表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
15/44

15話

朝。登校の時に、あやちゃんと合流した。なるべく一緒にいたいって。私のお家も教えて、いつも学校に向かう時間も合わせた。ゆゆも特に何を言うわけでもなく。3人で登校なんて初めてだよ。でも、手を繋いで歩くのはいつもと同じだった。

あやちゃんはゆゆにいっぱい話しかけてる。私はその間ずっと歩くことに集中していた。邪魔するのは良くないもんね。だけどゆゆったら、生返事ばかりだよ。人見知りのはずもないし、そもそも幼馴染なんだから遠慮する必要もないのに。

学校に着いてから。勉強ばかりはずっと教えてもらってないと遅れちゃう。だからいっぱいいっぱいお話はしたけど、あやちゃんはそれについては何も言わなかった。ちゃんと授業も聞いてるんだけどね。ゆゆの方が、説明がわかりやすいの。

休み時間も今日は一人席で本を読んでた。途中でいっぱいクラスの子が来て、お喋りになっちゃったけどね。まともに話したの、多分初めて。名前を覚えてないの、バレバレだったみたいで自己紹介から始まった。ゆゆは私を気にしてる風だった。しょうがないんだよ。あやちゃんと、私と。それに、ゆゆの為だもん。早く、見つからないかな……答え。


お昼休みはまた3人。今日は昨日の残りと、今朝簡単に作ったおかずが入った自分のお弁当を持ってきた。お料理も久しぶりで、起きてきたお姉ちゃんに驚かれたんだけど。あんなに心配することないのに。もう高校生なんだから、包丁もコンロも一人で使えるんだよ?

ここでも、2人の会話にはあまり参加しなかった。急によそよそしくしちゃってるから、何か寂しいな。でも、生徒会室では一緒だもんね。それまでの辛抱。あと少しだよ。授業中は再び作戦会議。っていうより、反省かな。まああまり中身のあるお話はしてないんだけど。


クラスにお友達が増えたのは嬉しかったけど、やっぱりゆゆと一緒じゃないと落ち着かない。席が遠く感じて、断った方が良かったのかな、なんて一日目にして後悔しちゃったり。さすがにあやちゃんも生徒会室までは着いて来ない。でも、「待ってるね」と笑った。遅くなるかもって言うと、

「あや、部活に入りたいなって思ってて。だからあやもちょっと遅くなるの」

だって。まあ、生徒会の方はそんなに時間かからないと思うけどね。




「雪乃」

生徒会室に入ってソファに腰を降ろした途端にゆゆのハグ。と……

「ゆゆ、…んっ……せんぱい、が……」

「知らない」

本当は先輩がいるのかなんて、私には確認する間もなかった。でも、いつも待っててくれてるから、きっと……

放す気は、ないらしい。今までのからいくと、気が済むまで放してくれないよね。私のせいだし、突き放そうにも私の力じゃ。それに……。

唇が離れると、力強く抱きしめられた。

「どうして?」

その質問の意味なんて聞かなくても分かってる。

「ごめんね…」

今は、これしか言えないや。

ゆゆは、気付いてないのかな。あやちゃんの気持ち。

「生徒会にいる間は、こうしてていいでしょ?」

「そ、だね……」

誰も……ううん。あやちゃんに、見られるわけじゃないんだし。


ごめんね、ゆゆ。協力するからって、本当はこんなことしちゃいけないよね。私も、辛いんだ。でも、ちょっとだけ……

ちゃんと答えを見つけたいから。なるべく早く、こんなの終わるように、頑張るから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ