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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
10/44

10話

放課後の教室。さっさと準備を終わらせて私の席のところへ来たゆゆ。

「雪乃。生徒会、入ったわよ」

「ほえ? 入ったの?」

あれだけ宣言してたのに。お昼休み。ホットミルクを飲んだ私はすっかり爆睡してしまい、目が覚めたのは午後の授業の先生がちょうど教室に入ってきた時だった。あの後生徒会室で何があったのかは全く知らないのです。

「2人で一緒に入ればいいって言われたの。副会長の2人もそうだからって。仕事もそんなに難しいものじゃないし、多くもないから、って。断る理由も無くなったのよ」

へぇ〜。って、ことは……。私も、役員になっちゃったわけだ……。私なんかが入って大丈夫なのかな? あれ? そもそも…

「何で私たちを役員にしたがったの? こんな時期だし、3人でもちゃんと生徒会が成り立ってるならそれでいいんじゃ……?」

鞄を準備し終えて、ゆゆを振り返る。

「そうなのよ。でもまあ、それこそ会長さんの気まぐれなんじゃない?」

気まぐれなんだ……。

「で、早速集まるようにって言われたから、今から生徒会室に行くわよ」

え! 帰るんじゃなかったんだ!!


……と、いうわけで本日2度目の生徒会室です。先に来ていた先輩とまずは自己紹介タイムなのです。

「月野恵るる。よろしくな!」

鷹音先輩と同じ副会長さんらしいです。笑顔が眩しい元気な感じの先輩です。なんかスポーツマンっぽいな……。

「月野恵って……?」

ゆゆがそう言うと、お昼休みと同じように飲み物を持ってきてくれた鷹音先輩がすかさず応えた。

「その通り。会長さんの妹よ」

「無理やり入れられたんだ…面倒くさいったらないよ」

姉妹で生徒会を! すごいな〜。無理やり入れられたってことは、月野恵先輩も会長さんに言われたのかな。

「おー。揃ってる揃ってる!」

この人が会長さん? 背が高い! そしてやっぱり姉妹だから、雰囲気は月野恵先輩とそっくりなのです!

「えーっと。一応昼休みに会ったが初めましてだな、俺は月野恵らら。会長だ」

「桜咲雪乃です」

「よろしくな。じゃあ、早速本題に入るぞ」

向かい合っている私たちの間のソファに座り、それと同時にコーヒーの入ったカップが会長さんの前に置かれた。

「夏休みについてだ。去年は学校で宿泊だったが、今年は肝試しをやろうと思う!」

「「えっ!!?」」

重なったのは月野恵先輩の声だった。ぬぅ……。肝試しなんてやだよ。怖いもん。

「学校でするのもいいが、やっぱりそういうスポットで楽しむのもいいよな。時間は少し早めに始めればいい」

この案に乗り気なのはゆゆだけだよ。鷹音先輩はにこにこしてて、多分反対はしてないんだと思う。

「楽しそうですね。あたし、行ってみたい所あるんです」

声色はいつも通りだけど、目がキラキラだよ。ゆゆ。


「頼もしいじゃないか。まあどこに行くにしても学校の許可は要るな。夏休みといっても、旅行に行く生徒も多い。3年生はここが頑張り時だしな。だから強制でない行事ではそこまで参加者は多くない。先生方の許可さえ貰えればあとは参加者を募るだけ」

へえ……って、肝試しをやることは確定なんですか。ゆゆと一緒がいいな。あれ、会長さんって3年生じゃないの?

「姉さんも3年じゃないか。肝試しなんてやってていいのか?」

「学校行事の方が楽しいし優先だ。まあ、ある程度のルールは必要だな。クジで2人ペアを作って、ビデオカメラを持って決めた道順を周って貰えればいい。何か妖しい物が映っていたり一番他の参加者を怖がらせたペアが勝ち」

「ふえ……クジで?」

ゆゆとじゃダメなの?

「それが目的だからな。同じ学年同士だけではなく仲良くなるというのは」

「あぅ……」

ゆゆとがいいよー! 怖いよ、知らない人にはしがみつけないし……。あ! でもでも、

「や、役員だから何か係りとかあるんじゃ? 私たち、肝試し自体に参加出来るんですか?」

向かい側では月野恵先輩がぶんぶん首を縦に振っている。

「途中でチェックポイントがあったらいいかもな。中でずっと待ってるか?」

「ひぅ!!」

ゔぅ〜っ!

「大丈夫よ。肝試しの方に参加した方が、そんなに長くはならないでしょう。戻って来ればもう終わりなんだから」

そう言ってゆゆが優しく頭を撫でてくれた。

「大方今はそんなもんでいいだろ。詳しいことはまた今度な。今日はこれで終わり」

だ、そうです……。コーヒーを飲み終えた会長さんは「戸締りは頼んだぞ〜」と言って帰って行きました。

「……今日はテニス部に補助を頼まれたんだった」

「そうなの。頑張ってね」

「ああ。じゃあ、お疲れ様」

「「お疲れ様です」」

気を、紛らわそうとしてるのかな? やっぱり怖いんだよね。私だけじゃなくて良かった。

「あたしたちも帰ろうか」

「うん。あ、カップ……」

「いいわよ。私があとは片付けておくから」

「え、でも……」

「ほら、もう暗くなっちゃうわよ? 危ないし」

それは鷹音先輩にも言えることなのでは? 譲る気配も無かったので、カップをキッチンのところへ運ぶところまではさせてもらった。

本当に、お家にあるようなちゃんとしたキッチンだよ。冷蔵庫まである……。生徒会室って、すごいです。

「あ、そうそう。一応生徒会は毎日集まることになってるのよ。だから、また明日ね」

「分かりました」「はーい」



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