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影の軍  作者: 風城国子智
4/10

 薄明の平原を駆け抜ける風が、鉢巻で止めた栗色の髪をふわりと浮かせる。

 その風に促されるように、トゥエは作業をしていた手を止め、ゆっくりと顔を上げた。

 まだ明けきらぬ平原は、薄い靄に覆われている。

 その靄を透かして遠くに見える低い丘を見やり、トゥエは小さく溜息をついた。

〈……もう、着いた頃だろうか?〉

 これからのことを思うと、緊張で息苦しくなるほど胸が締め付けられる。そんな心を落ち着かせるように、トゥエはことさらゆっくりと息を吐き出した。

「準備できたか、トゥエ!」

 そんなトゥエの頭上から、元気すぎるくらい元気な声が降ってくる。その声に誘われるように顔を上げると、背後の城壁の上でこちらに向かって大きく手を振っているヘクトと目が合った。

「ああ、大丈夫だ」

 心の内を隠すように、ことさら元気な声を出す。

 城壁の上には、弓を持った兵士達がずらっと並んでいる。その兵士達を動揺させないように、トゥエはヘクトに向かってにっこりと笑いかけた。

「そっちの調子は?」

「準備万端。いつでもいけるぜ」

 こんなときでもいつも通りであるヘクトの台詞にほっとする。

 大丈夫。きっと、勝てる。その思いを胸に抱きながら、トゥエはもう一度、靄の向こうにある丘をしっかりと見つめた。


 緩衝地帯を越えてリーニエに攻め込んで来た魔皇帝の部隊は、これまでにないほど大きなものだった。緩衝地帯の村人を守る為に一部隊だけは滅ぼしたものの、残りの部隊は現在、トゥエ達が守るこの砦まであと一息の所にまで迫っていた。

 おそらく魔皇帝は、渡河点を守るこの砦に全部隊を投入するだろう。それが、トゥエ達の予測。

現在、新都ラフカと魔皇帝との間にあるのは、オク川とトゥエたちが拠っているこの小さな砦だけ。ここを突破されてしまったら、新都の人々はどうなるか。考えただけでもぞっとする。いや、新都だけではない。悪くすると首都であるアデールにまで、魔物の侵略を許してしまう。

 その上、この砦には、近隣の村々から避難して来た人々が大勢居た。

ウプシーラの惨状が、トゥエの眼にありありと浮かんでくる。あんな悲惨なことがこの地でも行われる。そう思っただけでも胸がぎゅっと締め付けられた。

砦の人たちも、都の人たちも、魔物たちの餌食にするわけにはいかない。

 だから、負けるわけにはいかないのだ。


 ……しかしながら。

 どうすれば、圧倒的な力を持つ魔皇帝を撃退することができるのだろうか?


「……方法は、一つだけだ」

 昨晩、砦の司令室でリュエルが発した言葉を、トゥエは今でもはっきりと覚えている。

 そして、王子の首に掛けられた『石』が放つ、鈍い光も。

「奥の手を使う」

 そう言いながら、リュエルは目の前に広げられた地図の、砦の前に広がる小さな平原を指差した。

 トゥエと、マチウとヘクト、そして神官ウォリスがリュエルの指先を追う。

 魔皇帝の軍は、その殆どが魔界から呼び出された醜悪な魔物で構成されている。魔皇帝が砦の攻略に集中している間に、リュエルの持つ『石』が有する『魔物を消す力』でその魔物達を消す。それが、リュエルの明示した作戦だった。砦の周りは平原で、しかも大小の丘が平原の周りを囲んでいる。魔物をおびき出して足止めするには好都合な構造だ。

 しかし、前に魔皇帝の戦いを見たことがあるリュエルの後見人エッカート卿の話によると、魔皇帝は魔法系の罠にとても敏感であるらしい。前々からの準備では、彼にすぐ気付かれてしまうかもしれないのだ。回り道をされ、直接ラフカを攻撃されれば元も子もない。

「だから、魔皇帝軍が全て平原に入ってから、魔法を発動させる」

 そう話すリュエルの声には今までに無い気迫がこもっていた。

 だが。

 リュエルの話を聞きながら、トゥエは頭の中で別の策略をめぐらせていた。

 魔皇帝が魔法系の罠に敏感なら、砦側が仕掛けた魔法は、それが大掛かりなものであればあるほど、見破られる可能性は大きくなる。そんな敵に、魔法を使うこんな作戦が通用するだろうか?

 それに。先の戦いで見せた、『石』の振る舞いも気になる。『石』の『力』は不安定で、しかもトゥエがリュエルから離れている時でないと発動しなかった。たった数回のことから類推するのは危険すぎるが、それでも、トゥエが側に居る時には『石』の力は発動しなかったことだけは、確かだ。

「だったら、魔法はここではなく、向こうの丘で発動させればいい」

 そこまで考えたから、トゥエは地図を指差しながら思いのままをはっきりと口に出した。

「護衛にはマチウとウォリスを連れて行けよ。そうすれば、もし砦が落ちて王国が滅びても、王の血筋は残る……」

「トゥエ!」

 トゥエの言葉に憤ったのか、いきなり、横にいたマチウの腕がトゥエの襟を掴む。

「お前、リュエルのことを何と思って……!」

 そしてそのまま、鉄の手甲に包まれた拳が、トゥエの左頬に入った。

 いつもは穏やかな兄貴分であるマチウだが、やはり、トゥエの発言はリュエルを侮辱するものだと受け取ったのであろう。彼はやはり、主を侮辱されることに黙ってはいられない騎士性質の人間だ。衝撃でくらくらする頭で、トゥエはそんなことを思った。

「兄貴、やめろよ!」

 マチウの行動に驚いたヘクトが二人の間に割ってはいる。

「良いんだよ、マチウ」

 しかし、もう一発とトゥエに向かって構えられたマチウの拳を止めたのは、リュエルの穏やかな言葉だった。

 リュエルは肩で息をするマチウの背を軽く叩くと、殴られた衝撃で床にへたり込んだトゥエの前に立ち、にこっと笑った。

「確かに、失敗する可能性のほうが高い。そう思っているのだろう、トゥエ?」

 あくまでも穏やかな言葉が、トゥエを口篭らせる。

 トゥエは僅かにこくんと頷くことで、彼の言葉を肯定した。

「しかし、他に方法がないことも確かだ」

 確かに、ただ手を拱いているだけでは、魔皇帝の侵略を抑えることはできない。しかし、『失敗する方法』をわざわざ取ることに、意義があるのだろうか?

「大丈夫、失敗はしないさ」

 そんなトゥエの気持ちを見透かしたように、リュエルが鷹揚に笑う。

「その為に、色々考えているのだから」

 そう言うと、不意にリュエルは机に戻り、地図をじっと見つめた。

「……トゥエの案も、中々面白いな」

 敵方もまさか、背後で魔法発動の準備をしているとは思うまい。リュエルは軽くそう呟いた。そしていきなり、まだへたり込んだままのトゥエの方を向き、唐突に問う。

「トゥエ、昼間仕込んだモノだけで、一万の大軍を魔法発動まで足止めできるか?」

「もちろんです」

 その問いに、トゥエはウォリスの手を借りて起き上がりながらはっきりと答えた。

 『魔皇帝を足止めできる仕掛けを』とリュエルに言われてトゥエが用意したものは、魔皇帝にとってはちゃちな魔法仕掛けかもしれないが、うまく使えは時間稼ぎには十分な威力を持っている。

「ならば、私たちは丘へ行こう」

 そんなトゥエを見て、リュエルは再び穏やかに笑った。

 だが、トゥエが心配しているのは作戦や友のことだけではない。リュエルが首から下げている得体の知れない『石』。この『石』が、トゥエの心配の源だった。

 確かに、リュエルの持つ『石』は、魔物に囲まれたトゥエ達を助けてくれた。それは、認める。リュエルの持つ『石』が、魔物を悉く消し去った時のことを、トゥエは今でも覚えている。だが、『石』の持つ力は、本当に『魔物を消す』だけなのだろうか? それが、どうも引っかかる。そして、その危険かもしれない『石』を、リュエルは何の疑いもなく持って使っている。そのことが、何となく嫌なのだ。

 ……その危惧がどこから来ているのかは、分からないが。

「しかし……!」

 だからトゥエは、微笑むリュエルに向かって再び食い下がった。

「この『石』のことだろう、トゥエ」

 しかし、トゥエの思いを再び読んだかのように、リュエルはゆっくりと微笑む。

「私のことは心配いらない」

 そして、胸にぶら下がっている『石』を軽く叩いてから、リュエルはトゥエを見つめて言った。

「だからトゥエ、砦のことは頼んだよ」

 あくまで静かで、そしてしっかりとトゥエを信頼しているリュエルの瞳。

 その瞳の色に魅せられて、トゥエはただ黙ってこくんと頷く他、無かった。


 そして組まれた作戦通り、夜の闇にまぎれて、リュエルはマチウやウォリスと共に砦を去り、丘に向かった。

「頼んだよ、トゥエ」

 去り際に囁かれたリュエルの言葉は、今でもトゥエの耳にはっきりと残って、いる。


 そこまで信頼されているのなら、答えなければならない。

 たとえ頼るものが、得体の知れない『石』の力だったとしても。


 けれども……!


「……来たぞ、トゥエ!」

 切羽詰ったヘクトの叫び声に、トゥエの白昼夢は破られた。

 はっとして顔を上げる。

 トゥエの目にも、土埃が高く舞っているのがはっきりと見えた。

 寒気にも似た感覚が、トゥエの背中を這い登る。

 ついに、来た……!

「やるのか、トゥエ?」

 そんなトゥエに、ヘクトの怒鳴り声が降ってくる。

「まだだ」

 その声にそう怒鳴り返してから、トゥエは向かって来る土埃をじっと見つめた。

 なるべくギリギリまで引き付けないといけない。土埃の中に魔物の形が認められるまで、トゥエは短槍を構えたままじっと待った。

 ぞくぞくするような感覚が全身を駆け巡る。

 ……今だ!

「いっけー!」

 平原には、砦から同心円を描くような形で魔物を足止めするための小細工魔法が仕掛けてある。魔物の姿を見極めたトゥエは、短槍の先を地面に突き立て、呪文を唱え始めた。

 周りの地面が、ゆっくりと光りだす。

 忽ちにして、土埃の勢いが衰えた。

 しかし、高々ちゃちな小細工。すぐに視界の中に魔物の大柄な姿が入ってくる。

ならば、更にけしかけるまで。

「行け、ヘクト!」

 トゥエは城壁のヘクトにそう怒鳴った。

「了解!」

 待ってましたとばかりのヘクトの声が耳に響く。

 次の瞬間、城壁の上から魔物に向かって小さな矢が雨霰と浴びせかけられた。

 その矢全てに、魔物を傷つける呪文が封入されている。昨日、マチウとヘクトが城兵と砦に逃げこんで来た村人達の中から選んだ屈強な若者とに弓の稽古をつけている間、魔法の心得のあるトゥエとウォリスが一生懸命作成したものだ。

 その上更に、砦にあった投石器を使い、これまた呪文入りの岩石を魔物たちに向かって投げつけている。これでは、いくら大軍でも、いや密集した大軍だからこそ、受ける損害は無視できるものではなくなる。トゥエたちは、それを狙ったのだ。

 それでも、こちらに向かって来る魔物は後を絶たない。そういった魔物は、トゥエが短槍で相手をする。

 もちろん、トゥエに向かわずにそのまま砦の外壁を登ろうとする輩もいる。だが、この壁にも魔物撃退の呪文を既に掛け済みだ。現に、苦痛の咆哮を上げて魔物たちがじりじりと外壁から下がっているのが微かに見える。

 これで、何とか足止めはできるだろう。魔物たちが繰り出す槍を頑張って受け止めながら、トゥエは確かにそう、感じた。

 だが、次の瞬間。

 不意に、トゥエの目の前にいた魔物たちがすうっと消える。

先ほどまでとは明らかに違う空気を感じ、トゥエの全身が総毛立った。

〈……まさか!〉

 ある予感に囚われ、はっとして目の前の空間を見つめる。

 そこに現れたのは、やはり、トゥエの予想と寸分違わぬ人物、だった。

 小さな金の板を布一面に縫いつけた白いマントと、関節部分に赤を配した黒塗りの細板鎧。そして周りを払うような威圧感。

「……魔皇帝」

 短槍を振るトゥエの動作が自然に止まる。そんなトゥエの目の前に、『魔皇帝』カルダーノはことさらゆっくりとした動作で立ち止まった。

「ほう……」

 呟くような声が、トゥエの耳にはっきり聞こえる。

 次の瞬間。目にも留まらぬ速さで、槍の穂先がトゥエの右頬を掠めた。

「な……!」

 一拍遅れてトゥエが動く。だが、トゥエが動く先を読んでいるかのように、魔皇帝の槍は次々とトゥエを襲った。

 何とかしたいが止められない。トゥエはとうとう城門の前まで下がってしまった。

 だが、ここから先は、下がることはできない。

 ならば。

「……えいっ!」

 魔皇帝の一瞬の隙を突いて、槍を構えたまま前へ出る。そのトゥエの槍は、魔皇帝の槍をうまい具合に遠くへ跳ね飛ばした。

「やった!」

 二人の様子を見ていたらしい、ヘクトの明らかにほっとした声がトゥエの耳に響く。

しかし、次の瞬間。トゥエはいきなり足元を掬われた。

「なっ!」

 そのまま、仰向けにひっくり返る。足元を見ると、いつの間にか、下半身の殆どが見たことのない毒々しい色の蔓草に覆われていた。

 その蔓草は、城壁をも包み込むようにぐんぐんと生えてきている。トゥエのちゃちな呪文など物ともしないその生命力に、城壁の方からどよめきと悲鳴が聞こえてきた。

 これは、いけない。トゥエは大急ぎで蔓草を引き千切ると、落ちていた短槍を拾った。そしてそのまま、この蔓草を召喚したであろう魔皇帝へと向かって行く。

「無駄だな」

 しかし魔皇帝は余裕を持ってトゥエの攻撃をかわすと、トゥエに向けて指を立てた。

 その指から電撃が迸る。

〈危ないっ!〉

 トゥエはとっさに槍を魔皇帝に向かって投げつけた。

もちろん、その攻撃はあっけなく避けられる。だが、ほんの一瞬だけ、魔皇帝の胸ががら空きになるのを、トゥエは見逃さなかった。

がむしゃらに、魔皇帝の胸に飛び込む。

魔皇帝の鎧がナイフも拳も通さないのは百も承知。それでも、トゥエのとるべき行動はこれしかない。

 と。

 トゥエの指先が、魔皇帝の胸元で微かに光っていた宝石に触れる。

 次の瞬間。

〈……え?〉

 全身に走った衝撃に、トゥエは思わず突き出した腕を引っ込めた。

 その機を魔皇帝が見逃す筈が無い。いきなりの平手打ちで、トゥエの軽い身体は城門の前まですっ飛んだ。

「……くっ」

 痛む頬を押さえ、何とか上体を起こす。

 ふと横を見ると、さっきまでぐんぐんと生えていた蔓草が、綺麗さっぱり消えていた。

〈……え?〉

 思わず首を傾げる。

 だが。

 次の瞬間、鉄の手甲に包まれた大きな手がトゥエの襟元を掴み、その身体を引き上げた。

「トゥエ!」

 ヘクトの叫びが耳を打つ。

 魔皇帝の憮然とした顔が、トゥエの目の前にあった。

 城壁上の騒ぎが、遠くに聞こえる。

 息が、苦しい。

 霞む意識の中で、それでも首に掛かっている魔皇帝の太い手を外そうと、トゥエは精一杯もがいた。

 自分がどんなことになろうとも、砦からは誰も一歩も出ないこと。トゥエはヘクトや兵士達にそう厳命していた。更に、トゥエ自身が城門に魔法を掛け、誰も外に出られないようにしてある。だから、自分自身でこの状況を脱しないといけない。

 と、その時。

「……悪いようにはせぬ。私の軍門に下れ」

 思いがけない言葉がトゥエの耳を打つ。

 この声は確かに魔皇帝の声だ。しかし、何故唐突に?

「お前の『力』が、私には必要だ」

 ゆっくりと、噛んで含めるような声が続く。

 だが、トゥエの答えは訊く前から決まっていた。

「断る」

 苦しい息の中、それだけをはっきりと声に出す。

 魔物を使い、人々を惨殺するような奴の味方になんか、誰がなるものか。

「そうか、……惜しいな」

 溜息交じりの声と共に、首筋に掛かる力が強くなる。

「まあ、こちらとしても、無抵抗な人々を無造作に殺すような奴らの同類を味方にするわけにはいかない、か」

 沈んだ言葉が、薄れゆくトゥエの意識にはっきりと響いた。

 なす術も無く、目の前が真っ暗になる。

 トゥエは死を覚悟した。

 と。

 不意に、首に掛けられた力が外れる。

 トゥエの身体は重力のまま、背中から地面に落下した。

「なんと!」

 驚きの声が、辺りに響く。

 トゥエはゆっくりとその目を開いた。

 先ほどまで周りにいたはずの魔物たちが、綺麗さっぱり消えている。

 そして何より、先ほどまでの禍々しい気が、確かに、消えて、いた。

 リュエルの魔法が成功したのだ。

「……くっ」

 不利を悟った魔皇帝が、トゥエに背を向ける。

「だが、この感じは……」

 マントを翻し、それでも悠然と去って行く魔皇帝の背からおかしな呟きが聞こえてきたのは、トゥエの気のせい、だろう、か……。



 目を醒まして最初に飛び込んできたのは、涙でぐしゃぐしゃになったリュエルの顔。

「……良かった、生きてた」

 リュエルの震える手が、トゥエの額をゆっくりと撫でる。その手の感触が何となくこそばゆくて、トゥエは全身を駆け抜ける痛みを忘れ思わず笑顔を作った。

「大丈夫ですよ、王子」

 リュエルの後ろに、マチウとウォリスの安堵した顔が見える。

 瞳だけをゆっくりと動かすと、ちゃんと立っている城壁の上で、ヘクトが心配そうにこちらを見ているのが何故かはっきりと見えた。

 夜明けの頃とあまり変わっていない辺りの光景にも、ほっとする。

 色々あったが、ともかく、魔皇帝を撃退して、砦も、都も、大切な人たちもちゃんと守ることができた。

 リュエルの信頼にも、きちんと答えることが、できたのだ。


 良かった。

 心からそう思ったトゥエの意識は、次の瞬間、温かい闇へと落ちて、いった。

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