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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
19/44

19話

「おはよぉ〜……」

「おはよう、雪乃」

ふわぁ……ねむねむ…

「眠そうね」

「そりゃあだって……」

原因はゆゆなのに。

あんなことがあった後で、ぐっすり寝れるわけないでしょ!

いつもと同じ朝だけど、昨日と一つだけ変わったこと。それは、ゆゆとはお友達ではないこと。あ、と言ってもこの通りゆゆとは仲良しなわけで。ゆゆは私の恋人さんってわけで。うぅ……なんというか、昨日までみたいに甘えるのが恥ずかしいというか…………。

「あら。ハグはしてくれないの?」

あぅ!!

「……むぅ」

出来るわけないのに。

意地悪。分かってるくせに。

「行こ。遅くなっちゃう」

さっさと1人で歩き出す。ゆゆの意地悪。もう知らないもん。

なんでかな。手を繋ぐことすら、恥ずかしいなって。昨日までは普通だったのに。

「ちょっと待って」

腕を掴まれ、ぐっと引き寄せられた。

そしてーー

「…………!」

かぁっと顔が熱くなり、心臓がバクバクと大きく鳴るのが聞こえた。ダメだ、絶対ゆゆにも聞こえてる……!

うぅ……頭が沸騰しちゃうよ! 昨日は嬉しくて細かいことなんて何も考えられなかったけど、キスってこんなに恥ずかしいんだ……。

唇が離れた後も熱いままだし心臓は落ち着かない。ゆゆの顔なんて見れない。その胸に埋めきゅっと抱きついて。見られないはず。

「ハグしてくれた」

「……あぅ」

「目、覚めた?」

「うーっ! ばかぁ……」

意地悪。今日のゆゆは、すっごく意地悪なのです!




「おはよう、雪乃」

声をかけてきたのは英梨ちゃん。う……ちょっと気まずいな。でも、英梨ちゃんの方から来たってことは、もう大丈夫…なのかな?

「その様子では、昨日は大丈夫だったのですね。全く! 最後までハラハラしっぱなしでしたわ!」

やっぱり怒ってるよね……。プンスカしてる英梨ちゃん、やがて盛大なため息を吐くと、ビシッとゆゆを指差した。

「次はありませんわよ?」

「もう大丈夫よ。昨日は本当に助かったわ。ありがとう」

「ありがとう! 英梨ちゃん!!」

「え、ええ……恋人になったからって、ライバルが減るとは思わないことですわね」

「もちろんよ」

「ライバル?」

「雪乃」

怒ってたはずの英梨ちゃんが今度は優しく笑ってます。

「もう小野町さんから離れてはいけませんよ。今度こそ私、貴方を食べちゃうかもしれませんから」

え? 食べる??

どういうことかな。聞こうにも、英梨ちゃんはもう他のお友達のところへ行っちゃいました。

「ゆゆ、今のどういうことだと思う?」

「そのままの意味よ」

席に着いたゆゆに引っ張られて、ゆゆのお膝に着席です。

「お勉強しないの?」

「もうしたじゃない。それに今日くらい」

後ろからぎゅーされた状態でブラブラと足をブラつかせる。この体勢、何か落ち着くから好き。

「……また、お泊りしようか」

「うん」

あ。そういえば……

「今日お姉ちゃんが夜ご飯食べに行こうって言ってたんだ。ゆゆも行こ?」

「あぁ……そうね」

3人でお食事なんて、すごく楽しくなりそう。きっといつもより美味しく食べれるよ!

「今日は私のお家でお泊まりしようよ」

きっと遅くなっちゃうし。

「そうね。遅くなると車を寄こすのも面倒だし。そうしましょう」


お姉ちゃん、どこに連れて行ってくれるのかな〜! お腹空かせとかなきゃ!!

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