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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
12/44

12話

「ようやく揃ったか」

数十分して月野恵先輩が生徒会室に来ました。

「大会当日の話がやけに長くてなー」

「お前部員じゃないだろ?」

「エースが骨折して出られなくなったから出てくれって依頼された」

月野恵先輩はすごく運動神経が良くて、いろんな運動部のお手伝いをしてるらしいです。

で、夏休みの話は……。ちょっと、気になります。

「本題に入るぞ。まず、昨日決めた、肝試しのルールの案はほとんど変わる」

夜遅いもんね! お昼にすればちょっとは……。あ、あれ? この時点で肝試しをすることは確定してる…。


『そんな早い時間にしても面白くないでしょう! 先生方に協力していただけばいいのです。9時ごろから、例えば場所は学校か、それとも雰囲気を出すために墓地や病院の前…。そこで怪談話でもしてからスポットに向かえばいいのです。0時ごろに……』


「……とまあ、大方こんな風なことを言われた。先生がいれば保護者だって安心だろうと。あのババアやる気だぞ」

ふぇ……?

「チェックポイントの係は先生が担当だな。それぞれのペアが録ったビデオを観てから解散になる」

「行きたくないよぅ……」

「だーめ」

「あぅ…お姉ちゃんと行けばいいんだよ……?」

「冬華ちゃんはここの生徒じゃないでしょ。大丈夫よ、あたしがいるから」

出たらやだし……。ゆゆと一緒ならいいのに。それでも、怖いものは怖いけど。

「日にちももう決めてあるぞ」

そこまで! 早いなあ…

「おお! その日も部活の手伝いの予定が入ってる!!」

すごーく嬉しそうに声をあげる月野恵先輩。先輩も行きたくないよね、でも逃げようとするなんて酷いよ。


「夜中まで活動する部活なのか?」

「うっ! ……そういえばその日から家族旅行が…」

「うちにそんな予定は無い。逃げるな」

「行きたくない!!」

「ダメだ」

「うわああああああああぁ!!!」

「アホかお前は」

「嫌だ! 絶対出る! スポット行くとか絶対出る!! 憑かれる! 乗っ取られる! 死ぬ!!」

うんうん! 月野恵先輩の言う通り!!

「生徒が安全でいるにはせめて怪談話で終わらせるべきですっ!」

「本当にそんなことがあると思うの? じゃあ、悪いものが出ないような場所にすればいいじゃない。廃ホテルとか、廃校になった学校とか」

うー! ゆゆも敵だ!!

「良いお化けなんていないよっ! 心霊スポットはぜーんぶ危ないの!」

「そーだそーだ!!」

「まあ、決まったことだしな。当日はバスを借りれるようにして下さるそうだ。詳しいスケジュールや準備のことは、夏休みに入ってからの話になるからよろしくな。今日は以上! 終了!!」

「逃げた!」

「会長さん!!」

やだやだ行きたくない!

「楽しみだわ」

やーだー!

お膝の上でジタバタしたら、さっきよりきつくギューされたの。

「うーっ!」

「あたしたちでペアになれたらいいのにね…」

それは同感。そうじゃないとやだよ。

まだ先の話とはいえ……。

腕が緩んだのを逃さず、ゆゆを振り返って抱きついた。背中を優しく撫でてくれる。

「にゃ…………」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「あら」

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

先輩たちは紅茶を飲みながら談笑してる。まだ帰るつもりは無いらしい。暗くなってるし、迎えを寄こすかしら。雪乃も寝ちゃったし。鷹音先輩がすかさず毛布を差し出してくれる。

「お前も大変なんだな。甘えられてるのに。本人が気付いてないだけじゃないのか?」

おそらく先輩は新聞を見たのだと思う。それであたしたちのことをおおよそ分かってる。それで言ってるんだと思う。

「いいんですよ。……ただ、他の人に渡ることは絶対に許しませんが」

「それは大丈夫そうに見えるがな」

「すごく仲良しじゃない。それに、あまり他の人と話すことって無いんでしょう?」

「まあ……そうですね」

先輩たちに励まされるなんて。なんか複雑ね。


でも、もしなれるなら……。


あたしだって、雪乃のお姉さんじゃなくて、恋人になることを望んでる。


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