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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
17/44

17話

先輩2人は先に来ていた。

でも構わない。


まだなの、雪乃。

答えはちゃんと欲しいけど、これはあんまりだわ。

「ん……っあ……」

休日だった2日間。会えなかったのはすごく辛い。ただでさえ平日だってこの時間しか話せない。触れていられない。

雪乃は耐えられてるけど、あたしは……!


雪乃の腕があたしの腰に回り、きゅっとハグされた。いつもと違う。縋るように、体を預けてくる。キスに、応じてる。

その白く透き通るような頬に流れる雫に気付き、慌てて唇を離した。

「雪乃!? ……そんなに、嫌だった…?」

さすがに少しショックだわ。今までずっとあたしがしたいままにしてたから、当たり前、ではあるんだけど。

顔を俯かせ、彼女はひたすら首を横に振る。

「違う……! 違うの、何で、何で……私…………」

混乱してるらしい。その理由は分からないけど、原因にはあたしも関係してることは分かる。


やっぱり、告白しない方が良かった?

ううん。ずっと伝えたいと思ってた。後悔なんてしてない。真剣に考えてくれてる雪乃のことが嬉しい。


だから、待ってあげなきゃ。

雪乃だって辛いのよ。だから。あたしも耐えなきゃ。


「……明日で、終わるの、きっと…」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


授業中もいつものように全く話しかけられることなく、あやちゃんはノートを取り説明を聞くことに集中していた。

「私、あやちゃんに何かした?」

「したわ。でももういい。あや、決めたから。明日、柚結里ちゃんに告白する」

自分の心臓がドクンと鳴る音が聞こえた。驚きで少しの間何も言えなくなる。

「……そっか。頑張ってね」

ようやく口にすることができたのはたったそれだけの言葉だった。

「もう一度聞くけど。雪乃ちゃんと柚結里ちゃんと付き合ってるわけじゃないのよね」

「うん」

「そう」

それだけ言うとあやちゃんはまた黒板とにらめっこを始めた。

4限が終わりすぐに英梨ちゃんの元に向かう。

「英梨ちゃん」

「どうなさいました? 雪乃」

「お話が……」

「ちょうどお昼ですし、一緒にいただきましょうか」

「うん」

英梨ちゃんが選んだのは空き教室だった。私たちの教室の真下。この教室前を人が通るのは、更に奥にある理科室を授業で使う時だけ。だったはず。だから人が通ることもほとんど無いんだよね。お気遣い感謝なのです、英梨ちゃん。

「で。何か発見はありました?」

発見か……。

「多分? ……好きなんだなって、わかった…んだと思う」

「はっきりしませんわね」

よくわかんないんだもん。ただ、なんだかすごくショックを受けたから……そうなのかな、って。

「あやちゃん、もう告白するらしいの。明日……」

「明日!? 何をしてるのですか! 雪乃、早く小野町さんに……」

「でもまだはっきりしたわけじゃないのに」

「全く。強情だこと! ……いいですわ。気は進みませんが、私が教えて差し上げましょう。明日は覚悟しておいてください」

「え……あ、うん。ありがとう」

「小野町さんでないとだめだと分かればいいのでしょう。……きっと後悔せずに済みます」

なんか暗いけど、大丈夫かな。

「大丈夫?」

「ええ! これは私も吹っ切れるチャンスですわ。貴方とはいいお友達でいたいもの」

? 英梨ちゃんが大丈夫ならそれでいいんだけど。本当は自分だけで解決しなくちゃいけないのに、お話聞いてくれてお手伝いまでしてくれるなんて。

「優しいね、英梨ちゃん」

「見てるこっちがモヤモヤしますの! 仕方なく、ですわ!!」

腕を組んでぷいとそっぽを向いた英梨ちゃんは、耳まで顔を真っ赤にしてた。

また、怒らせちゃった?

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