1話
「うぅ…さむっ!」
もう春なのに、何でこんなに寒いのっ!冬もすっごく寒くて、いっぱい雪降ってたのは嬉しかったけど……寒いのはやーなの!
今日も学校なので、もちろん嫌でもお外に出ないといけないのです。すぐに幼馴染の、小野町柚結里がお迎えに来るはずなのです。外はところどころ雪が残ってるくらいだよ? 雪好きだけど寒すぎる! マフラーも手袋も、寒がりの私にはまだ手放せません!
「雪乃。おはよう」
「ゆゆ! おはよー!!」
雪乃というのは私の名前。桜咲雪乃。高校1年生です! で、柚結里のことはゆゆって呼んでるの。会ったらギューです。ゆゆはあったかいの!
「……ゆゆ、背伸びたでしょ?」
実は今日は身長の測定があるのですが…多分きっと、まだ遠い…夢の150cm……うーっ!
「さあ? あたしも去年の春以来測ってないから。雪乃も伸びてるわよ、きっと」
むぅ。ゆゆはもう伸びなくていいの! 私が首痛くなっちゃう!
今でも一緒に歩いてたら、近所のおばさんたちに「仲の良い姉妹ねぇ〜」なーんて言われちゃうんだよ? 確かにゆゆってお姉ちゃんみたいだけど。
「ほら、行くわよ?」
「うん」
手を繋いでレッツゴー! ですっ!
私たちが通う藍園学院は、お金持ちが通うすっごく綺麗な学校なの。もちろんレベルも高くて私には手が届かない…って思ってたんだけど、ゆゆは親にこの学校に通うように言われてたらしくて。私も一緒の学校がいいって思ったからパパとママに話したら、いいよって言ってくれたの。でももちろん、許可が下りたからって通えるわけもなく…。必死に勉強して、なんとか合格することが出来たのですよ。テスト前とか大変なんだろうな……。ゆゆにいっぱい教えてもらわなくちゃ。
はぅ。ついに…順番がぁ……
女の先生にカードを渡して測ります。
うぅ……。
「はい、どうぞ」
伸びてるかな…ドキドキ。
えい! っとカードをひっくり返して見てみると、身長は……143.0cm!
「伸びてる!!」
「雪乃、どうだった?」
「ゆゆ! んっとね、2cm伸びてたの!!」
「良かったじゃない!」
ゆゆがなでなでしてくれたのっ♪
「えへへ〜♪」
「そうそう。雪乃、ちょっと話したいことがあるのよ」
ゆゆが? 珍しいね。
今は4限目だから、これが終わったらお昼です。ゆゆからお話って初めてじゃない? 何かあったのかな。
「二人きりに、なれる場所を見つけたの」
二人きりで、話したいことなんだね。また珍しい。全然そんな風には見えなかったけどな。悩んでるようには。
「ああ、別に難しい話とかじゃないから、構えたりしないでね」
「分かった」
「お昼、今日も雪乃の分まで作ってきたから」
「本当!?」
ゆゆはすっごくお料理上手なの!
お店に出せるんじゃないかってくらいで、ちょっと食べるのが申し訳なく思っちゃうんだけど。その度に、「雪乃に作ってきたんだから食べて」って言ってくれるの!
お昼、楽しみだなっ♪