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★Happy Halloween★  (Ⅰ)

少し肌寒くなってきた今日この頃。もう10月だもんね。季節は秋だ。


響に呼ばれて今部屋にいる。

昨日また登山サークルの活動があったみたいで、あたしはマッサージの仕事にいそしんでいる。


「おまえ相変わらず首突っ込んでるみたいだな」と顔だけ横に向けてうつぶせになってる響が言ってきた。


「う・・うん。」


響にはあの脅しを受けた件は話してないんだよね。

もし言ったら月野くんにキレちゃうかもしれないし・・。


「何でそこまで気になんの?」


「やっぱり心配で」


「ふーん。・・あっそうそう、今度の土曜遊園地でも行かね?なんかハロウィンのイベントやってるみたいでおもしろいらしい。バイトの子が教えてくれてさ」


「へー!行きたい☆」

あたしハロウィンのイベントごとって大好きなんだよね。

あのオレンジ色とかかわいいホラーのキャラたちとか。


「じゃ決まりな!あ、他の奴は連れてくんなよ」


「はーい」


あの花火大会のこと相当根にもたれてるみたい・・。

大勢で出掛けるのあまり好きじゃないんだろうか。

それにしても遊園地なんて久しぶり。


ハロウィン楽しみだなぁーー!






「わぁかわいい☆」


あたしと響は今遊園地の前にいる。


入口からもうハロウィンって感じで。


オレンジのパンプキンがあちこちにたくさん装飾されている、

『Happy Halloween!!』と描かれたアーチの入口をくぐるとそこはもうハロウィンの世界。


「おまえテンション上がり過ぎ」とはしゃいでるあたしを見ておかしそうに笑う響。

「だってハロウィン大好きだし遊園地久しぶりに来たし!」


「そういやオレも長いこと来てねーな」


「そうなんだ!じゃあまずは何乗ろっかー♪」


「やっぱ最初は絶叫系だろ」


「うんうん!行こ!」


「あっ引っ張んなって」


やっぱ遊園地来るとテンション上がるなぁ。

なんかこういうところに来るとまるで別の世界に迷い込んだような、そんな気になるんだよね。

非現実的な気分になるから何もかも忘れて楽しめる。


あたしは今日はコスプレとまでは行かないけど、魔女を意識して、黒の生地に金色の星がたくさん散りばめられたワンピースを着てる。髪にはパンプキンが付いたヘアピンをつけてる。

響は英語のロゴが入った白Tシャツに丈が短めの黒いジャケットを着て下はジーンズを穿いてて、カッコよく決まってる。


「今日のカッコ、ハロウィン意識してんの?」


「うん!どうかな?」


絶対『似合わね~』とか『ガキくせ~』とか返答が返ってくると思ったのに・・・


「へ~かわいいじゃん」とあたしの服装見ながら言う。


かぁぁぁぁぁ・・

響に褒められると妙に照れる・・。


「乗り物発見、よし、行くぞ」

とあたしの手を取った。


「前みたいにはぐれたらダメだからな」とこじつけみたいに言う。


「ありがとう」


ん?なんかまたドキドキしてきちゃった・・。

今日あたしの心臓大丈夫かしら・・。





「久々の絶叫は怖かったよ~~」

ジェットコースターを乗り終えたあたしと響はちょっとクラクラ気味になっていた。

「おまえだらしねーな」


「響もフラついてるじゃん!」


「どこが。全然平気だし」


強がり言っちゃってー。



今日は休日だし、イベントやってるせいか人がけっこう多く、待ち時間も長い。二つ乗ったらもうお昼になったので昼食を取ることにした。


「やっぱ今日はかぼちゃスープ飲まなくちゃね~♪」

あたしはかぼちゃスープ付きのパスタセットにする。

響も同じのにしておごってくれた。


「いいの?」

「ご飯ごときに女にお金出させるとかカッコわりぃし」


響ってば男らし~~!

まぁでもお金持ちだしね・・・。

あっでも今はおこづかいとかもらってないって言ってたっけな。

だからバイト代から出してくれてるってことだよね。

やっぱ男らしいわ響・・。


「響はモテるのに彼女作らないの?」とパスタを食べながら聞いてみた。あまりこういう話したことないんだよね。

響なら瞬殺でできそうなのに、なんでいないんだろ・・。前から不思議に思ってた。


「いきなり何だよ。モテたからって誰でもいいわけじゃねーし。そーいうのはもうとっくに卒業したっつーの」


「ってことは今は好きな人もいないの?」


「・・・・」

響は急に呆れた顔をして黙った。


え??何かまずかったかな??


少しの間の後に


「いるかもな」とあたしの目を見て言った。


えっ・・そうなんだ・・。

ふーん・・・

あれ、なんかテンションが急に下がってきちゃった。

なんとなくこの話題はもう終わりたくて話を変えた。


「響は月野くんにまだ会ってないの?」


「あーそういやまだ一回も会ってねーわ。暗い奴なんだろ?」


「暗いんじゃなくて影があるの」


「同じじゃねーの?」


「ちょっと違う。独特の世界を持っていそうなそんな感じ」


「ふ~ん。まぁ会ってみれば分かるか」



食べた後少し休憩して次のアトラクションに向かおうとした。

「あれ、おもしろそうじゃね?」と響がふと足を止める。

指を差している方向を見ると・・


「あれってハロウィン限定のホラーハウス??」

見るからに灰色の不気味な館・・・。門にコウモリがぶら下がってて目が赤く光ってる。それで時折悲鳴が聞こえるんだよね。

これってけっこう本格的なんじゃ・・


「何顔青ざめてんの?」


「あの・・あたし絶叫系は大丈夫なんだけどホラーはちょっと・・避けたいかなぁって」と控えめに希望を言いながら響を見上げると・・


響はにーっこり笑い

「さっ行くぞ」と言ってあたしを無理矢理引っ張って行った。

今すっごく意地悪そうな顔したーー!絶対おもしろがってる。



ホラー嫌だー!怖いよ、誰か助けて~~~~(泣)






「暗くて何も見えないよ~~~。響、絶対先に逃げたりしないでよ!」

「分かったから、んなしがみつくなって。前進めねーじゃん」


だって暗いし、どこで何が出てくるかわからないんだもん!


怖々歩いてると突然変なうめき声がしてきた。今いるところははどうやら墓場みたい。十字型の墓がいくつも立っている。


「嫌~~!何なに?!怖いよ~~~(泣)」


もうダメ無理~~!進みたくないけどはやく出たいし頭がカオスだ。


「うるせーなー」


響ってば全然怖くないみたい。

いくら俺様響だからって強過ぎるよ!!

まぁでも頼りにはなるけどさぁ。


「さくっと進んで早く出ようぜ」


さくっとなんて無理~~!


イキナリ横でガサガサと音が鳴った!


なんと横からゾンビが何体も現れた!ウウウ・・とうめきながら近付いてくる。


「!!!!」

恐怖で声も出ない。


「うわっびっくりしたー」とさすがの響も驚いてる。


ダッシュでゾンビの墓場を走り抜けた。


「おまえ力入れ過ぎ、痛いって」と苦笑する響。


めちゃくちゃ強く響の手を握ってしまってたみたい。


「ご、ごめーん」


「マジで苦手なんだな、こういうの」


「さっきそう言ったよぉーあたし」


あ~力が抜けてきた。

でもまだこんなところで腰を抜かしてる場合じゃない。

パンフレットに最後、強烈な脅かしがあるとか書いてたし、これをなんとか無事に乗り越えないと・・。


そうしてあたしたちはクライマックスに突入していった。


ギー・・ギー・・と何かがきしむ音がし始めた。


「ひびき~~」


「大丈夫だって。所詮、人間がやってんだから」


そうは言っても実際そんなこと忘れちゃうほど怖いんだって!


なんか左右に棺桶らしきものがいくつも並んでるんだよね・・


嫌な予感がする・・・。


『おまえの血をくれ~~~』


ぎゃ~~~~!!!!


左右の棺桶の蓋がバタンと跳ね上がり、中から吸血鬼が出てきた!!

口から血を流して顔は真っ青。耳がとがっていて口元には長い牙が・・


「逃げるぞっ!」

「うう・・・」


ダッシュしたんだけど、一体の吸血鬼だけしつこく追ってくる!

ぎゃ~~しつこいよ~!

その吸血鬼、足がすごく速くてあっという間に追いつかれた!


そしてなんと、ガバっとあたしの後ろから抱きついてきた。


「きゃーーーーー!!嫌ー離してーーー!」

とあたしはもう大パニック!!

怖すぎて涙まで出てきた。



「春風さん、僕だよ」と突然耳元で声。


えっ何であたしの名前・・しかもその声聞いたことあるような・・


暴れるのをやめ、ゆっくり振り返ると・・

特殊メイクはしてるけどよく見たら見覚えのある顔だった。


「まさか月野くん?!」


「正解です」とフフっと笑う。



月野くんが吸血鬼??

一体どういうことなの~~~?!





「おい、いつまで抱きついてんだよ」

と響が不機嫌な声で言った。


「あーすいません」と月野くんらしき吸血鬼があたしから腕を離す。


「月野くんどうしてここに?」


「ここでバイトしてるんですよ。吸血鬼のバイト」


そういうことか!ってかハマリ役じゃない?!

本物かと思ったよ。


「まさか春風さんたちが来るなんて思ってませんでした。お二人って付き合ってたんですね」


えっ?!

あたしはぽかーんとなる。


つ、付き合ってる?


「おまえには関係ねーだろ」


っておいおい否定しないの??


「鳴さんは穏やかなのに響さんはけっこう怖いですね。でも顔はそっくり・・」と月野くんはどこかうっとりしたような目で響を見る。

その目危ないってーー!


「おまえキモいよ」と響はストレートに毒を吐く。

響ってばもうちょっと言い方があるでしょうに・・。


「ひどいなぁ。・・でもメイドとご主人様が恋人同士ってどうなんですか?それってありなんですか?」


「恋愛って自由だろ?おまえがそれ一番よく分かってるハズだけど?」と響が言うと月野くんは一瞬驚いた顔になり、またすぐ冷静な表情に戻る。


「・・・そうでしたね。じゃあ次のお客さん来たらマズイしそろそろ持ち場に戻ります。引き続きデート楽しんでくださいね。では」

と黒くて長いマントを翻して月野くんは戻って行った。


その後ろ姿を見送りながら・・


「こんなとこで会うなんてびっくり・・」

「オレなんて初対面でここだし」

「ぷっ・・・」


それってなんか笑えるなぁ。あれだけ家に何回も来てても出会わないのにまさかこんな意外な場所でって。


とりあえずあたしたちは出口から外へ出た。


「どんな印象だった?」


「うーん、頭は良さそうな感じはしたな。後、影があるって言ったのなんとなく分かった気もする・・。」と目線を上にして何か考えてる響。



「ところで・・さっきどうして否定しなかったの?」

一番疑問に思ったことを聞いてみた。


「何が?」


「つ・・付き合ってるって」

口に出すのも恥ずかしい・・・


「あーそれか。その方がいいんじゃねーかと。あいつなんかヤバそうな感じしたし」


ん??よく分からないけど・・何か考えがあるみたいだし響がそう言うならそれでいっか・・でもびっくりしたな。


「それじゃあ次は・・ちょっと今ので疲れたからのんびりできるのがいいかなぁ」なんか精神的にも肉体的にもヘトヘトだし・・。


「ふ~ん。じゃああれだな」


「ん?」


「観覧車」


「そだね」

と言いつつなんとなくどぎまぎした。

だって観覧車って・・

あたしはブンブンと顔を左右に振った。

余計なことは考えない、考えない。


楽しまなくっちゃ!


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