15話
朝。登校の時に、あやちゃんと合流した。なるべく一緒にいたいって。私のお家も教えて、いつも学校に向かう時間も合わせた。ゆゆも特に何を言うわけでもなく。3人で登校なんて初めてだよ。でも、手を繋いで歩くのはいつもと同じだった。
あやちゃんはゆゆにいっぱい話しかけてる。私はその間ずっと歩くことに集中していた。邪魔するのは良くないもんね。だけどゆゆったら、生返事ばかりだよ。人見知りのはずもないし、そもそも幼馴染なんだから遠慮する必要もないのに。
学校に着いてから。勉強ばかりはずっと教えてもらってないと遅れちゃう。だからいっぱいいっぱいお話はしたけど、あやちゃんはそれについては何も言わなかった。ちゃんと授業も聞いてるんだけどね。ゆゆの方が、説明がわかりやすいの。
休み時間も今日は一人席で本を読んでた。途中でいっぱいクラスの子が来て、お喋りになっちゃったけどね。まともに話したの、多分初めて。名前を覚えてないの、バレバレだったみたいで自己紹介から始まった。ゆゆは私を気にしてる風だった。しょうがないんだよ。あやちゃんと、私と。それに、ゆゆの為だもん。早く、見つからないかな……答え。
お昼休みはまた3人。今日は昨日の残りと、今朝簡単に作ったおかずが入った自分のお弁当を持ってきた。お料理も久しぶりで、起きてきたお姉ちゃんに驚かれたんだけど。あんなに心配することないのに。もう高校生なんだから、包丁もコンロも一人で使えるんだよ?
ここでも、2人の会話にはあまり参加しなかった。急によそよそしくしちゃってるから、何か寂しいな。でも、生徒会室では一緒だもんね。それまでの辛抱。あと少しだよ。授業中は再び作戦会議。っていうより、反省かな。まああまり中身のあるお話はしてないんだけど。
クラスにお友達が増えたのは嬉しかったけど、やっぱりゆゆと一緒じゃないと落ち着かない。席が遠く感じて、断った方が良かったのかな、なんて一日目にして後悔しちゃったり。さすがにあやちゃんも生徒会室までは着いて来ない。でも、「待ってるね」と笑った。遅くなるかもって言うと、
「あや、部活に入りたいなって思ってて。だからあやもちょっと遅くなるの」
だって。まあ、生徒会の方はそんなに時間かからないと思うけどね。
「雪乃」
生徒会室に入ってソファに腰を降ろした途端にゆゆのハグ。と……
「ゆゆ、…んっ……せんぱい、が……」
「知らない」
本当は先輩がいるのかなんて、私には確認する間もなかった。でも、いつも待っててくれてるから、きっと……
放す気は、ないらしい。今までのからいくと、気が済むまで放してくれないよね。私のせいだし、突き放そうにも私の力じゃ。それに……。
唇が離れると、力強く抱きしめられた。
「どうして?」
その質問の意味なんて聞かなくても分かってる。
「ごめんね…」
今は、これしか言えないや。
ゆゆは、気付いてないのかな。あやちゃんの気持ち。
「生徒会にいる間は、こうしてていいでしょ?」
「そ、だね……」
誰も……ううん。あやちゃんに、見られるわけじゃないんだし。
ごめんね、ゆゆ。協力するからって、本当はこんなことしちゃいけないよね。私も、辛いんだ。でも、ちょっとだけ……
ちゃんと答えを見つけたいから。なるべく早く、こんなの終わるように、頑張るから。




