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俺様な面接

「うわぁ・・・予想以上にでっかい家ー!」

あたし春風キャロは目の前の広大な敷地を目の当たりにして思わず叫んでしまった。


高い塀に囲まれて中は見えないんだけど、入口と思われる黒の鉄製の門の間からのぞく景色は緑あふれる森のような庭だった。

門の横にあるインターホンを押し、名前を名乗ると、自動でゆっくり開いていく。

何かここからは別の世界であるかのように感じて足を踏み入れるのに少し躊躇してしまう。


あたしは一度深呼吸をしてその別の世界へ足を踏み入れた。


とても広い庭で家まで50メートルぐらいはあるように思える。

左方には池があって反り橋がかかっていて風流さをかもしだしている。


けれど家の方はまるでヨーロッパのお城のような洋風な造りで、

お姫様や王子様が居るんじゃないかと思うような、物語に出てきそうな家だった。白とアイボリー色を基調としていて教会のようにも見える。


きょろきょろしながら庭を横断し、玄関前の階段を上ると両開きのドアがあり、横のインターホンから

「どうぞお入りください。」と女性の声が聞こえた。

どうやら防犯カメラか何かでこっちの様子が見えてるみたい。

ドアを引いて中へ入ると6畳ほどのスペースがありその足元は大理石でできていた。


「春風キャロさんですね。お待ちしておりました。そちらのスリッパに履き替え、わたくしの後について来てください。」

玄関をあがったところに、これぞメイドって思う様な黒のワンピースに白いフリルのエプロンをし、そしてエプロンとおそろいのフリルあしらったカチューシャを付けた20代半ばくらいの女性が立っていた。

見た目は清楚な感じの綺麗な人で姿勢がよくて優しいけどしっかりしてる、そんな印象を受けた。


そしてあたしは会議室のような長いテーブルとそれを囲む20脚の椅子がある部屋に通された。

そこには女性が9人程一列に座っており、その対面の真ん中に一人の男の人が座っていた。


集団面接だったんだ・・


てっきり個人面接だと思ってたから急に緊張が倍になって心臓もバクバクと早鐘になる・・・


「そちらへお座りください」と女性にうながされ、あたしは一番端の椅子に腰掛けた。


「やっと揃ったか。んじゃ面接始めるからさくっと質問に答えてよ」


えっ・・・


この少し重い雰囲気の中で場違いに軽い感じで切り出され、あたしも周りも少しざわついた。

あたしは対面にいる男の人に目を初めて向けた。

さっきから緊張して全然そっちを見れなかったんだけど、

目の前にいるのは男の人というよりは男子?って感じでとても若く見える・・きっと十代じゃないかな。


サラサラした黒髪に綺麗な透き通るような瞳、細身の体、容姿はあたしがこれまで出会ったことがないくらい魅力的だった。

だけど・・


「っと質問する前に・・・」と言いながらあたしたちの方を端から順番に目を凝らして見つめていく。


えっ何なに???その綺麗な瞳で見つめられるとちょっと心臓が騒がしくなるんですけど・・


そして最後にあたしの方を凝視した後、


「君と君と君・・」と男の子が女子の方に指をさす。

その中にあたしも含まれていた。


あたしはぽかんとなって静止している。



「今指をさされなかった人は帰っていいよ。」



その言葉を聞いて女子たちがざわめきだす。

指をさされなかった一人の女子が頑張って質問をした。


「理由を教えてください」


すると男の子は少し冷めた目つきになり

「タイプじゃないから。ごめんね」

とさらっと悪びれもなく答える


その途端女子たちの表情がいっきに憤慨に変わったのを

あたしは肌で感じた。

あたしはというと何が起こってるのか理解ができていなくてぽかんの状態のまま継続している・・

けれどだんだん頭が冷静になってきて、今の男の子の言動を思い返した。



ってかタイプじゃないって・・そんな理由で決めちゃうの?!

世間一般の企業にもそういう決め方しているところがが絶対ないとは言い切れないけど、そんなあからさまなのはいくらなんでもどうなのよって思う。


さっきからひしひしと予感してることがある・・


この男もしかして

かなりの『俺様』??


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