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四男登場★

う~指が筋肉痛になったー・・

昨日は結局一時間も肩マッサージさせられて参ったよ。

専属メイドも楽じゃないや。

でもまだ一日しか働いてないんだから弱音吐かず頑張らないとな。

と気持ちを新たに二日目の出勤。


今日は響はお昼から出掛けるということでとりあえず9時に出勤して凜さんのお手伝いをしながら響の呼び出しを待つという形。

今お屋敷の窓を一生懸命拭き掃除しているところ。

これ窓拭きだけで一日終わるんじゃないかと思うくらい窓の数が多い。



そうそうこの紅咲家の家族なんだけど、父、母と例の4人兄弟の構成みたい。

旦那様(父)は朝早くからご自分の会社へ出向き、帰りも遅い為、なかなか会うことができないらしい。

奥様も自分のエステの会社に9時前に出発し帰りは遅いのでこれまた出会うことが難しい。

普通は雇われるときに挨拶するのが礼儀だと思うんだけど、専属メイドに限っては息子にまかせているらしくノータッチなんだって。

けど、四男の専属メイド(可憐さん)に限ってはまだ四男が高校1年生ということもあって旦那様が選んだらしい。


だよねえ・・高校生が選ぶような人じゃないもん。

旦那様はきっと見る目があるんだろうなぁ。

あんな才色兼備な人を選んでるんだから。



「へー君が新しく響の専属になったメイドか」


と後ろからここに来て聞いたことのない少し高めの男の人の声がして振り返る。


茶色い髪をワックスで無造作に散らした髪型にして今時な感じの男の子が立ってる。

響と似た綺麗な瞳、体型は響よりも華奢で、顔もまだ幼いのでカッコイイというよりかわいい系に入ると思われる。この人もしかして・・


「鳴さま・・ですか?」


「うん、そう」とにっこり笑った。


か、かわいい・・・なんていうか天使のような・・

いつも意地悪い顔ばかりする響とは大違い!


「響とうまくやれてるの?」


「え・・それは・・まだ始まったばかりなので」


「そっか。君さ、」

と言って顔を近づけてくる。

「??」何なに?とあたしは思わず後ずさりをする。


「かわいいね、中学生みたい」

ちゅ、中学生?!


「今度デートしない?」

デート?!


あまりのことにあたしは目を白黒させて硬直した。

これって一体どういう展開なの??


そのときピロロロロ・・・とタイミングがいいのか悪いのか携帯が鳴りだす。

響からだ!


「なんだ。ざーんねん。キャロちゃんだよね?変わった名前だからすぐ覚えられたよ。またね。」

とまたさっきみたいにかわいい笑顔を残して去って行く。

だけどほんとはもしかして天使じゃなくて・・小悪魔、かもしれないとふと思った。


「はい」とあたしは携帯に出た。すると

「すぐ部屋に来い」と少し苛立った声が聞こえてきた。

「わかりました」


なんだろ・・・それにしても鳴とのギャップが激し過ぎる・・




「おっそいなぁ」

今日初めて会ってこの言い方・・


「すみません。お屋敷の端にいたものですから」


「その拗ね顔、ガキくさー」


・・・あたしより4つ年下からガキとか言われると無性に腹が立つ。


「おまえ年の割に童顔だし色気ないし、その髪形も幼ささらに増幅させてるの気づいてんの?」


何この言いたい放題わ。あたしは今ショートボブにしてて、けっこう自分では気に入ってるのに。

ってかなんかだんだん最初より口の悪さひどくなってないぃ?!

 

「あのっ用事は何ですか?」

これ以上暴言を吐き続けられるのは我慢できないから早めに話を切り替えた。

「あーこれ、今ジュースこぼして汚れたからすぐ洗っといて」

とTシャツを渡してきた。


「はい・・」

「それ気に入ってんだから汚れ落ちなかったらクリーニング出しといてよ」


へーお金持ちの割には物を大事にしてるのかな。


「オレんちは物は大事にすんだよ。親父にそう教えられてるからな。」


え・・心の声がバレてる・・?


「顔にすぐ出てんだよ、おまえは」


うっ・・・物だけじゃなくて人も大事にしてほしいけど。


「何か言いたいことがあるなら言えよ。最初のときみたいに。」


「その・・人も、大事にしてほしいなと・・」


「ふーん。それってつまりおまえを大事にしろってことだよな」


「えっ・・えっとその・・」


響がなぜか至近距離に詰め寄ってくる。

心臓がまた騒ぎ出す。

そんな風に近付かれるのって心臓に悪いんだって!


そしてあたしの耳元で・・・


「無理っ」


「なっ!!」


響はあたしを意地悪そうな目で見てまたケラケラ笑いながらソファに戻って行った。


「・・・」

もーーーー!ムカつくー!

あたしはドアをきつめに閉めて怒り足で洗濯場に向かって行った。

このTシャツ引き裂いてやりたいわ!



時刻は夜7時。

メイドの仕事の定時は7時。紅咲家全員分の夕食を用意したら仕事終了なのだ。


「はぁ~今日も疲れたぁ・・」

とロッカー室で着替えていると、

「お疲れ様」と凜さんが入ってきた。

「あっお疲れ様です」


「どう?メイドの仕事は。まだ二日目だけど」


「うーん、大変な仕事だなって思います。でもまだ始まったばかりなので頑張って続けていきたいと思ってます。」


「うんうん。マイペースに頑張ればいいからね。」


ほんと凜さんはいい人だなぁ。心が安らぐ言葉を掛けてくれる。


「そういえば今日四男の鳴様に会いました。」


「まぁ。さっそく。かわいらしい方でしょ?」

「はい・・・でもからかわれてしまって・・鳴様ってどういう方なんですか?」


「うふふ。私の印象から言うと、頭が切れる方で口がお上手といった

感じかしら。」


確かに・・そんな感じする・・。


「けど空気を読める分、繊細なところもお有りな感じもするのよね。」


へーそうなんだ。


響とはほんと正反対な感じだなぁ。


「それぞれ個性のあるご兄弟の方達だから、他の方に会うのも

楽しみにしてて。」


「はい。それじゃ明日もよろしくお願いします。お疲れ様でした。」


「はーい。お疲れ様」


後二人の兄弟は一体どんな人たちなんだろ。

そう考えるとちょっとわくわくしてきたなぁ☆


あたしの母がよく口癖のように言ってるのよね。

『どんなことも楽しく頑張ろっ』って。

そうよね、楽しみを何か見つけて働くのって大事だ。


明日からはその気持ちを胸に頑張るぞ!

と心新たにこの日は屋敷を後にしたのだった。



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