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第07話『総司先生による授業』9/23修正

どうも皆さん、ベルトです。


いつも感想を書いてくださって、ありがとうございます。


今回、戦闘はありません。


それでは、本編にどうぞ!!

【4号館 1階】


「野球部に入ってください!!」


「演劇部に入ってください!!」


「サッカー部に入ってください!!」


「囲碁部に入って、お願い!!」


 入学式イベントから1週間後、授業も始まり慣れ始めた進也たち。学生寮から登校してみると、朝早くから2・3年生たちが1年生たちを勧誘している。中には人数不足で、廃部になるところもあるので、必死である。


「部活かあ」


「上野くんは、どうしますか?」


「今のところ、あんまり考えていないよ」


 進也と里美は、相変わらず一緒に行動している。時々相手を気にすることは有るが、仲の良い友人関係は築いていた。


「優奈ちゃんは、どうなの?」


「………みんなと一緒で良い」


「里美ちゃんとは、また違った可愛さね!!」


 理名は、優奈にギュッと抱きついた。理名いわく、里美は癒されるに対して、優奈は小さな人形を抱いている感じらしい。抱きつかれた優奈も無表情ながらも嬉しそうである。


「ぼくは野球部かな。カーンと打ってやるぜ!!」


「まだ見ていたいっスけど、そろそろ授業が始まるっス」


 公平は、野球部に興味を持っている。得意科目が体育なだけに運動する部活動を選んでいる。三郎は、今のところ見ているだけで授業時間を確かめていた。



【1年E組】


 Eクラスは普段騒がしいが、授業は基本的にこっそり話し声が聞こえるだけで静かである。担任の総司がほとんどの科目を教えている。流石は完璧超人である。


「今日は歴史の授業を行う。教科書の26ページを開くように」


「教科書、教科書っと」


「ここ風花町は『バランの時計塔』と呼ばれる建築物がある。遥か昔に立てられた時計塔だ」


 教室の窓の外からでも見える町のシンボルである時計塔。町で1番高い建築物は、今日も住民に時間を教えるように鐘を鳴らしている。進也は、三郎に話しかけていた。


「(あの高さ、引っ越してきた時はビックリしたよ)」


「(いつ作られたかすら分からない謎の建物っス)」


 情報通の三郎ですら知らない建築物。総司も時計塔を眺めながら歴史の授業を進めて行く。


「遥か昔、勇者バランによってドラゴンが倒されたという伝説もある」


「「「「へぇぇぇーーーーーーーっ」」」」


 教科書には、身体全体に黒い鎧を着た写真が掲載されている。(かぶと)を被っているので、顔は分からない。ただ、バランという言葉は名前であると進也たちは初めて知った。


「(かっこいいな!!)」


「(どこがよ、公平)」


「(男のロマンだよ、上野も三郎も分かるだろ?)」


 教科書を見ながら静かに興奮する公平。そんな様子に理名は呆れているが、公平は進也と三郎に聞いてみる。


「(うん、こういうのは憧れるから)」


「(かっこいいっス)」


「この勇者バランが使用していた武具は『バランの遺産』と呼ばれる。この鎧は、現代のGSアーマーの元になったと言われている」


 公平以外のEクラスの男性陣が盛り上がるなか、総司の説明は続いていく。一方、女性陣は苦笑していたり、困惑している。


「(はぁ、男たちのこういう所は分からないわ)」


「(………?)」


「(優奈ちゃんも困っていますね)」


「共通した会話をするには良いことだが、いずれ美術館に見学に行くので、しっかり覚えておくように」


「「「「はーーーーーいっ!!」」」」


 総司は説明を聞いているか分からないEクラスに不安を残しつつも、何だかんだで一体感になっていることに、満足して歴史の授業を終えるのであった。



【4号館 10階廊下】


「すきありぃぃぃ~~~!!」


「ひゃっ!!」


「………あっ」


「こらーーーーっ!!」


「ひゃっは〜〜〜!! 白色、黄色、赤色、良いねぇぇぇ〜〜〜!! ごちそうさまぁぁぁ!!」


 お手洗いに行ってからに教室に戻って来たところを、いたずらっ子にスカートをめくられた。里美、優奈、理名の3人が気付いた後、めくった犯人は既に遠くに逃げていた。


「ひどいです……」


「あのメガネーーーーーーっ!! あれがトップなんて信じられないわ!!」


 紫の髪に丸いメガネをかけた男の子、長谷川直樹である。母親が外国人のため、紫の髪は地毛である。入学式イベントの豪華商品『ライダー』チップも、直樹の物になった。理名が顔を真っ赤にして怒るなか、優奈はふと気付いた。


「………あっ、上野さんだ」


「はわっ!?」


「…………………………っ」


 Eクラスの入り口の扉の前には、顔を真っ赤にしている進也が居た。お手洗いに向かおうとしていたらしい。里美は気になっている男の子に見られたか、顔を真っ赤にして恐る恐る尋ねてみた。


「う、上野くん……、その……見ましたか……?」


「……みみみ、見てません……」


 真っ赤な顔を横に振りながら必死に否定する進也だが、明らかにバレバレであった。里美は改めて聞いてみた。


「正直に言ってほしいです……」


「ごめんなさい……、見えました」


 進也は、頭を下げて正直に謝る。このあたりが他の男の子たちと違っている。嘘をついたのも、単純に恥ずかしかったことだけであるのが分かる。


「進也、あたしたちは?」


「………見た?」


「いえ、その……松下さんだけ……です……」


「本当に?」


「本当です」


 真っ直ぐ理名と優奈の眼を見る進也。先ほどの里美とのやり取りとは違い、顔をキリッとして話している。その様子に満足した理名はため息をした。


「なら良いわ、とにかく止めさせないと。あたしだけじゃなく、里美ちゃんや優奈ちゃん、他の女の子たちも困ってるから」


「………女の敵」


 長谷川直樹は成績トップの身でありながら、風花高校の女性陣から悪い意味で、警戒されることになった。進也と里美は、理名と優奈が話し合う中、会話を出来ずに立っているのであった。



【授業】


 体育の時間であるが、教室で待機となった。どうやら、総司は最初に説明をするらしい。


「体育は2種類ある。身体全体を使用する水泳と身体一部を使用する外での授業だ」


「何で水泳!?」


 公平の疑問に総司は淡々と答える。


「GSチップを使いこなすには、チップを知ること、自身の身体能力、そしてGSアーマーを使用した膨大な経験が必要であるからだ。泳げない奴は、手をあげろ」


「わたし、泳げないです……」


「………優奈も」


 里美と優奈が手をあげた。他にも手をあげているクラスメイトがいる。総司は、予想通りであったため、説明をし始めた。


「体育は5時間目に行う。昼休みなどで、各自で話し合って考えてくれ」


「みんなで特訓だ!!」


「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」


 Eクラスのムードメーカーである男の子、天醒士の一言によってクラスは盛り上がる。さっそくクラスメイトは、それぞれ話し始めた。もちろん、進也たちも動き始めた。



【進也の部屋】


「進也、遊びに来たぞ」


「おじゃましますっス」


「鈴木、中居、それから……だれ?」


「天醒士だ、よろしく!!」


 昼休み、進也の部屋で集まることになった。理由は何となく1番部屋を綺麗にしていそうだからである。予想通り、綺麗である。三郎たちの他に士という男の子も入って来た。


「よろしく、天醒。鈴木、松下さんたちは?」


「ちょっと遅れるってさ」


「いや~、さっきの授業といい、中居先生ってカッコいいよな!!」


 士の発言に三郎が顔をしかめた。三郎が総司のことをあまりよく思っていないことを誰も知らない。


「………………っ」


「流石、三郎の兄貴だな!!」


「………………嫌いっス」


 公平がバンバンと三郎の背中を叩くと、三郎が小さく呟いた。


「えっ?」


「中居?」


「おいらは、嫌いっス!! いつもいつも見下してくるっス!!」


 三郎が普段の言動から思えないほど、声をあらげて激怒した。進也たちは驚いている。


「中居……」


「確かに完璧だもんな。正直、比べられたら耐えきれないな。すまん」


「ご、ごめん。余計なことを言っちゃった」


 公平と士が三郎に頭を下げて謝るなか、進也は考えていたことを話してみた。


「中居先生と被るから、これから三郎って呼んでもいいかな?」


「っス!?」


 三郎は眼を開いて驚いた。上野進也という男は、今まで自身が調べている限り、相手の名前を名字でしか話していない。惹かれつつある松下里美に対しても、そうだ。


「三郎は、三郎だよ。情報収集なんて、おれには出来ないからね」


「総司先生をギャフンとさせるのが楽しみだ!!」


「打倒、総司先生!!」


「うぐっ……うう……み、みんな、ありが……とうっス…………」


 三郎は涙を流した。自分の苦しみを受け止めてくれた友達に感謝した。こうして、中居先生のことを総司先生と、自分たちの間では呼ぶようになったのである。


「こういう時は、こういう雑誌を読めって」


「ぼくたちからの、おすすめだ」


 公平は持ってきたバッグを開いて、とある雑誌を三郎に渡した。開くと水着姿の成人女性が写っていた。思春期の男の子たちの秘蔵の本である。


「こういうのも、今は悪くないっスね」


「〜〜〜〜〜〜〜〜っつ!?」


 横から見えてしまって真っ赤になる進也。こういうジャンルに耐性が無いのである。公平と士は、こっそりと裏で活動する気の合った仲間であった。


 ピンポ〜〜〜ン♪


「「「「!?」」」」


 わいわい盛り上がっているなか、インターホンの電子音声にビクッと反応する男の子たち。


『上野くん、遊びに来ました』


『さっさと開けてね』


『………待つ』


『士くんがここに居ます!! 間違いありません!!』


 男の子たちは三郎の話もあったが、プールの特訓をすっかり忘れていた。扉の向こうでは、士を大好きである美莉と偶然出会って里美たちと待っている。


「「げっ……!!」」


「どうしよう……、こうなったら、おりゃ!!」


 進也を除く3人は不味いと肌で感じた。とりあえず、士は雑誌をごみ箱に全力投球した。無駄にコントロールが良いので、一直線に入っていった。その間に、進也は扉を開けた。


「ど、どうぞ」


「上野くん、どうかしましたか? 汗、びっしょりです」


「な、何でも無いよ!!」


 入って来た里美は、慌てているようにみえる進也の顔を見てクエッションマークが頭に浮かんでいる。しかし、理名は気付いている。


「(怪しいわね、進也は里美ちゃんと同じで、嘘をつくような性格じゃないけど、何かを隠すときのリアクションも似ているのよね)」


「士くん、やっぱり居ましたね。私のレーダーからは逃げられないよ!!」


「美莉、お前は俺のストーカーかよ」


「そ、そんな、ストーカーだなんて……。でも、士くんがその気なら私は……」


「………声に出てる」


 美莉がぶつぶつ話している中、優奈が小さくツッコミを入れた。そんななか、理名は進也のごみ箱にある雑誌に気付いた。


「(進也が、グラビア雑誌!? あり得ないわ。まあ、捨ててあけるし、聞いてみるのが一番ね)」


 理名が雑誌を発見してから、この時の思考は1秒にも満たない速さであった。


「進也、この本は何かしら?」


「それは、その……」


「「「(げっ…………!!)」」」


 進也を除く3人は、心の中で異常事態に気づいてしまった。一方、うるうるした瞳で里美は進也を見ていた。


「上野くん、えっちです……」


「ごめんなさい……」


「進也、謝らなくても良いわ。里美ちゃん、安心して。進也は里美ちゃん一筋よ。こんな写真なんかより、ずっと可愛いわよ」


「はわっ!?」


 真っ赤になる里美。そして、こそこそとこの場から去ろうとしている男たちに、理名は後ろ姿の状態で怒鳴りつけた。もちろん、右手にはピコピコハンマーを構えていた。銀色の文字で『エロいわ!!』を書かれている。


「犯人は、アンタたちに決まっているわ。覚悟しなさい!!」


「「「ぎゃーーーーーーーーーーっ!!」」」


 バコン、バコン、バコーーーーーン!!


「各自の役割について説明するわよ。みんな、しっかり動いてね」


「………うん」


「「「はーーーーーーい……」」」


「「「はーーーーーーい!!」」」


 進也を除く3人の男の子たちは、たんこぶが出来ている。理名は水泳について話し合うためにリーダーシップを取り始めた。


「まず、三郎はメモ!!」


「了解っス」


「進也は正座!!」


「はい!! 正座しました。………………あれ、なんで正座?」


 仲良し6人組の頭脳である三郎は、この話し合いの集計役。進也は何故か姿勢を指示された。


「優奈ちゃんと美莉ちゃんは聞いていてね。意見は自由にね」


「………分かった」


「分かりました!!」


 優奈と美莉は、進也の部屋にあるソファーに座った。理名は、1番大事な親友に対して、ニコッと笑って指示した。


「里美ちゃんは、進也の膝の上に!!」


「はい!!」


 ポフッ


「……………へっ?」


「……………はわぁ!?」


 進也の膝にちょこんと座った里美。行動してから気付いて、かわいい声をあげた。その様子に満足した理名は最後に残った、ふしだらコンビに言い放った。


「最後に公平と士は待機!!」


「「オウッ!! って、何も無しかよ!?」」


 公平と士は、進也と里美に負けないシンクロでダブルツッコミがした。そんな進也と里美は、その隣で世間話をしていた。


「松下さんの髪って、すっごく良い香りがするね」


「あ、ありがとうございます。長谷川コーポレーションのシャンプーとリンスを使っています」


「そっか、おれも長谷川コーポレーションの物にしようかな」


「おすすめはですね……」


 進也と里美は、天然な会話を続けている。里美を膝の上に置いたまま会話しているあたり、進也は全く気にせずにシャンプーについて興味を持っている。士は羨ましがり、公平は相変わらずな2人の光景にため息をした。


「何このイチャイチャ、見せつけているのか!?」


「士、この2人は全くそんなこと考えてはいないさ……。ただ、虚しくなるぞ……」


「イチャイチャじゃないわ、ほのぼの世間話よ。公平も何で落ち込んでいるのよ。さっさと、プールに行くわよ」


 そんなこんなで30分語り合い、いつの間にか話し合いが終わった。士と美莉も一緒に来るらしい。ちなみに進也と里美も、ちゃんと聞いていました。



【生徒会室】


 カーテンを閉めた暗い部屋。監視カメラから送られてくる映像を見ている生徒会長が居た。3年生の女の子、海王瑠璃である。相変わらず、かわいい女の子を見ている。


「そう、里美ちゃんたちはEクラスなの……会長権限でAクラス辺りまで上げようかしら……」


「それでは、楽しみが無くなるかと……」


 瑠璃に意見しているのは、髪型が緑のセミロング、瞳は黄緑である翠沢水葉(みどりさわ みずは)は専属メイドにして生徒会の書記である。会長が、どストライクの好みの女の子である里美に、興味を持っていることを教えてもらった。


「ふふっ……それもそうね……早く会ってみたいな〜〜里美ちゃんたちに……」


 瑠璃は妖しい笑みを浮かべる。どうやら、里美以外にも狙っている女の子がいるらしい。


「いずれ、近くに『委員会戦争』があります。その時にでも……おや、プールに人影が」


「水着姿の里美ちゃん、かわいいわ。生徒会に入れたい……はぁ……はぁはぁ……」


 水葉は監視ビデオに眼を向けると、5限目の授業でプールに入って来た1年生に気付いた。そこには、里美や他の女の子たちが映っており、瑠璃は映像に凝視するのであった。



【プール】


 プールは、学生寮の隣にある。男女別の更衣室が備えられていて、温水にも屋根も作ることが出来るハイテクなプールである。風花高校の水着は、黒系統の派手ではない競泳水着である。


「おっ、お待たせしました……」


「……………あっ」


 進也は水着に着替えて待っていると、里美がやって来た。ふっくら盛り上がっている胸、キュッと絞まっている腰、透き通った白い肌。水着によってウエストラインがはっきり分かる。腰の近くまである黒髪は、うなじの部分あたりに黄色い輪ゴムでくくっており、ポニーテールにして肩辺りまで短くなっている。


「上野くん?」


「……………かわいい……すっごく、かわいい!!」


「あ、ありがとうございます……。上野くんもかっこいいです」


 進也は、ズボンタイプの水着を着ている。たくましい広い胸、お腹は少しだが割れている。腕も女性に比べて太く、全体を通して鍛えているのが分かる。


「ありがとう……」


「士、士。ぼくたちの周りの女子ってレベル高いよな!!」


「おう!! かわいい女子がいっぱいだな。ただ……」


 進也と里美以外も続々と出てきた。士と公平は、周りにいる水着に着替えた女の子たちをちらちらと見ている。その中で同じように着替えた理名を見て、ため息をした。


「何よ」


「………?」


 2人の目線は、理名の控えめな胸を見ていた。理名が不審がるなか、思わず心の中で考えていたことを口に出してしまった。


「「小さい……」」


「処刑!!」


「つ・か・さ・く・ん、何をしていますか?」


「「ぎゃああああああああああぁぁぁーーーーーーっ!!」」


 公平は理名によってプールに蹴り飛ばされ、士は何故か黒いオーラを纏った美莉に投げ飛ばされていた。そんな様子を見ていた胸が控えめな優奈は、落ち込んでいた。


「………しゅん」


「優奈ちゃん、美味しい食べ物をいっぱい食べたら大きくなりますよ」


「………本当に?」


「はい!!」


 優奈に気付き、フォローする里美。里美の胸は水着の上から盛り上がっている。早寝、早起きといった健康的なスタイルをしているおかげでもある。優奈は、ちょっとだけ元気になった。


「まずはシャワーを浴びて、準備体操。ゴーグルに水泳帽を忘れるな」


「「「「はーーーーーーーーーーーい!!」」」」


 水着に着替えた総司が生徒に指示した。進也以上に鍛えられた身体は、スマートながらもお腹は割れており、服の上からは想像できない筋肉である。 


「いっち、に、さん、し、ごお、ろく、ひち、はち」


「にいに、さん、し、ごお、ろく、ひち、は〜〜ち」


 みんあで準備体操して、さっそくプールに入る。公平と士も何とか復活していた。


「松下さん、ビート板を持ってきたよ」


「ありがとうございます」


「「「イヤッホーーーーーーーーーつ!!」」」


 進也は、泳げない里美のために桃色のビート板を用意した。周りはすっかり遊んでいる。


「まずは、身体を水に慣らさないとね。潜ることは大丈夫?」


「大丈夫です。ゴーグルを着けますので、眼も開けれます」


「それじゃあ、せーーの」


「は〜〜〜〜っ」


 空気をたっぷり含んで、トプンと潜った。


「(皆さん、楽しんでますね)」


 里美は水の中に潜りながら、周りを見ていた。進也も潜って一緒に楽しんだ。その様子を見ていた理名は黄色い声を叫び、三郎は総司のほうを気にしていた。こうして、楽しい時間は流れていった。


「自由時間はここまでだ。ここから授業の本題に入る。全員、GSアーマーを装着してもらう。各自、用意しろ」


「「「「はーーーーーーい!!」」」」


『『『『チェックイン』』』』


 風花高校が、他の高校と違うところ。それはGSアーマーを装備したまま、授業を行うことである。


「おいらも使うっス」


『レディ?』


「認証、フロッグ!!」


『アニマル・チップ チェックイン』


「カエルさんです!!」


「………かわいい」


 三郎はカエルの姿に変化した。それを見た里美と優奈は、目をキラキラさせている。全員のGSアーマーを確認した総司が、全員を集めて指示した。


「さっそく、各自それぞれ泳いでもらう。だが、ペア同士であることを忘れるな」


「行きましょう、士くん!!」


「おいおい美莉、腕を引っ張るな!!」


 士は『シャイニング』光の力を使い、ビームサーベルや光線で戦う姿の変わった。顔側面が翼の装飾に青レンズ、模様は黄色と白のラインがバーコードみたいになっている。美莉は『アーチャー』弓道防具をイメージした鎧をつける。スタイルがそこそこ浮き出るのだ。士と美莉のように、ペア同士で練習が始まった。GSアーマーを装備した状態は、水分から酸素を取り出して自然と呼吸することが出来る。ただし、慣れていなければ長時間は不可能である。


「(上野くん、もう息が持ちません……!!)」


「(分かった。一旦、上がろう)」


 進也と里美もその問題に直面した。たった30秒で息が苦しくなったのだ。周りを見てみると同じように苦しんでいる。


「ぶはぁっ!! はぁ……はぁ……」


「ふう……。松下さん、大丈夫?」


「はい、何とか……」


「ゆっくり続けていこうね」


 何とか落ち着くと、周りの驚く声が聞こえた。進也と里美は振り返った。


「あいつら、すごいぞ!!」


「楽勝、楽勝」


「陸上より水中のほうが動けるっス」


 炎の性質を持った理名だが、周りに比べて身体能力で動かしている。三郎は、カエルという身体をフルに生かして簡単に泳いでいる。


「理名ちゃん、すごいです!!」


「三郎もすごいな。松下さん、おれたちは25メートルを目標にしようね」


「はい!!」


 その後も、一緒になって泳ぎ続けた。しかし、今日1日では25メートルはおろか10メートルも進むことが出来なかった。結局、25メートルを達成したのは理名と三郎、そして公平だけであった。


「今日は、ここまでだ。プールのテストは、中間試験に行うので準備をしておくようにな」


『『『『チェックアウト』』』』


 GSアーマーを解除して、今日のプールの授業は終わった。GSアーマーを装備した状態での水泳の大変さを身に知った。どうやら、一筋縄では行かないのであった。

GSチップを用いた授業でした。


次回の展開は決まっていません。そのため、今回以上に更新が遅れるかもしれません。


それでも、更新はしますね。お楽しみに。

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