることにした。ゆゆ、いつも私に作ってくれる時大きくて重たそうなお弁当箱なの。大変だったんだろうな。本当にいいのかな。

「何から食べる?」

キラキラしてる! ぜーんぶ美味しそうなの!!

「んーっと、じゃあ、卵焼き!」

「はい。あーん」

「あーんっ」

もぐもぐ…うまー!

いつもこんな感じなの♪

自分で食べようとするとダメって言う。教室でもこうなんだ。最初はちょっとだけ恥ずかしかったけど、もう慣れちゃった。でも何でこうやって食べさせてくれるのかな。


「ふにゃー…もうお腹いっぱいだよ〜……ご馳走さまでした!」

「お粗末さまでした。さて、じゃあ本題に入ってもいいかしら?」

あ、そうだね。お話があるって言ってたんだ。

「何かあったの?」

「うん。実はずっと前から好きな人がいるの。アタックはしてたけど、全然気付いてくれないから、告白しちゃおうかな、って思って」

そうなの?! ゆゆ、綺麗だもんね。すごく優しいし、絶対成功するよ!!

「どんな人?」

ゆゆが好きになる人って、興味あるな。

「可愛い人よ」

「へぇ〜。ゆゆは年下の人が好みだったの?」

クスッと、口元に手を当てて笑った。あれ、違うのかな?

「さすが雪乃ね。これだけ言っても分からないなんて」

へ? 分からないって…

「私の知ってる人ってこと?」

「まあ、そうね」

楽しそうに笑ってるけど…私、全然わかんないよ。

「だぁれ?」

「雪乃よ」

へっ?

えっと…いま何て……??

「雪乃よ。ずっと好きなのは。あたしと、付き合って?」

わ、私……!?

でも、私、女の子だしっ。ゆゆは、ずっと、お友達で…

「あたしは雪乃のこと、小学生の頃からずっと恋愛対象だったのよ。…ねえ、何でいつもあたしが雪乃に、あーんをしてたか、わかる?」

何で、って?

えっとえっと……!!

頭の上にはてなマークがいっぱいです…!

「知ってる? 多分、雪乃は気付いてないかもしれないけど。雪乃、昔からモテるの。男女問わず。だからね、変な虫が付かないように。あたしの雪乃だって、見せつける為」

私が…? ないない。モテてるのはゆゆの方でしょ?

「どうして私が…?」

「可愛いから。……この場所、選んだのにもちゃんと理由があるの」

お話するためじゃないの?

あれあれ?? そもそも、何でお話…私、に……えっと、あれ?

混乱、なのです…。

「こうするため」

「んっ…」

えと、これ、まさか……き、キス?!! あの、これ、私、ファーストキス、だよ…!?

で、でも、間違いなく今私の唇を塞いでるのはゆゆの唇なわけで、と、いうことは、あれっ?

ギューされたのかと思ったら…

「雪乃、可愛い…」

ゆゆの笑みがすごく綺麗で、うっとりしちゃうくらいで……。

「ふぁ……」

息が苦しくなって口を開けると何かが入ってきて…

し、舌?! わ、私ったら、止めなくちゃ…早く……

その腕を抜け出そうにもだんだん力が抜けてきて、効果は全くない。多分、知らない人からみたら、私がゆゆの腕に縋ってるように見えてるかも…。

「ん……」

あ…れ……? 何か、ボーッとしてきた………。


遠くで、チャイムの音が聞こえる。

「あら。戻らないとね。雪乃?」

ふぇ…?

「た、立てにゃい……」

何で? 力、全然、入らないよ…?

「もしかして、やりすぎたかしら。ファーストキス、よね? そうじゃなきゃ暴れるわ」

「もちろん…」

ふわりと微笑んだゆゆは、何だか満足気で、座り込んだままの私の頬にキスした後、ひょいと持ち上げた。いわゆる、お姫様抱っこ?

「私、重いよ? ゆゆ……」

「軽いわよ。美味しいものくれたから、このくらいは当然だわ」

自分では立てなくなってるし、ここはゆゆに甘えるしかなかった。



帰ってきてからもなんとか授業の準備をしたものの、あとは黒板を眺めてただけ…

ゆゆが、私よりも後ろの席で良かった。前の方だったら、きっと気づかないうちに見つめちゃう。

「でも……」

ゆゆが、恋、人…?

ずっとお姉ちゃんみたいに思ってて、恋なんて……私、まだ恋なんてわかんない…。

でも、どうして私?

「桜咲さん。小野町さんから」

隣の席の子から小さなメモ紙を渡された。

「ありがと」

受け取って早速開く。


『今日、お泊まり会しない? 去年は勉強ばかりでしてなかったでしょ?』


そっか。

小学生の頃から、よくお互いのお家で泊まって一日ずーっと遊んでた。中学になると勉強ばかりでそれどころではなかったし。だから、勉強を教えてもらうために泊まることはあっても遊ぶわけにもいかず。そうだね。また遊びたいな、久しぶりに。今日は金曜日だもん。いっぱい遊べる。


『いいよ! 遊ぶの、久しぶりだね。楽しみにしてる!!』


回してもらって、ゆゆに届ける。

そういえばお返事してないけど、いいのかな。断る理由も無いんだけど…。ゆゆは大好きだし。恋、かはわかんないけど……。

とにかく、楽しまなくちゃ! せっかく遊べるんだから、こんなになやんでちゃダメだよね!




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