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必要な距離感

また普段の生活に戻ってからは、日々があっという間に過ぎて行った。

いつの間にか8月も半ばに突入していた。


昨日響は登山合宿から帰ってきて、今日は疲れたみたいで家にずっといるみたい。

なにやら富士山に登ってきたみたいで、そりゃ疲れるよね。

昨日はテンションが上がってて、富士山の上は極寒だったとか景色最高だったとか色々聞かせてくれたけど、今日は喋る元気もないみたい。


さっき呼び出しの電話が入ったので響の部屋に向かう。


コンコン・・・3秒待って


ガチャ


響はベッドにうつぶせなってぐったりしてる。


「大丈夫ですか?」


「全然・・・全身筋肉痛。マッサージして」


「わかりました」


あたしここに来てからだいぶマッサージうまくなったかも。


まずは足からっと。



「いたたた・・・」



なんだろ、弱ってる響ってかわいい・・。

弱ってることなんてめったにないもんね。



あの別荘から帰ってきてからはいつもの俺様響に戻ってて、だけど前とは少し違ってて・・・


「キャロ今週の土曜空けとけよ」とうつぶせのまま言ってくる。


「土曜日何かあるんですか?」


「花火大会」


あっそうか。忘れてた!けっこう大きな花火大会があるんだよね。


・・・これって一緒に行こうって誘ってくれてるのかな??


「わかりました」


「約束・・したからな」


「・・はい」



響はこんな風に自分から歩み寄ろうとしてくれるようになってた。

それがあたしにはすごく嬉しいことで・・。

だけどたまにとまどう。


あたしと響は、玲ちゃん拓斗さんの関係とは違う。

あくまでただのメイドとご主人様。

だからどこまで近づいていいのか、よくわからない。


『いい距離感で付き合ってくれるとありがたいよ』

拓斗さんの言葉が頭に浮かぶ。



けど距離感って難しいな。

あたしと響に必要な距離感ってどれくらい?



「だいぶ楽になった。ありがとな」

と笑顔を見せる。


どきっ・・


響は優しくなった。これが本来の響・・?

知るたびに、あたしの心が響に近づいてるような気がして少し怖くなる。

危険信号が点滅し始めてるような・・?


「もう行っても大丈夫ですか?」


「え?ああ。」


「では失礼します」

とあたしは少し急ぎ足で部屋を出た。


なんかヤバい予感、常に距離感意識してないときっとあたし・・・



あたしの場合、恋愛感情なんて万が一でも持ってしまったら・・。

きっと仕事もうまくできなくなりそう。


メイドとして傍にいられなくなるような状況になるのが一番怖い。

あたしはまだまだ響の専属メイドとして頑張りたいし、今の関係を崩したくない。


おかしな話だ。今度はあたしの方が響に近づくの怖がってる。

理由は違うけども・・。


「距離感だよね、距離感」



「なーにぶつぶつ言ってるの?」


どきーんっ


「な、鳴ちゃんか」


今から出掛けるみたいで外出用の服装に着替えてる。

鳴ちゃんはスケボーする人が着てるようなカッコしてるんだよね。

ゆるカジっていうスタイルかな。

よく似合ってる。


「キャロ、また何かあったでしょ?」


「何もないよ」ととぼけるあたし。


「ふ~ん。まぁいいけど。それより聞いてー、おれ今回の期末で成績下がったからって、父さんが家庭教師つけるって言うんだ。ちょっと遊び過ぎて下がっちゃっただけなのにさ~」と拗ねた顔をして言う。


「えーそうなんだ。いつから来られるの?」

「来月から。マジだり~」とうなだれる。


そういえばここの兄弟みんな頭いいみたいで、レベルが高い学校にそれぞれ進学してるんだよね。

けっこうそういう面では厳しく育てられてるのかな。


「別にわざわざ外部から呼ばなくてもキャロでいいじゃんね。ってかおれキャロが教えてくれたら頑張れるのに~」

とあたしの顔を覗き込んでくる。


近い近い・・


鳴ちゃんはいつも距離感気にしてないよね。

だけどないようであるようなそんな感じもする。

いざあたしが踏み込んだら逃げちゃいそうな、そんな気がするんだよね。


「あたしは頭良くないしダメだよ~。もしかしたら超美人な先生かもしれないよ?」


「興味ないし。おれが興味あるのはキャロだけ」と片目をつぶる。


けど最近なんか前よりぐいぐい来てるようにも感じるんだけど気のせいかなぁ・・。


鳴ちゃんはほんとつかめない男の子だから、何考えてるのかさっぱり読み取れない。

ふわふわ宙に浮かぶ雲みたい。


あっそうだ!あたしはちょっと思いついたことがあった。


「鳴ちゃん、来週土曜って空いてる?」


「うん、空いてるけど?」


よし!・・距離感、今はそれが一番大事。



「あのね・・・」


こうするのが今のあたしにとって上策だ!






そして花火大会当日



「おい、何で鳴がここにいてんだよ。」


待ち合わせに指定した駅前に今あたしと鳴ちゃんと響の3人がいてる。


「それが鳴ちゃんだけじゃないんだよね・・。」


「キャロおまたせ~!あっみなさんお揃いで。」

向こうから夕夏が走ってきた。


「響さんお久しぶりです。後鳴さんですよね?初めまして、キャロの友人の夕夏です」

「鳴でっす。よろしく~」


「・・・おまえ、ちょっと来い」

と響に腕を引っ張られて少しみんなから離れたところに連れて行かれる。


「どういうことだよ?二人も他に連れてくるなんて聞いてねーし」


うう・・怒ってる。そりゃそうだよね。

でもなんか言いづらくてそのまま今日になっちゃった。


「ご、ごめん。急に誘っちゃったの。大勢の方が楽しいかなって」

「ふーん・・・まぁおまえがそうしたいなら別にいいけど」


うわぁ・・めちゃくちゃ不機嫌な顔。


「ほんとに言わなくてごめん!」


「もーいいよ。」

と溜息をついて歩き出した。


やっぱり了解なしにはマズかったよね。


まぁでも今日は気を取り直してせっかくの花火楽しまなくっちゃ!


「夕夏、浴衣で来ると思ってた。」


「んー?だってキャロ浴衣持ってないって言ってたから今年はやめた。」


あたしに合わせて・・?

響の前だし浴衣着たかっただろうに、ほんと夕夏っていい子!!


「来年までには買っとくから!」


「うん!来年一緒に着よ☆」


浴衣は着れなかったけど、今日は二人ともいつもよりオシャレはしてる。あたしも夕夏もちょいミニのワンピースだし、化粧もばっちし。


「鳴さんも響さんに似ててめちゃくちゃカッコいいね!なんかこんなイケメン兄弟と今日は一緒に花火見れて最高に贅沢かも!」


またまた大げさだなぁ、夕夏は。

けど確かに、さっきから注目浴びてるんだよね・・。

すれ違う女の子がみんな二人を見ていく。

やっぱモテるんだなぁ。


現地に着くと人があふれていた。

油断したらはぐれそうだし気をつけないと。

あたしと夕夏の前に響と鳴ちゃんがいる形で歩いてる。


響の後姿を見てふと思う。


ほんとだったら今日隣で歩いてたんだよね・・。



自分で作ってしまったこの距離感にふと寂しさを感じた。



勝手だよね、あたし・・。




人混みの中歩いていると周りにはたくさんの夜店があってついリンゴ飴とかわたがしとか甘いものに目がいってしまう。


「そういえば夕夏はさ・・」と横を見ると・・


あれ??

い、いない?!

夕夏も鳴ちゃんも響も。


なんでーー??


うそでしょ~~~???

まさかほんとにはぐれちゃったの??

もうすぐ花火始まるっていうのに・・。


ぎゅうぎゅうの人混みの中あたしは一人立ち止まって、先行く人の邪魔をしてた。

この人混みじゃいったんはぐれたら見つけるの相当困難な気がする・・。


あたしはとりあえず邪魔にならない端の方に歩いて行った。


なんでこうなるんだろ・・・最悪だ~。



ひゅ~~~~~どぉぉぉぉん



花火が始まってしまった。


キラキラの大輪が夜空に咲く。


周りから歓声が沸き起こった。


そんな中あたしは一人ぼっちで花火も見ずうつむいてしょぼくれていた。

この状況で花火なんて楽しめるわけない。



「キャロ??」

ぱっと見上げると心配そうな顔をした男の子が立ってた。


「鳴ちゃん!」


よかったぁーーー。


「イキナリいなくなるからびっくりしたじゃん!」

と鳴ちゃんは怒っていた。


「ごめん、気づいたらみんないなくて、後の二人は?」


「キャロを探してる途中でおれもはぐれたんだ。今からじゃ見つけるの難しそうだし、花火終わってから合流しよ。」


「うん」


どぉぉぉぉん

連続して夜空に咲き乱れる花火。

目がついていけないくらいの速さで夜空を多種多様な形で彩る。


あっちは今頃二人で見てるのかなぁ・・。

花火を見ながらついついそんなことを考えてしまう。


「なんか元気ないね」

と花火から視線をはずしてこっちを見てる鳴ちゃん。


「そんなことないよ」


「二人のことが気になんの?」


どきっ


確かに気になってる・・。けど今はそれを認めたくない気分。


「ち、違うよ、ただせっかく4人で来たのにこんなことになってしまって申し訳なかったなって」


「ふ~ん。まぁ気にしなくても大丈夫っしょ。逆に美男美女同士、今頃意気投合してっかもしれないしさ」


「・・・そうだね」

鳴ちゃんのそのフォロー、今は逆に落ち込むなぁ・・。


「キャロらしくないなー。今は何も考えず花火楽しもうって!」とぽんぽんとあたしの頭をなでるように叩く。


「うん・・そうだね!」


確かにせっかく花火に来たんだし!それはそれで楽しまないと!


あたしは気を取り直して花火を楽しみ始めた。


「キャロと二人で見れるなんて、得した♪迷子になってくれて逆によかったかも。なんってね☆」

と無邪気な笑顔を見せる鳴ちゃん。


「鳴ちゃんってば・・・」

そういうことストレートに言われれると恥ずかしくなるよ。


「あれ?鳴くん?」

と隣に居た浴衣を着た若い女の子二人組が話し掛けてきた。

二人とも髪を明るい色に染めてたり、パーマかけてたり、化粧も濃くて、ギャルっぽいような印象を受けた。


「よっ偶然だね」

と鳴ちゃんはヒョウヒョウとした口調で話す。


「うん。ってかもしかして・・彼女?」

とあたしの方を少し警戒したような顔で見る女の子。


「そう」


えっ鳴ちゃーーーん?!

あたしは目をまん丸にして隣の鳴ちゃんを見上げた。


「マジでいたんだ・・」


うわぁ・・二人ともショック受けてる・・。


「じゃまた学校でね」

と鳴ちゃんは何も感じてないような様子で、まるで追い払うかのように手をひらひらと振った。


二人のギャルはあたしを恨みがましいような目で見てその場を去って行った。



「ごめんね、キャロのこと使って」


「それはいいけど・・でも誤解されちゃったよ?いいの?」


「むしろよかったんだ。今の学校でもう彼女作る気ないしさ」と少し冷めたような目をして言う。


「えっ何で??」今の表情気になるなぁ・・。


「まぁそれはおいおい・・ね・・・あっ!これでラストっぽいよ!」


花火がついにフィナーレを迎えたみたい。

金色の柳が空一面にいくつもいくつも咲き流れる。

やっぱラストはこの花火で決まりだよね

夜空が金色の光でいっぱいになった後、連続で鳴り続けてた音が止んだ。

だけどその後、今度は大きな拍手が長い間鳴り止まなかった。



「終わったね・・はぁ~綺麗だったー」


「うん、夏って感じしたなぁ」


ハプニングはあったけど、これはこれで楽しかったしいい思い出になったかも・・と機嫌よくしていると・・・



「おい」


んん??後ろから柄の悪そうな声が・・振り返ってみると・・


「随分のん気に花火見てたみたいだな」

その言葉からは火花が散っている。


「ひ、響!!」


威圧オーラが半端ない。この俺様ポーズの響見るの久しぶり・・

腕を組んであごを上向けにしてて目線だけはあたしを見下ろしてる。

やっぱ怖いぃ・・。


ヤバい本気の怒りモードだ。


「響さん待ってー!イキナリ走り出すから・・」

と響の後ろから夕夏が走ってくる。



「二人ともごめんなさい!!!あたし一人はぐれちゃって、それで心配かけて・・」


「誰もおまえの心配なんてしてねーよ、・・・帰る」と背中を向ける。


「えっ・・響っ!」


響が怒りモードのまま帰りだした。


「鳴ちゃんどうしよう・・」とあたしは青ざめながら隣にいる鳴ちゃんを見上げる。


「あれはガチギレしてるっぽかったね~。今はほっといた方がいいんじゃない?触らぬ神に祟りなしってやつだよ」

と相変わらずのん気な口調で言う。

その顔はちょっと面白がってるしー!


「キャロ、響さんずっと心配してたよ。花火中も上の空だったみたいだし・・」


えっ・・そんなに?


「・・・あたし響にもう一回謝ってくるね!」


「キャロ、がんばれ~!」と夕夏が声援をくれた。

「泣かされたらおれが慰めたげるからね♪」鳴ちゃんはやっぱり面白がってる~!


大丈夫。ちゃんと仲直りするんだから!





「響待って!!」とあたしは響に追いついて声を掛ける。


「ついてくんな」と響はこっちも見ず足を速める。


「無理!だって同じ方向だし」あたしも負けじと早足になった。


「ムカつく女だな」

と横目でこっちを見る。


「響が怒るのも無理ないけど、あたしだってはぐれたくてはぐれたわけじゃ・・」


「おまえ、全然分かってねーよ。確かにぼけっとして迷子になったのは呆れて物も言えねーけど、それに対してこんなムカついてんじゃねーよ。」


「じゃあ何?」


響は急に立ち止まった。あたしと響は向かい合うように立つ。


「オレにとっては今日来た意味全くねーし」と目線をそらして言う。


あっ・・・


そっか・・響はあたしと一緒に見ようと思って誘ってくれたんだよね。

なのに結果的に見ることできなかった。


あたし響に悲しい思いさせてしまった・・?


「ごめん・・」


「責任取れよ」と俺様口調で言う。


「へ??」


「今日の責任取れっつってんの」


「どうやって・・」


「・・明日夜8時、寮の前で待ってろ」


「え・・どして?」


「これは命令だからな」と有無を言わせない態度。


ここは素直に従うしかないみたい・・。


「わ、わかった・・。」



それから特に会話が弾むことなく家に辿り着いて別れた。




自分の部屋に戻ると妙に頭が冷静になってくる。

一人反省会が始まった。


あたし今日何やってたんだろ・・。

よかれと思ってやったことが全部裏目に出てるような。


結局明日も響と会うことになっちゃったし、何も必要な距離取れてないじゃん。ってかそもそも必要な距離自体どれだけかも分かってないままだし。


あーダメだ。一人だと色々考え過ぎて頭がパンクしそうになる。

考えても答えは出そうにないし、時間の無駄かも。



とりあえず今日の所は寝よう・・。ちょっと疲れたし・・。

明日は明日でなんとかなるよ・・きっと・・・。





次の日の夜。


もうすぐ8時。あたしはなんとなく緊張気味で寮の前に立っていた。

どう責任取らされるんだろ・・

全く予想がつかない。


「よぉ」

と前方から響がやってきた。

どうやら機嫌は直ってるみたいで今日は威圧オーラを感じない。

そのことにまずホッとした。

今日もあの態度で来られたら、あたしはずっと怯える子ウサギみたいになるところだった。


「これ」とあたしになにか投げてきた。

けっこう大きな四角いビニール製の袋、中には・・


「これ、花火セット?」


「そっバイト先でもらったから、やろうと思って」


「あたしと・・?」


「おまえと。言ったじゃん、責任取れって」


な、なんだよ、も~~~。

すごいびびってたのに、拍子抜け。


けど・・嬉しい。



今度こそ一緒に花火だ。



駐車場スペースの地面がコンクリートなのでそこでやることにした。

ロウソクに火を点けて地面に置く。水を入れたバケツも用意したし準備万端!


花火の先に火を点けると、シューと音を立ててキラキラ光が流れ始める。


「きれーい・・これ星が流れてるみたいに見えない?」


「確かに、星の滝みたいだな」


きゃーきゃーと振り回したり円を描いたりして光の雨を降らす。


「あっぶねー、コケんなよ」と響は呆れながらもどこか楽しそう。


「大丈夫~!楽しい~♪」


こんな風に誰かと花火するのって久しぶりだから、つい子供みたいにはしゃいじゃった。



そして最後に線香花火を一緒にする。

この素朴な感じがまたいいんだよね。派手ではないけどかわいらしい光。

どこか懐かしい気持ちになれる。


「綺麗だね」


「うん」


「でも線香花火ってすぐ終わっちゃうからちょっと寂しい気もする」


「あっオレのもう終わりそう」


「ほんとだ」


「こうすればもうちょいいけるかも」

とあたしの線香花火にくっつけた。


「ほら、ちょい生き延びた」


いつの間にか至近距離。

花火の光でかすかに照らされて、響の瞳が見えた。花火みたいにキラキラしてる。綺麗・・。


「ん?」

あたしの視線に気づいてこっちを見る。

あたしは響から目を離すタイミングを失ってそのまま静止してしまった。


「・・・」


「・・・何だよ、黙ったままこっち見んな」


「ご、ごめん・・」


「変な気分になるじゃん」


「へ、変な気分って・・?」


「・・・こういう気分」

と急にあたしの腕をつかむ。


「あ、危ないよ、あたし花火持ってる・・」

「もう終わってる」

と響は全く気にしてない様子で顔を近づけてくる。


どきどきどき・・・


ダメだよ、こんなの・・必要な距離なんてもうとっくに飛び越えちゃってるってーー!


「響!」


「何?」


「いつもの悪ふざけはやめて!」


響はからかってるだけだろうけど、あたしは心臓が破裂しそうなんだから。これ以上はもうもたないよ。



「・・ざーんねん。今のは本気だったのに」


どきっ


ウソだ、絶対ウソに決まってる。

これ以上振り回されてなるものか!


「ほら、フザけてないでちゃっちゃと片付けよう!」


「へーい」



まぁなんだかんだで響と花火、楽しかったな。

距離感のことだけど、だんだんどうでも良くなってきたかも。

さっきみたいにドキドキしちゃってもあたしが意思強くあれば揺らがずに居れる!・・と思う。

そうだよ、もっと強くいなくちゃ!

強い自分に生まれ変わろう!響の悪ふざけにも動じない強い自分に!


「来年もやろうな」

「え?」

「二人で」

「う、うん」


その後あたしの耳元で

「約束だからな」とつぶやくように言った。


どきーん



つ・・強く・・ならなくちゃ。

ファイト、キャロ。






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