第03話『クラス分けイベント』
どうも皆さん、ベルトです。
少し変更しまして、ゲストの皆さまは、2年生にしました。最後にちょっと出演です。
戦闘はありません。ほのぼのです。
それでは、本編にどうぞ!!
【風花高校・体育館】
「理事長、大変です!! 大変です!! 大変です!!」
「何じゃ、騒がしいのぅ。まだ休憩時間で新入生の皆も、ゆっくりしておると言うのにのぅ」
「(それがですね……長谷川コーポレーションが……GSチップを……)」
額にある大量の汗をハンカチで拭きながら校長先生が慌てふためき、のんびりしていた理事長の徹子に話した。すると、徹子の顔つきが変わって、キリッとした顔でスポーツドリンクを飲んでいる中居先生に耳打ちした。中居先生は、その話を聞いたとたんに壇上へ上がった。
「申し訳ない。理事長が用事のため、風花高校のGSチップを利用した入学式イベントは明日に変更する。イベントの時間は、改めて連絡する。新入生たちは学生寮に案内する」
「今日の入学式は、ここまで。解散じゃ!!」
「「「「えええぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜っ!?」」」」
その話を聞いた新入生から混乱する声が発せられた。入学式は、中居先生と徹子の言葉によって、強制終了した。新入生たちは、中居先生を見れなくて悔しい子、早く終わって嬉しい子、盛り上がり過ぎてピコピコハンマーで叩かれている子など居たのであった。
【学生寮1F】
「すごい広い。でも、さっきの理事長さんたちの様子、何かあったのかな?」
「気になりますね」
「ぼくは早く終わってラッキーだけど」
「あたしたちが移動している学生寮は、綺麗かしら」
「おいらは、入学式イベントが気になるっス」
結局、新入生たちは中居先生の誘導の元、移動することになった。進也と里美は、先ほどの様子が気になるのか会話を続けている。公平は、入学式が早く終わったことに満足して、理名は学生寮、三郎はイベントを気にしている。
「ここはお前たちが、これから生活する学生寮だ」
「「「「おおぉぉ〜〜〜〜〜〜〜」」」」
1階は、居るか居ないか分からない管理人室。2階は、学生から好評の食堂。3階は、1年生用の図書館。4〜7階は、進也たち1年生の個室。8〜9階は、1年生の自由室で予約すると自由に使える。狭い場所から広い場所が合って戦闘訓練も出来る。そして、学生の立ち入り禁止されていない屋上がある。
「それぞれの個室は、GSチップが鍵の役割をしている。GSチップを無くした場合、1階の管理人に申し出ることだ」
ちなみに2年生、3年生も同じ。高級ホテルのようなセキュリティである。お風呂は、個室用と大浴場の2種類あって、学生は自由に選べることが出来る。ちなみに混浴もあるらしいが、予約制である。
【学生寮2F 学生食堂】
「今から夕食の時間だ。開いているのは、午後5時から9時まで。各自、食事を取れ」
「「「「は〜〜〜〜い!!」」」」
学生寮の見学を終えて、学生食堂にやって来た。おばちゃんたちが一生懸命働いている。新入生たちは、バラバラに散らばって机に座り、各自の場所を取った後、おばちゃんたちに話しかけた。
「ぼくはラーメン。チャーシュー大盛りで!!」
「わたしは、オムライスでお願いします」
「あたしは、スパゲッティ」
「おれは、カレーライス。甘口でお願いします」
「おいらは、ざるそば」
「ラーメン、オムライス、スパゲッティ、カレーライス、ざるそば1つずつだよ〜〜〜!!」
「「「「分かった!!」」」」
進也たちは、メニューを見て、さっそく注文した。白いテーブルに集まり、椅子に座っている。周りから見ると、仲良し5人組である。料理を待っている間、公平は、盛り上げるために学校に入った理由を聞いてみた。
「みんな、ここに入った理由って何だ?」
「おれは、両親を探すのに、強くなるために入ったよ」
「わたしは、まだ何かしたいということは決まっていません。これから探します」
「おいらは、兄貴を倒すことっス」
「ぼくは……女の子を「あたしは、友達をいっぱい増やすことよ!!」すること、って理名ーーーーっ!?」
「理名ちゃんらしいです」
みんなは、それぞれの理由を話している。進也の理由を聞いた里美は、少し寂しく感じている。理名は、公平の理由に被せて自分の理由を話している。そんななか、三郎の理由を聞いた進也は、三郎に質問した。
「兄貴って、もしかして、中居先生は中居の知り合いですか?」
「兄貴っス。あまり……完璧すぎて、好きじゃないっス……」
「そうだな、あの中居って先生、見た目も完璧だし、ぼくたちの敵だよ!!」
「あんたは、モテたいだけでしょうが!!」
近くにあるテレビでは、たくさんの乗り物が走っているのが映っている。中居先生は、うどんを食べている。理名が公平をピコピコハンマーで叩いて盛り上がるなかで三郎は、みんなに聞こえない小さな声で呟くのであった。
「「「「いっただきます!!」」」」
やがて料理が届いて、新入生たちが料理を一生懸命食べている、その時に異変が起こった。
「新入生のみんな、食事はどうじゃ!!」
バアアアアァァァンッ!!
「ぶはぁーーーーーっ!!」
「テレビの番組が勝手に変わったっス!?」
先ほどまで車などの映像が、いきなり理事長の徹子の顔がドアップで映っていた。公平は、思わず吹き出してしまった。三郎は、苦しんでいる公平よりテレビに驚いている。
「ごほっ、ごほっ、ごほっ!!」
「大丈夫ですか、上野くん!? これ、お水です」
「あ、ありがとう……」
「ごほっ、ぼくは!?」
進也も、びっくりしてカレーライスを喉に詰まらせてしまった。里美は、急いで水の入ったコップを進也に渡していて、公平に気づいてはいない。
「ここで明日のイベントについて説明をするのう。内容は、クラス分けイベントじゃ!!」
「クラス分け……」
「イベント?」
「タイミングぴったりだわ、あたしの眼は間違ってなかったわ」
進也と里美は、疑問を感じて首を同時に傾けた。綺麗なシンクロしたので、理名は癒された。
「ルールは簡単じゃ。2人1組になって、2年生を見つけるのじゃ」
「明日、風花高校の至る場所に、お前たちの先輩である2年生が待っている。そこで『チッパーバトル』を行い、勝てたら合格だ」
「勝てるわけない!!」
「そうだ、そうだ!!」
新入生たちが抗議をする。実力や経験は、1年多いのだ。新入生たちの抗議を聞き、それを踏まえて中居先生の話は続く。
「安心しろ。2年生に一撃を加えるだけで良い。ただし、1対1で戦ってもらう」
「成績の良かった者はAクラス、悪かった者はEクラスじゃ。さらに成績優秀者への豪華商品は、レアのサブ・チップ『ライダー』をプレゼントじゃ!!」
ざわざわと新入生たちが、どよめいた。公平は1人だけ表情を変えていない。
「ん……『ライダー』……? 何だそれ?」
「あんた知らないの!? 頭がナマケモノ並みね」
「そうっス。あの『チッパーレース』に参加できる夢のチップっス!!」
「上野くん、すごいですね」
「うん。テレビ中継されるほど、有名なレースだね」
しかし、狙っているのは全ての1年生たちだ。さっそく、公平はペアを組むため、里美に聞こうとした。
「さて、松下ちゃん、僕と一緒に組ん……」
「松下さん」
「は、はい……?」
「今日の約束、決まったから。おれと一緒にお願いします、松下さん」
「………は、はい!! よろしくお願いします、上野くん!!」
進也と里美のベストパートナーが一瞬で決まった。あっさり決まったのを見た公平は、何とか気を取り直した。
「……………ごほんっ、理名。良かったら僕と一緒に組……」
「この風花高校の地形は、全く分からないわね。三郎、詳しいなら連れて行って」
「了解っス、理名さん!!」
理名と三郎も決まった。公平は永遠に止まりかけた。
「………………………はっ、ぼくはーーーーーーー!?」
「………組んで」
「へっ!? 君は誰?」
ぽつんと1人残された公平であったが、天は味方した。公平の隣には、黒髪の両端をツインテールにした女の子が居た。身長は小さく可愛らしい。ちょっと無表情だが、優しそうだ。
「………優奈、………礼乃優奈」
「ありがとう、よろしくな、礼乃ちゃん!!」
「公平、うるさい。どうしたの?」
「いや、僕もパートナーが見つかったよ」
「………よろしく」
公平の声が大きくて気になった理名は、仕方なく聞いてみた。公平の隣にいる可愛らしい優奈の姿を見て、残念な公平と見比べ、優奈の肩に両手を置いて、ゆっくり話しかけた。
「優奈ちゃん、だっけ。他にも男の子が居るわよ。まだ、交換しても間に合うわ」
「まだいけるっス!!」
「………優奈、みんなとが良いから」
理名と三郎が必死に言っているが、優奈の気持ちは変わらない。その姿に理名と三郎が感動しているなか、理名の耳に残念な公平の声が入ってきた。
「理名、ぼくを選んでもらったから、別に良いだろーーーーっ!!」
「しつこい!!」
「あっぶね!! ゴキッ!! …………ぐえっ!?」
公平は、身体を後ろに反りながら猛スピードで飛んできたピコピコハンマーを避けた。しかし、ゴキッと腰が悲鳴を上げた。マトリックス級の避け方は、代償が大きかった。
バコ〜〜〜ンっ!!
「ふべらっ!?」
変わりに、理名が公平を狙ったはずの銀色の文字で『下がっとれ!!』と書かれた赤色のピコピコハンマーが、進也の顔面に直撃した。
「………あっ」
「あらっス」
「進也!!」
「大丈夫ですか、上野くん!!」
赤色のピコピコハンマーが当たった進也は、その場でぐったり倒れてしまった。ちなみに三郎たちからは、スローモーションに見えたらしい。
「ああ、里美ちゃんと同じ天然記念物の進也に!? 公平、アンタ当たりなさいよ!!」
「バカ言うなよ、あんなの当たったら死ぬでしょうが!!」
「えっ?」
「いや、その死なないのって顔、止めてもらえますか!?」
公平は、理名に向かって抗議をするが、理名は公平の抗議はスルーした。そんなことより進也の具合が心配である。思いっきり投げたピコピコハンマーなので、威力は強大だ。
「上野くん、しっかりしてください!!」
「きゅ〜〜〜〜〜〜っ!?」
「里美ちゃん、そういう時は、進也の顔をギュッと胸に抱きなさい!!」
「は、はいっ!!」
里美は、進也の顔面を自身の成長し始めた豊かな胸にギュッと当てた。恥ずかしいながらも、手に力を加えて待っている。
「これで良いですか、理名ちゃん?」
「バッチリよ!!」
「………お似合い」
「羨ましいっス」
里美は、何故かニヤニヤしている理名に確認した。優奈は、無表情ながらも優しい顔で見て、三郎は羨ましがっている。しばらくして、進也は意識が戻ったのか、顔を動かし始めた。
「う、う〜〜〜ん。前が見えない。何だこれ?」
「ひゃっ、上野くん……、あんまり動かないでください……。くすぐったいです……」
「え、松下さん? どこにいるの? 前が見えないよ、これって何?」
「わたしの……胸……です……」
「む、胸……!? ご、ごめん!!」
進也は、離れて眼に映っている光景を考えてみた。なぜ、倒れてしまったのか理由は分からないが、真っ赤になる里美。自身も真っ赤になっているのが分かる。それを見ている理名は、思わずニヤリと呟いた。
「計画通り……」
「理名ちゃん、何か言いましたか?」
「ううん、何も言ってないわよ」
キリッとしたドヤ顔を見せる理名に、疑問を感じた里美だったが、何もないと言われて気にしないことにした。しかし、そんな様子を見ている三郎と優奈は呟いた。
「優奈さん、こんなチームで大丈夫っスか?」
「………大丈夫かも」
こうして、たくさんの不安を抱えながらも、他の新入生たちとは違い、にぎやかで楽しそうに笑っている理名たちに、礼乃優奈を加えた仲良し6人組のクラス分けイベントが明日、始まるのであった。
【学生寮・2年】
「お宝探しの門番だな、志野」
「達也、油断しないでね。それにしても理事長は、馬鹿げている……。入学式を途中で終わらせるなんて、何を考えているのかしら」
「理沙、あんまり後輩たちを困らせるなよ」
「はいはい。流星、分かっているわよ」
神代達也、如月志野、糸川流星、日野理沙の2年生組は、明日に備えている。新入生たちの前には、実力者が待ち構えているのであった。
新しい女の子キャラクター、礼乃優奈ちゃんです。
これで1年生レギュラーは揃いました。進也くん・里美ちゃん・公平くん・理名ちゃん・三郎くん・優奈ちゃん。
この仲良し6人組で、物語を進めていきます。
次回は、GSチップを使った戦闘です。お楽しみに。